ずっと前の話しだがあるスーパーマーケットの社長と対談する機会があった。二代目として承継された頃だったか、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長の社長の口から出たのは自信ではなく紛れもない不安と迷いの嘆きだった。第三者ということで謙遜から出た言葉と思っていたがどうもそうではない、孤独感からくる本音のような気がした。
「どれほど大きな成功を収めている人でも、どんなに幸せそうな人でもそうなるためには人生のどこかで小さな一歩を踏み出してやるべきことをやらなければならなかったんだ。実際、つまずくこともあっただろうし派手に転んだこともあったんじゃないかな。でも、彼はすぐに立ち上がって歩き始めた。運だけで成功する人なんて一人もいないってことを忘れないでほしい。だから、挫折してもそこであきらめないで努力を続けたのだ。」(カレン・オクリックズ)
遺産が転がり込んだり強運な人はいるかも知れないが、馬鹿でない以上一生のほほんと遊びほうける人はいない筈。人間誰しも多かれ少なかれストレスを感じリスクやプレッシャーと闘いフラストレーションを抱くものだ。どんなにひ弱でも自分の足で歩かないことには明日を迎えることはできない。社長はそう言いたかったのだろうと別れ際に思った。