酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

仙台与太郎物語 笑わない男 その2

2009-02-18 08:53:21 | 落語の話?
本題の前にこの男のエピソードをもう一つ。家内は大学の同じゼミナール。(おい!いきなりかみさんの話題かよ!→これ重要な事なのでした)そして、「幸良州」君も同じゼミでした。だから家内とも同級生だったのです。
卒業式でのパーティー。もちろん僕らのリクエストは「忠臣蔵『松之廊下』」を彼に演じてもらう事。その時の彼は何時に無く気合が入っておりまして、衣装を自分でこさえて(これがまた笑える)右半分を吉良。左半分を浅野匠といういでたちでした。いやぁ立ちながら上下切っての演技。熱演。だったそうです。
酔漢さん見てないの?丁度ニューヨークにおりました時で、帰国に間に合わなかったのでした。
「あなた、あれは絶対あなたが腹抱えて笑えるものだった」とは家内の弁。
「おしかった!」と、今更ながら思うのでした。

「幸良州」君登場。もちろん出囃子は彼が演奏して録音したもの「舞台囃子」という出囃子での登場です。

えーーっ。お酒を呑まれる方は大勢いらっしゃいますが。私はどちらかと言いますと「下戸」でございます。「お酒がないとやってらんなぁい」と言う訳ではございませんので、「禁酒法」ができましても「あぁそうですか」てな具合です。
先ほど出られました「新海亭あん好」さんなら「じょうだんじゃねぇぇぇぇ」ときっと叫ぶはずでございますが。
先日もうちのアパートに「あん好」さんが来まして・・
「どうせお前なんか呑まないんだから、この酒が成仏できなくて可愛そうだ」と勝手に話していたかと思っておりましたら、取っておきの「リザーヴ」を一本空けて帰りました・・。
その間私目は「長崎屋のカステイラ」をちびちび食べていたわけです。
これ!信じられますぅ!
だからのんべえぇは嫌いだ!
江戸時代。とある藩の家中。飲んだくれ同志が喧嘩になりましての刃傷沙汰。
これがお殿様の耳に入りました。お殿様大層ご立腹。
「我が藩で酒を呑むことは今後まかりならん!」との御触れが出されました。
さぁ困ったのは家中の酒好き達でございます。
「近藤氏、いかがなされた?どうも顔色が良くないではないか」
「どうも、具合が悪くてしょうがない。酒が呑めんので、昨日は意地を張ってぼたもちばかり食しておったが胸やけがひどくなってしまった」
「いやな、拙者も同様でござる。酒がないと喰いすぎてこまる・・誠にきまりが悪くてかなわん」
「お互い、御用がつかんであるな」
「ぼんやりしていて困る。御用がはかどらん」
「御用が、はかどらんとは、ゆくゆく藩の為にはならんなぁ。隠れてちょいとやりもうすか?」
「ほほう、そうであるな。まっことお家(おいえ)の為でござる」
勝手な理屈でございます。このように、ないしょで一杯ひっかけて御門を通る家臣が出てまいりました。そのうちにべろべろに酔っ払ってどうどうと歩くような輩も出てくる始末。「この事がお殿様の耳でも入ったら大変」と上役の家臣が心配いたしまして御門の所へ番屋をこしらえて酒の取り締まりをするようになりました。
えーー先日45号線を走って(車で)おりましたら、やってましたねぇーー。
飲酒の取り締まり。今の時代は、あんな感じでしょうが当時はちょっと様子が違っておりました。
家中の侍の酒気帯びを取り締まるのはもちろんですが、出入りする商人たちの荷物まで調べるというものでございます。国事ではないんですが「酒の密輸」を取り締まるようなものでございます。税関と検問を一緒にしたような厳しさでした。
そこで付いた名前が「禁酒番屋」でございました。

(とある商人の店先にて・・)
「もし、近藤様。近藤様、ちょっとお寄りくださいやし」
「うん。なんだ」
「どうもえらい事になりましたなぁ。家中御禁酒という事でございまして、近藤様は人一倍お酒がお好きでいらっしゃいますのに、さぞお困りでございましょう」
「ああ困る!非常に困る事態である。しかしな、呑んでおる。好きな酒である。呑まずにいられるか。いやな屋敷で飲むわけにはまいらん。外へまいって呑むのだが、赤い顔をして通りを歩くわけにもまいらんので、酔いがさめるのを待ってかえるような次第であるな。これでは、酒を呑んだ気がせんではないか。だが、その方もとんだ、とばっちりを食ったものよのう・・はっはっはっは・・」
「へぇ、もうねぇ近藤様。えらい災難でございます。なにしろ出入り差し止めでございますんで・・」
「いや、そう心配いたすな!これも長い事はあるまい。いずれ解禁となろう。いやいや困るのはその方ばかりではない。身どもも困る。はっはっは・・実はな、本日も酒を呑もうとな。小屋を出たのだ。番頭酒を一升持ってまいれ」
「それは、困ります。ここでお呑みになった事がお屋敷に知れますと、手前どものお店がお叱りをうけますもんで・・・」
「なに、心配いたすな。他へ持って呑みなおすのだ。すぐ、屋敷へ戻るのではないのだから、安心してつげ!丁度枡があるではないか。それへついでもらおう」
一升枡へなみなみと注がれた酒を、きゅぅぅーーっと空けてしまいました。
「いやぁ、いつもながら見事なのみぷっりでございますな」
「おぅ、いや、とんと夢中で空けてしまった。うーーん味もよくわからんかった。もぅ一升ついでくれぬか」
注がれた二杯目も息もつかず呑んでしまいました。
「いや、おかげでもって、いい心持ちになった。これ、番頭、お前の迷惑にはさせんから、拙者の小屋まで、酒を一升持ってまいれ!何分、酒がなくては寝つきがわるくてかなわんからな」
「そうは申しましても近藤様。その御門の前には番屋がございます。あそこ(あすこ)で荷物やら何やら調べられますんで、中へ入ることはできません」
「そう申すか?そこが商人の知恵というものであろう。金銭なら心配せんでもよい。糸目はつけんから、酒を届けにまいれ!いいか?しかとたのんだぞ!」
「いいえ、近藤様。いくらお金を積まれましても・・こんど・・ぅ・・さ・・まぁ。・・あれ、いっちまったよ。困ったなぁ、どうも・・・」
「ねぇ、番頭さん。あんにお酒の好きな近藤様だ。なんとか、届けてあげたいじゃないか、えぇ!」
「そりゃ、届けたいのはあっしも一緒なんでございやすが、番屋がございやすんで、どうにもこうにも、こればっかりは・・」
「ねぇ、番頭さん。あすこを通るいい手があるんでございます」
「ほう、いい手とはな・・で、どうやって番屋を通るんだい?」
「カステラでございます」
「カステラとは・・・しかして・・」

侍が登場する落語は「幸良州」君の真骨頂。何せ、顔が侍を演じるだけのものを持っております。(少しばかし強面?)
これだけで、客席をつかめるのでした。

彼の実家は栃木県日光。日光と言えば「日光江戸村」(不思議なんですが、どうして「ウェスタン村」もあるのでしょう・・・)「幸良州」君。当然、アルバイト先に選んでおります。(夏休みとか帰省したとき)当然エキストラ。水を得た魚同様。普段のまま?ものきを着て、通りを歩いているのでした。
飛脚だったり町人だったり侍だったり・・・
当時、「遠山の金さん」お白砂ではあの「赤影」さんがその役でして、彼から直筆のサインを見せられた事がありました。
感動でした。彼は、その時「岡っ引き」をしていたのでした。
つくづく・・・「天職だよなぁ」と思った酔漢でした。
「禁酒番屋」続きは明日・・予定です。

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2 コメント

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赤影 (ひー)
2009-02-19 23:55:37
赤影さんのお白砂の演技は江戸村で見ましたよ。
昔のイメージは全くありませんでした。私と同じく、中年太りと言うとこですか。
その後、ウェスタン村で働いていたのを見かけました。

いつの間にかアップしてましたね。
気付きませんで…
まだ勤務中ですので、仮眠の前に続きを読みます。

禁酒番屋とは、これじゃ~くだまきも出来ませんね。

入浴に行って見れなかったのは残念でしたね~
その手作り着物、今でももっているかも?
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家内から・・ (酔漢です )
2009-02-23 18:51:50
「あなたがニューヨークに行く初日に鳴子でゼミの打ち上げがあったんだよ。で、塩釜駅から小牛田まで一緒に電車に乗ったんじゃなかった?俺は夜に成田行くからって」
まったく忘れておりました。
卒業とゼミの打ち上げとニューヨーク研修と同時進行だったのでした。
禁酒番屋の現場におりますれば、酔漢ですので、ありとあらゆる手を使っていたんだろうなぁと想像します。
ひー様もご一緒に・・・お知恵を拝借!
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