
冬眠していた地中の虫達が春の陽気に誘われ這い出てくる「啓蟄」(けいちつ)の日。「啓」は開くと言う意味、「蟄」は執念の字の下に「虫」を書き、虫がとらわれた状態を意味するとか。虫とは昆虫以外にもヘビやカエルなど春を待つ小動物の総称らしい。
まさに土の中にとらわれていた虫が蠢いて(うごめいて)地上に出て来る様子を表している。「蠢く」という字は「春」の下に「虫」と「虫」を書き、虫達が春を感じ取って動き出す様を字に表している。

気温上がり躍動の春を目前に過敏な人間どもは「啓蟄」ならぬ冬を脱ぎ捨てワードローブの奥からカットソーを取り出してくる。されど寒暖の差が激しく再び冬に逆戻り、結局は朝の天気予報とにらめっこ。曇天の窓を眺めると飛散始めた花粉は行き場なくフル稼動の空気清浄機の音だけが耳につく。それにしてもこんな「啓蟄」の日は出ようか待とうか?虫達の決意も鈍るだろう。