酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

パンの話

2013-10-24 02:49:38 | 藤沢便り
特集に詰まりますと・・・・こうした違った頭を使いたくなるものです。
(単に飽きた・・・と言われましたら、申し開きはできないのですが・・)

秋のバラを愛でいてまいりました。
10月12日~11月24日までの間。いつも訪ねております「神奈川県立花菜ガーデン」では「ローズフェスタ」の真っ最中。
春にも同様のフェスタがありまして、これは以前ご紹介いたしましたところです。
秋バラは、所謂「四季咲」のバラが花をつける時期であって、「一季咲」のバラは咲きません。(改めて言うまでもないよなぁ・・)
ですから、春程花の数は多くはありません。
じゃぁ、「秋バラの魅力」って?
「私はですねぇ、秋のバラしか撮影しないのですよ」と重装備の初老の男性。
「秋バラの魅力ってなんでしょうか?」と、酔漢が質問。
「それはですねぇ・・・・・ちょっと・・・こういう訳でネ!」
なるほどぉぉ!「・・・・こういう訳であったか!」。
この答えに納得した酔漢です。
その答えは?
では、秋バラ眺めながら探してみましょうか!



このバラの香りは、秀逸です。
日本生まれのバラ「薫乃」です。
ところで、バラの香りを分析する会社があるのをご存知でしょうか。
そして、その会社が日本にあることも、案外知られておりませんよね。
「蓬田バラの香り研究所」と言います。ここの取締役「蓬田勝之」さんは、バラの香りを7つに分類して、その強さでもって、そのバラを特定させております。
因みに、写真の「薫乃」のチャートですが、下記のようになります。



こうしたチャートを品種別に整理させております。
この「薫乃」で作られたオードトワレですが、50mlで3200円程です。高級品ですよねぇ。
香りには興味あるのですが、私目が身につけましても・・・・・止めます!



「ペルル・デ・ジャルダン」というバラです。
1874年、フランス生まれのオールド。ティーローズです。
「ティーローズ」とは、その名が示しますように、「お茶(紅茶)のような香りがする」バラの事です。
そして、このバラは、ことの他、その香が強い品種です。
フランス語で「お庭の真珠」という意味。
クリーム色の花がカップに咲いている様は、可憐に見えますね。
なかなか苗が手に入りにくい品種でもあります。
出会えましたら、是非、香も楽しんでみてください。お勧め!



人類のバラへの執着心(と、いたしましたが・・・)は凄い!って思いました。毎年、新種が発表されて、現在では2万種を越えております。
日本は、その代表的な国の一つです。
しかし、このピンクのバラは人が作り上げた品種ではないのです。
ロックヒルセメタリーという墓地で発見されたバラです。
「ロックヒル・ピーチ・ティー」です。
桃色の花弁で、しかもティーの香が強い。
もう名前がうってつけ!です。写真では、花弁が小さく見えますが、そうでもないです。
大輪です。これは咲きはじめより、すこし経った位かな?



咲きはじめです。コンテストを数々受賞した名花だと思います。
「バーナビー」です。
恰好良い!という形容がぴったり!
「剣弁高芯咲き」とよく物の解説にありますが、花弁の先が少しとがっている事を「剣弁」と言って、茎の芯の上に花を咲かせるので「高芯」となります。
これも咲きはじめ。
でも色が良く出ているので撮影しました。
花が開きますと「白」に近くなります。
これもティーローズですが、少し弱めの香です。



「この深い色は、どう表現してよいやら」・・・・です。
オレンジ色と解説があるのですが、オレンジとも違うし、杏色でもなさそう。
大輪のそれは、八重の重さも感じる程ですね。
「シンシア・ブルック」です。
1943年生まれ。まだ世界大戦最中のイギリスで誕生いたしました。
こうした歴史の背景を思うとき、花の持つ運命と人の出会いに感動しますね。
この頃の薄いオレンジ色が好きで、「待ってました」とばかり撮影しました。
もう少し経ちますと、ピンクがかってきます。
春は、ピンクの方が強い印象を持ちました。



このバラは、葉っぱを撮影しておくべきでした。
よくよく見ますれば、葉に斑が入っているのです。珍しいと気づいたのは最近(と言いますか、撮影後の事でして・・)
「ヘルシューレン」です。
1904年のオランダで「ヘル・シューレン」さんが作ったバラです。そのまま、名前にいたしました。
1900年代ですから、オールドローズと言うよりは、アーリーモダンと言った方が良いのかも。
ティーローズですが、微香です。
園芸店では、あまり見かけませんが、最近ネットではよく出てますね。
このピンクは独特です。



リバーシブルな子です。
花の表が赤で、裏がクリーム色。
咲きはじめでないと、両方の色を楽しむことが出来ません。
「クローネン・ブルグ」です。
しっかり咲きますと、赤しか見えない。裏返しにしたいくらい、クリーム色が鮮やか。
形も上品です。親が名花「ピース」ですから、血統なのでしょうね。
香りは殆どしません。
蔓バラですから、壁にしたいです。
次々咲かせて楽しませてくれます。

とこんな感じで、いつものように平塚は「花菜ガーデン」でバラを愛でいておりまして。冒頭でご紹介しました、初老のカメラマン。
「秋バラの魅力ってなんでしょうか・・」と酔漢が尋ねました。
「花の数では、春には及びません!でもですね・・」
「でも?」
「秋は香が良いですねぇ」
そうです。これは酔漢も気づいてはおりましたが、でも、春とは明らかに、バラ園の雰囲気が違います。
それが何なのか?この部分が気になるところです。
「すみません・・・何かが違うって感じはあるのです。でも、その『何か』が解らないでいるのですが・・」
「はは・・・・何と言いますかねぇ・・・『三十凸凹』(さんじゅうでこぼこ)何ですよ・・」

落語です。よく年増(失礼)の女性が登場する「艶噺」(つやばなし)で、こうした台詞がございます。
「二十七、八。三十凸凹・乙な年増にゃぁ叶うまいて・・」

「なるほどぉぉ!落語?ですね!」
「おや、ご存知でいらっしゃる!」
「落語は・・・そのう・・少しばかり・・談志師匠の『野晒し』でも出てきますね」
「そうそう!それそれ!だから、夏を越えたバラはねぇ。大人の女性の魅力なんですよ!香も強いしねぇ。今で言えば『美熟女』ってとこかな」
うまい!上手すぎる!その表現!脱帽!
「では、春はどちらかと言うと『AKB48』の雰囲気ですね!」
「ほう!旦那さん。(と、呼ばれておりました)上手い事言うねぇ」
と、少しばかり誉められました。
そのカメラマンとは、そこで別れました。重いカバンの中は、きっとレンズだらけなんだろうなぁ。
三脚を立ててバラと対峙するその姿は、何とも言えないオーラを漂わさせております。
正直「凄い人」でした。
酔漢はぶらり、ぶらりとあちこち・・・。

ふと、ある詩を思い出します。
教科書にあった詩。

パンの話

まちがへないでください
パンの話をせずに わたしが
バラの花の話をしてゐるのは
わたしにパンがあるからではない
わたしが 不心得ものだから
バラを食べたい病気だから
わたしに パンよりも
バラの花が あるからです

飢える日は
パンをたべる
飢える前の日は
バラをたべる
だれよりもおそく パンをたべてみせる

パンがあることをせめないで
バラをたべることを せめてください──

吉原 幸子 


バラを見る。バラを愛でいる。
こんな気持ちにならなかったら、この詩の気持ちも分らなかった。
分ろうとしなかった。
そんな出会いに感謝。
バラの記録が、数百枚になりました。

♪私は何を残しただろう♪

秋のバラ


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1 コメント

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こんばんは (見張り員)
2013-10-24 21:29:19
待ってました!のお花の記事^^。
秋のバラ・・・私寡聞にして薔薇は春か初夏のものだと思っていました。
そして秋のバラは香りが豊かだということも知らずにおりました。

色合いも何か、秋のは落ち着いた感じを受けるような気がいたします。

美熟女。
ああ、私とは、全くベクトルの違う・・・ww。
ちょっとでも近づけたらいいなあと美しいバラを見つめて思っております。

「パンの話」
初めて読みました。ゆっくり反芻して読みながら理解をしてゆきたいと思いました。
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