レンタルDVDで観賞した映画『トーベ』の感想です。世界中で愛され続けているムーミンを生み出したトーベ・ヤンソンの半生の物語。父は彫刻家、母は挿絵画家で、その間に生まれたトーベは、挿絵画家、風刺画家、短編作家として活躍していました。舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーや政治家・哲学者・作家・ジャーナリストでもあったアトス・ ヴィルタネンとの係わりを経て、ムーミンを世に送り出すきっかけとなって行く以前までの道のりが描かれていた映画でした。
ヴィヴィカの勧めで、初めてムーミンの物語を舞台劇をすることになりましたが、その舞台の準備をしていたムーミンを演じる役者から「なぜいつもムーミンは優しいのか。」と素朴な疑問を問われます。「彼は臆病なの。いつも不安なのよ。愛が彼を強くする、愛を邪魔されたら怒るわ」とトーベは答えていました。ムーミンの登場人物が実在していた人物のモデルでもあったとも言われています。ムーミンに出てくる登場人物に、トーベの心の中やモデルとなっていた人々の思いを投影していたのかもしれないなあと思いました。
この映画では、あまり知らなかった作者のことがよく伝わってきた映画でした。ムーミンの作品の中には、作者が最も大切にしていたかと思われる自由と愛が込められていたのがこの映画を観るとなんとなく伝わってきたような気がしました。