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私たちは宇宙にいる――それこそがほんとうの「リアル」のはずである。この世界には意味も秩序も希望もあるのだ。

河野良和氏の心理療法④~“決定的な影響力を持っている強力な「心の働き」”

2020-05-23 | 二つの心理療法について
 先に書いたように、今後、しばらく河野氏に関しては、

 『悩みに負けない!――心が強くなる新逆転発想法』(PHP、1996、河野良和〔河野心理研究所所長〕) 

 の、特に注目すべき

 第Ⅳ章「悩みを逆転する「感情モニタリング3」」

 から1・2頁ずつ、省略なしで引用し、若干のコメントを加えていくこととする。
 早速、今回はその冒頭部分を紹介する。前回引用した部分を含むがご了承願いたい。(改行は原文ママ。開業後に一行アキを挿入した)

***



 悩み逆転の発想を身につけよう

 「感情の感じ方」「意轍のしかた」に気を配る

 意外な方法、とは言っても、あなたには、そろそろ意外ではなくなっているかもしれません。でも、この本を読むまでは知らなかったに違いないことです。いわば、意識の盲点に入っていながら、実際には自分自身に決定的な影響力を持っている強力な「心の働き」の話です。

 ありふれた日常での意識、思いには、驚異的な作用が潜んでいます。

 この、思いに潜む強力な作用に気づいたとき、私は本当に驚き呆然としてしまいました。

 それは私だけではありません。相談に来られた人には、話の流れに沿いながら、折を見て、この思うことによる強い影響の話をし、実際に体験してもらっています。それらの人人も、その体験の中で、それぞれの知り方に応じてショックを受けるようです。

 しかし、この思いの作用の話は、誰にも簡単には通じませんでした。当初は私にも容易に信じられなかった話です。これが確実で、安全であることも分かり、心理治療に用い始めて、心理臨床の専門家たちにも折々に話してきましたが、彼らにも簡単には通じませんでした。この通じにくさを、ずっとこれまで二十年ほど体験してきましたから、通じにくいことはよく分かります。でも、通じると、来談した人々でも専門家たちでも、とたんに目をみはるような動きが始まりました。心の中に大革命でも起きたようです。

 まだ私自身にも、この思いの強力な作用について、どのように説明すると通じやすいのか、よく分からずにいることがたくさんあります。でも、いま私にできるかぎりの説明をしてみます。

 これまでのおさらいというか、簡単にまとめて、思いの作用について述べてみます。

 その一つは、この本でいままで「もう一つの感情」とか、「二次の感情」「二次の心」と呼んできた心の働きです。

 普通、自分の思い通りにならない感情も、この「感情の感じ方」「意識のしかた」という二次の心に気を配り、対応すると、意外に簡単に自分でコントロールできます。

 何かで悩んでいるとき、たいていは、その悩むつらい気持ちでいるだけではありません。そのつらさに対して、「耐えがたき」「居たたまれなさ」「困惑」、いろいろな我慢のしかたなどが、おのずと生じます。この派生的感情を二次の心と呼びました。悩んでいるときには、おおむねは不快で、つらい感情です。いろいろ考え込んでしまったりもします。
(200~201頁)




(画像は阿蘇山。内容とは関係ありません)

***


 河野良和氏の、文字通り「革命的」と言って過言ではない独自のセラピーについて、記事を続けていきたい。
 上掲のとおり、このセラピーに関しては河野氏自身が、「心の中に大革命でも起きたようです」「驚き、茫然としてしまいました」と、その発見の驚きを率直に語っておられる。

 そういった内容なので、まだ心底それに熟達していない私が下手に書くと誤解を招くことが危惧される。そこで以降は、直接河野氏自身の著作を引用・紹介することとした。

 改めて言えば、この心理療法は真に画期的な内容にもかかわらず、世間には全く知られていないと言っていい。これについて、私が知っているだけではあまりに惜しい、というか残念過ぎる。
 私でさえそうなのだから、河野氏はさぞ無念であったろうと推測する。もっとも、氏の場合は「思い」をコントロールしてあえてそう「思わなかった」ことであろうが。
 そういうわけで、不肖・私が抱え込んでいるだけではなく、誰か一人にでも届けないことには、大げさなようだが死んでも死にきれないという思いがずっとしてきた。
 そこでこうして縷縷紹介しているわけである。

 そういう思いからではあるが、もちろんこうして著作を再掲するというのは、あまり詳しくはないが著作権法上の問題に抵触するのかもしれない。そうであれば、関係者の方からのご指摘があれば削除する。その際はこのブログのコメント欄あてご連絡いただければと思う。


 さて、引用文に「この、思いに潜む強力な作用に気づいたとき、私は本当に驚き呆然としてしまいました」とあるとおり、河野氏にとっても「思い」の強力な作用に気づいたときには、にわかに信じられない思いがしたようだ。
 そして「まだ私自身にも、この思いの強力な作用について、どのように説明すると通じやすいのか、よく分からずにいることがたくさんあります」とあり、心理の専門家として、それに気づいても人に伝えるのは難しいと感じたようである。

 それはそうであろう。「思っただけではどうにもならない」と思われている心の常識に、これは真っ向から反する心理現象だからである。
 そのことは当然ながら氏も百も承知しておられ、だからこその驚きだったはずである。

 そして「これが確実で、安全であることも分かり」とあることは、これから紹介するところを見ていただくことで、わかる方にはご理解いただけるものと信じる。
 この私たちの「心の中に大革命」のような現象が起きるというのである。実際そうであると感じる。


 ところで、ここでいう「感情モニタリング3」とは何か。

 実は、この前の第Ⅲ章までに、氏の「感情モニタリング2」の実践方法が具体的に述べられており、第Ⅳ章からのいわば「暗示論」がその積み重ねの上にあるものであることを、この「感情モニタリング3」という名称は示している。
 河野氏の確立した新自律訓練法=「感情モニタリング」の、さらにその進化版が「感情モニタリング2」である。機会があれば紹介したいが、ともあれ「暗示」の力を有効に活用することで自律訓練法・自己催眠療法を極めて容易に、その効果を強力なものにするというのが「感情モニタリング3」の内容である。

 実は私も身に着けていないので、これらについては確たることが言い難い。しかしそれ自体が極めて有効な心理療法であることを期待させるものであり、今後ぜひ身に着けたいと考えている。

 しかし大家にケチをつけるようで恐縮だが、これはあまりうまいネーミングとは言い難い。
 河野氏の伝えたかったことの眼目であっただろう「暗示論」の名称としては、「感情モニタリング3」ではその全体を表現したことにならないし、イメージ的にも誤解を招くのではないかと思う。
 もう少し別の名称を付けていてくれていればと思う一方、それを発表する機会はなかったのだろうとも推察する。

 河野心理教育研究所のサイトの「電子ブック」でも、「河野良和の暗示論」とされ、特に名づけはされていない。
 氏の専門的論文では「意識体験治療論(暗示論)」(https://ci.nii.ac.jp/naid/40006208321)としているようだが、これではあまりに一般向けではない。

 そこで、このブログでは、故・河野氏に敬意を表して「河野療法」としていこうと思う。

 日本由来の、世界に発信すべき心理療法があるとすれば、別に書いている岡野守也先生のコスモロジーセラピー及び唯識心理学を除けば、まさにこの「河野療法」をおいてほかにない。

 そのことがだれか一人にでも伝わればと思う。


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