「今回は、柱となる俳優が必要だな」
「とするとだ・・・おのずから・・・決まってくる・・・」
「ああ、これを前提としないと、この芝居はあらぬ方向へと彷徨する!」
「うまい!」
「あのぉ冗談いっているばあいじゃないじゃん」
「だから、過去にアガサ経験してるのって・・『猫写真家』しかいないわけで・・」
「検察側の証人・・・だっけ?」
「そうそう、劇団河鹿でやったやつ」
「あれは迫力があった・・・」
上記、ミィーティング議事録です。
ある友人君、おおた君、猫写真家、せっちゃん、酔漢、みずま君、いその君・・・・。
脚本が決まって、先に、演出家を決めて、助演を決めて、製作スタッフと配役を決めなければ、芝居にはなりません。
「アガサ」それも「招かれざる客」にしようと、最初に言ったのは「猫写真家君」。
これに決まるのも紆余曲折がございまして。
「十一匹のねこ」という声が多々ございまして・・。
「私、やってみたい!」と一年後輩のまきちゃん。
「脚本はおもしろいよな」と「やすがひら君」が乗り気。(彼も後輩)
ですが・・・。
「いいよやっても。でもさぁ。この中に踊れる奴いる?」
全員がしぃぃぃぃぃんん。
「ミュージカルだろ。踊りの練習で一年が経っちまう」
ある友人君が釘を刺します。
そうなんです、誰一人、バレエとかダンスの経験者が皆無の演劇同好会でございました。
「天井桟敷」のような肉体派もいないし。野田秀樹風に会場を走り回るわけにもいかない。
かと言って、つかこうへいの脚本にもダンスはつきものだし・・・。
だとすれば。
「清水邦夫とか・・・・」と、ともひろ君。
「くらすぎるぅぅぅ」と却下。
「港町の場末の街に潮風と霧笛が響いて、そこに住む人間模様・・・・それが踊り子だったりサーカスの団員だったり床屋だったり・・・・」
「読んでると、解るんだけどなぁ。実際やるとなると・・・重いよなぁ・・」
「そう、案外おれ達って、哲学してないよなぁぁ」
脚本を決める段階でも、もめてます。
ですから、猫写真家君の提案に僕らは反対しませんでした。
芝居にかけては彼のキャリアに勝る奴はだれもおりませんでしたので、彼が役者をやる以上、彼の土俵に合わせるのが大作への早道だったわけです。
演出は「ある友人」=「けんちゃん」
「猫写真家君がスター・クェッダー(主人公)だから、彼の負担と・・・奴の演技に口出せるのは俺しかいない!」
これには、全員納得でした。
酔漢もある脚本を提案しまして。
「十一人の怒れる男」
「ヘンリーフォンダの映画でも、最高。脚本も一流。舞台装置に金はかからない。演技は鍛えれば何とかなる!これしかない!」と力説。
ですが、最も大事なことを忘れておりました。
せっちゃん、ろこちゃん、さとみちゃんから大きな物言い。
「えっつ?冗談じゃないわよ!女優が必要ないじゃん!」
これにも。全員しぃぃぃぃんん。
「そう!これで行く!アガサ・クリスティー原作。招かれざる客。深町真理子訳」
そうして、現在に至っております。
配役は、「ある友人」に一任。
読み合わせを繰り返して決める事にしました。
「酔漢、トマス警部の台詞。みずま、部長刑事。一幕二場」
キャドワラダー部長刑事 美しい。適切で、かつ美しい。
トマス警部 (けわしく)キャドワラダー部長刑事!
部長刑事 霧とあまやかな実りの季節、成熟をもたらす太陽の親しい友。
警部 なに?
部長 キーツですよ。どうも心からいい日和だとは言い切れませんね。ゆうべここにたどりつくまでの騒ぎを思うと。あんなひどい霧、何年もお目にかかったことがありませんよ。カーデ ィフ・ロードで車の事故が続出したのも無理はありません。
警部 ひょっとすると、もっとひどいことになっていたかもしれんぞ。
「ストーップ!酔漢、重みがないんだ。声はそれなりなんだけどなぁ。どうもイメージが違う・・・みずまは逆に軽すぎ。この台詞はいいんだけど、後半はやはり『プレイボーイ的』要素が少なくなる。一応、刑事なんだから・・・悩むなぁ」
ある友人君、隣に座る助演出の、おおた君と何やら話しておりました。
「としお!この台詞。トマス警部のとこ。さっき酔漢の言ったとこ。同じ場面」
酔漢が聞いていても、としお君がはまっておりました。
彼は大きな体をしてますし、のっぽ気味?のみずま君とのコンビは舞台でも映えました。
「酔漢!ジュリアンファラー。決定。なんか小賢しい政治家は、似合う!」
この付録には爆笑!
「こざかしい政治家ってなんすか?」
「酔漢君ねぇ。宮城語禁止だからね!」
せっちゃんに釘を指されました。
「ヒロイン。ローラのみつえちゃんは似合い過ぎてるよなぁぁ」
「でもなぁ、俺からすれば注文が一つある」
「みつえちゃん。あと一か月で5kは太ってくれる?」
「どうしてよぉぉ!」
「舞台でねぇ、どうしても全体的にボリューム負けしそうで・・」
そうそう、彼女の体重40㎏前半。身長は157㎝位。本当にスリムな体型なのでした。
「ウォリック夫人の、さとみだろ。ミス・ベネットのけいちゃんとの比較においてだなぁぁぁ・・・・」
とある友人君が考え事をしておりますと。
「ちょっとぉ、ある友人先輩。私たちがそのぉぉ。ボリュームがぁぁ・・・ってことですか!」
「いや!そのぉ。そうじゃなくて、あくまでも比較の話であってだなぁ」
流石の演出家も彼女達の攻撃にタジタジでした。
あとの話ですが、結局、ストレスとか練習で体力を使ったからか、みつえちゃんの体重は公演が近づくにつれて更に少なくなったとか。
(上記、本人に直接聞いておりませんので何とも言いようがございませんが・・噂の域でございます・・)
配役は全員が決まりまして、それは、前々回のくだまきにいたしたところです。
スター・クェッダー あの人死んでますよ!
ローラ (無表情で)ええ。
スター・クエッダー ご存知なんですか?
ローラ ええ。
スター・クエッダー 撃たれてます。頭をね。だれが・・・・?
ローラゆっくりとドレスのひだに隠れていた手をあげる。その手にリボルバー。スタークエッダー、はっと息をのみ、つかつかと歩みよってそれを彼女から取り上げる。
スター・クエッダー あなたが撃ったんですか?
ローラ ええ。
スタ・クエッダー、彼女の前を横切り、拳銃を車椅子のそばのテーブルに置く。リチャードを見下ろして、しばらく立っていてから、ためらいがちに室内を見まわす。間。
電話ならそこにありますわ。
スター・クエッダー 電話?
ローラ 警察に電話なさるのでしたらね。
舞台は幕があがるとすぐ様、緊張感が蔓延します。
密室とは言えないまでも、客は目の前で起こったであろう殺人事件に釘づけになります。
この間、BGMは一切なし。
二人の会話と息遣いまでもが聞こえて来そうです。
しばらくは二人芝居が続きます。
出番はまだ先に酔漢ですが、この二人の会話からこちらも改めて緊張してきます。
落語ではありません、芝居の緊張感は独特のものがあります。
一つのミスもなく、第一幕第一場面が続きます。
猫写真家、流石です。
「とするとだ・・・おのずから・・・決まってくる・・・」
「ああ、これを前提としないと、この芝居はあらぬ方向へと彷徨する!」
「うまい!」
「あのぉ冗談いっているばあいじゃないじゃん」
「だから、過去にアガサ経験してるのって・・『猫写真家』しかいないわけで・・」
「検察側の証人・・・だっけ?」
「そうそう、劇団河鹿でやったやつ」
「あれは迫力があった・・・」
上記、ミィーティング議事録です。
ある友人君、おおた君、猫写真家、せっちゃん、酔漢、みずま君、いその君・・・・。
脚本が決まって、先に、演出家を決めて、助演を決めて、製作スタッフと配役を決めなければ、芝居にはなりません。
「アガサ」それも「招かれざる客」にしようと、最初に言ったのは「猫写真家君」。
これに決まるのも紆余曲折がございまして。
「十一匹のねこ」という声が多々ございまして・・。
「私、やってみたい!」と一年後輩のまきちゃん。
「脚本はおもしろいよな」と「やすがひら君」が乗り気。(彼も後輩)
ですが・・・。
「いいよやっても。でもさぁ。この中に踊れる奴いる?」
全員がしぃぃぃぃぃんん。
「ミュージカルだろ。踊りの練習で一年が経っちまう」
ある友人君が釘を刺します。
そうなんです、誰一人、バレエとかダンスの経験者が皆無の演劇同好会でございました。
「天井桟敷」のような肉体派もいないし。野田秀樹風に会場を走り回るわけにもいかない。
かと言って、つかこうへいの脚本にもダンスはつきものだし・・・。
だとすれば。
「清水邦夫とか・・・・」と、ともひろ君。
「くらすぎるぅぅぅ」と却下。
「港町の場末の街に潮風と霧笛が響いて、そこに住む人間模様・・・・それが踊り子だったりサーカスの団員だったり床屋だったり・・・・」
「読んでると、解るんだけどなぁ。実際やるとなると・・・重いよなぁ・・」
「そう、案外おれ達って、哲学してないよなぁぁ」
脚本を決める段階でも、もめてます。
ですから、猫写真家君の提案に僕らは反対しませんでした。
芝居にかけては彼のキャリアに勝る奴はだれもおりませんでしたので、彼が役者をやる以上、彼の土俵に合わせるのが大作への早道だったわけです。
演出は「ある友人」=「けんちゃん」
「猫写真家君がスター・クェッダー(主人公)だから、彼の負担と・・・奴の演技に口出せるのは俺しかいない!」
これには、全員納得でした。
酔漢もある脚本を提案しまして。
「十一人の怒れる男」
「ヘンリーフォンダの映画でも、最高。脚本も一流。舞台装置に金はかからない。演技は鍛えれば何とかなる!これしかない!」と力説。
ですが、最も大事なことを忘れておりました。
せっちゃん、ろこちゃん、さとみちゃんから大きな物言い。
「えっつ?冗談じゃないわよ!女優が必要ないじゃん!」
これにも。全員しぃぃぃぃんん。
「そう!これで行く!アガサ・クリスティー原作。招かれざる客。深町真理子訳」
そうして、現在に至っております。
配役は、「ある友人」に一任。
読み合わせを繰り返して決める事にしました。
「酔漢、トマス警部の台詞。みずま、部長刑事。一幕二場」
キャドワラダー部長刑事 美しい。適切で、かつ美しい。
トマス警部 (けわしく)キャドワラダー部長刑事!
部長刑事 霧とあまやかな実りの季節、成熟をもたらす太陽の親しい友。
警部 なに?
部長 キーツですよ。どうも心からいい日和だとは言い切れませんね。ゆうべここにたどりつくまでの騒ぎを思うと。あんなひどい霧、何年もお目にかかったことがありませんよ。カーデ ィフ・ロードで車の事故が続出したのも無理はありません。
警部 ひょっとすると、もっとひどいことになっていたかもしれんぞ。
「ストーップ!酔漢、重みがないんだ。声はそれなりなんだけどなぁ。どうもイメージが違う・・・みずまは逆に軽すぎ。この台詞はいいんだけど、後半はやはり『プレイボーイ的』要素が少なくなる。一応、刑事なんだから・・・悩むなぁ」
ある友人君、隣に座る助演出の、おおた君と何やら話しておりました。
「としお!この台詞。トマス警部のとこ。さっき酔漢の言ったとこ。同じ場面」
酔漢が聞いていても、としお君がはまっておりました。
彼は大きな体をしてますし、のっぽ気味?のみずま君とのコンビは舞台でも映えました。
「酔漢!ジュリアンファラー。決定。なんか小賢しい政治家は、似合う!」
この付録には爆笑!
「こざかしい政治家ってなんすか?」
「酔漢君ねぇ。宮城語禁止だからね!」
せっちゃんに釘を指されました。
「ヒロイン。ローラのみつえちゃんは似合い過ぎてるよなぁぁ」
「でもなぁ、俺からすれば注文が一つある」
「みつえちゃん。あと一か月で5kは太ってくれる?」
「どうしてよぉぉ!」
「舞台でねぇ、どうしても全体的にボリューム負けしそうで・・」
そうそう、彼女の体重40㎏前半。身長は157㎝位。本当にスリムな体型なのでした。
「ウォリック夫人の、さとみだろ。ミス・ベネットのけいちゃんとの比較においてだなぁぁぁ・・・・」
とある友人君が考え事をしておりますと。
「ちょっとぉ、ある友人先輩。私たちがそのぉぉ。ボリュームがぁぁ・・・ってことですか!」
「いや!そのぉ。そうじゃなくて、あくまでも比較の話であってだなぁ」
流石の演出家も彼女達の攻撃にタジタジでした。
あとの話ですが、結局、ストレスとか練習で体力を使ったからか、みつえちゃんの体重は公演が近づくにつれて更に少なくなったとか。
(上記、本人に直接聞いておりませんので何とも言いようがございませんが・・噂の域でございます・・)
配役は全員が決まりまして、それは、前々回のくだまきにいたしたところです。
スター・クェッダー あの人死んでますよ!
ローラ (無表情で)ええ。
スター・クエッダー ご存知なんですか?
ローラ ええ。
スター・クエッダー 撃たれてます。頭をね。だれが・・・・?
ローラゆっくりとドレスのひだに隠れていた手をあげる。その手にリボルバー。スタークエッダー、はっと息をのみ、つかつかと歩みよってそれを彼女から取り上げる。
スター・クエッダー あなたが撃ったんですか?
ローラ ええ。
スタ・クエッダー、彼女の前を横切り、拳銃を車椅子のそばのテーブルに置く。リチャードを見下ろして、しばらく立っていてから、ためらいがちに室内を見まわす。間。
電話ならそこにありますわ。
スター・クエッダー 電話?
ローラ 警察に電話なさるのでしたらね。
舞台は幕があがるとすぐ様、緊張感が蔓延します。
密室とは言えないまでも、客は目の前で起こったであろう殺人事件に釘づけになります。
この間、BGMは一切なし。
二人の会話と息遣いまでもが聞こえて来そうです。
しばらくは二人芝居が続きます。
出番はまだ先に酔漢ですが、この二人の会話からこちらも改めて緊張してきます。
落語ではありません、芝居の緊張感は独特のものがあります。
一つのミスもなく、第一幕第一場面が続きます。
猫写真家、流石です。
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