酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

祖父・海軍そして大和 遺族として、家族として 明日へ プロローグ

2011-04-25 10:21:25 | 大和を語る
四月二十一日。読売新聞朝刊十四面。
読売新聞がその特集として「昭和時代」を掲載するとの記事でございました。
「連載企画『昭和時代』のプロローグとして、五つの視点から、歴史になりつつある『昭和』を考えてみよう」との見出しでございました。
題名は「ものづくり 技術の系譜」として、「はやぶさ」(小惑星探査機)「スバル360」そして「軍艦大和」の写真がそれぞれ掲載されておりました。

「親父、『はやぶさ』の実物。しっかり見て来た。ものすごいオーラを感じた。小笠原さんのお話を直接聞くことができた。感動した!」
と興奮して話しておりますのは、年下君。
彼は藤沢で公開された「はやぶさ」を見学し、しかも技術開発に携わった「小笠原さん」と、直接会話ができたことを大変うれしそうに話しておりました。
その「はやぶさ」のドキュメンタリーで登場いたしますのが「的川JAXA名誉教授」でした。上記読売新聞にはこんな記事が載っております。
「お前は戦艦大和を見て育ってきたんだよ」
的川名誉教授は幼少を呉で育ち、大和を目の当たりにして育ったのでした。
記事はその事実を紹介し、「『戦艦大和』と『小惑星探査機はやぶさ』には日本人技術者による共通の遺伝子が存在する」と結んでおります。
以前、丹治さんはじめ多くの方々からコメントを頂戴いたしました。
「技術は繋がっている」と。
酔漢も、それに疑う余地はないと考えます。が、はたして、「それをそのまま受け入れてよいのか」という心の隅では全面的に肯定しがたい部分はあるのです。
酔漢の中ではこうです。
「大和は戦争兵器である。確かに、機械的な技術の進歩は戦争を堺に大きく飛躍するという歴史的事実は認める。だが、兵器である事実を忘れてはならない」
こう考えてしまうのです。
大和そのものが戦後の日本造船業界発展に大きく貢献したことは事実。
「西島技術主任」が提案した生産方式は現在「トヨタ」に行かされているという事実。
「日本光学製15m測距儀」は後の日本のレンズ光学に貢献した事実。
戦艦という一国の技術集大成を具現化した兵器は、小さな部分で技術を大きく飛躍させていることは間違いないのです。
再度、「しかし兵器」なのです。

戦後、「戦艦大和」が広く国民に知れ渡ったとき、「戦争には負けた。しかし、世界一の軍艦を我々は作ったんだ」と、これが、「国民のガッツになった」とこう話される方がおられます。
これは「誇らしいこと」なのだと。こういう見方です。

「大和を生みし者たち」では、大和建造の過程とその紆余曲折を語りました。
その一つ一つのエピソードを紐解きますと、並大抵の努力以上の「不可能を可能にした」史実が浮かび上がってまいります。
その仕事ぶりは、間違いなく惜しみない賞賛を与えるべきです。
その技術の流れは現在も続いていることは認識いたすべきところだと考えます。

酔漢は「大和は偉大なる失敗作」と、こう考えます。
出来上がった時代「大鑑巨砲主義」ではありました。(これはアメリカとて同じで大和より後に就航した『ミズーリ』を見てもこの概念は開戦直後は世界の趨勢なのです)が、未来を見据えれば最早巨大戦艦の使い道はなかったのでした。
大和本体は失敗作であっても、そこから学んだものは数多く存在いたします。
先に語りました通りでございます。

「大和」から「はやぶさ」には、無理があるのではないだろうか。と酔漢自身、読売新聞の記事を拝読し思いました。
ですが、やはり「どこかでつながっている部分はあるのか」とも思います。
技術の系譜の複雑さを思います。

「祖父・海軍そして大和」をまとめます。
そう、「何かを次の世代に伝えたい」酔漢の一番の動機だったのでした。

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4 コメント

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トム様へ (酔漢です)
2011-05-06 18:30:19
次世代「大和」の設計図を見たことがあります。「尾張」であるとか「紀州」であるとか言われております。
日本海軍はあくまでも「大艦巨砲主義」だったことが分かります。
航空機の威力を最初に認めながら、どうしてもそこから抜け出せなかった。この史実を検証することは難しいですね。

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ひー様へ (酔漢です)
2011-05-06 18:23:40
トンツーの世界は・・・
BCLの世代でしたので、家のベランダにアンテナ張ってヘッドホンに耳を当てながら聞いておりました。
太陽黒点の動きで電波状態が変わるので、そこは天文部でしたから、狙いを定めて「アンデスの声」とかを狙っていました。
ひーさんのご解説通りです。
懐かしい思い出です。
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既定路線の変更 (トムくん)
2011-04-30 07:13:31
「大鑑巨砲主義」
どこの世界も同じですが、既定路線を大きく変更するということは、トップの明晰な判断力、強力な指導力がないとできないことでしょうね。多くの利権も絡みますからね。
一度できた道筋を変えると言うことは大変な労力を要します。
組織の柔軟性というか、こういう点では、昔も今も日本はアメリカにかなわないみたいですね。
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開発の背景 (ひー )
2011-04-28 16:28:27
米国などを見てると開発の背景には軍事的要素が
多く見られますね。
ロボットもNASAも軍事が先で、後から民間での利用が見受けられます 。

しかし、逆にアマチュアが研究して成果を上げたのが無線です。 昔、日本では、より高く高出力にすれば電波は届くと考えていました。しかし、小さな出力でも電離層反射 で地球の裏側まで通信出来ることを発見したのです。
と、わたしの記憶にあります。
今はすっかり下火になりましたけどね。
昔は自分で改造して作ったものですが、今は既製品に頼りすぎになりましたね。
この辺は、酔漢さんのお爺様の領域ですが、モールスの良いところは、どんなノイズの中でも信号の長短さえ解れば意思を伝えることができることですね。
最初はチンプンカンプンですが、ある時突然聞き取れるようになります。
酔漢さんも遊びで試してみては如何ですか?
短波ラジオから流れるモールスの音が楽しくなりますよ 。たぶん?
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