人魚姫
子どもの頃「人魚姫」がとてもすきだった。
知ったのは、幼稚園の頃だと思う。
わたしはたぶん、とても美しい物語だと、感じたのだ。
泡となり、消えていく、むくわれることのない愛。
子どもの頃、わたしはハッピーエンドのお話なんてぜんぜんすきじゃなかった。
なんだか美しくないし、つまらないと思っていた。
私は美しい物語を好んでいた。
ハッピーエンドっていいなぁ。そう思うようになったのは、二十歳過ぎてから。
まぁ、しあわせな子どもだったのかもしれない。
わたしが心を入れ替えたのは、映画「カミーユ・クローデル」(イザベル・アジャーニ主演)を見てから。十年ちょっと前だと思う。
わたしは絶対に、こんな人生はイヤだ!!! と思った。
あなたの人生はこのまま行くと、こうです! と見せられているような気がした。
わたしはしあわせになるのだ!!! と決めた。
ハッピーエンドを愛せるようになった。美しくなくても。
「美しさ」より「しあわせ」よ!!!
去年の十二月、「柳美里の『自殺』」(河出書房新社)という本を読んだ。
この本は「図書館で不用になった本をリサイクルします。どうぞ持っていって下さい」とあった中からもらってきた。
柳美里の本は読んだことがなく、そのうち何か読んでみようと思ってはいた。
でも、「自殺」だしなぁと躊躇しつつも、持ち帰った。
この本の中に、中学校二年のときにクラスメートの女の子に恋をして、それからいくつか恋愛をしたけれど、彼女のことをいままででいちばん好きだったのではないか。
その子に「私はあなたのことが好きです」といったら、「あなたの全部が嫌い」といわれたと。
相手が男だろうが女だろうが、すきな人に全否定されてしまうのは相当応えるだろう……。私でも。
実際、彼女は深くは切れなかったけど、かみそりで手首を切ったと。
私が戯曲を書いているのは彼女が演劇部だったせいかもしれない、ともあった。
私の中では、なんとなく彼女と人魚姫が重なるような気がしている。
この間読んだ細川ふみえの「万華鏡」には、人魚姫は二本の足を手に入れたけれど、歩くたびに足は痛む。生きるとはそういうことなのかもしれない……と、あった。
※この間書店で、どこの出版社だったかまでは覚えていませんが、「柳美里の『自殺』」を大幅に加筆したという「自殺」という文庫本を見ました。
子どもの頃「人魚姫」がとてもすきだった。
知ったのは、幼稚園の頃だと思う。
わたしはたぶん、とても美しい物語だと、感じたのだ。
泡となり、消えていく、むくわれることのない愛。
子どもの頃、わたしはハッピーエンドのお話なんてぜんぜんすきじゃなかった。
なんだか美しくないし、つまらないと思っていた。
私は美しい物語を好んでいた。
ハッピーエンドっていいなぁ。そう思うようになったのは、二十歳過ぎてから。
まぁ、しあわせな子どもだったのかもしれない。
わたしが心を入れ替えたのは、映画「カミーユ・クローデル」(イザベル・アジャーニ主演)を見てから。十年ちょっと前だと思う。
わたしは絶対に、こんな人生はイヤだ!!! と思った。
あなたの人生はこのまま行くと、こうです! と見せられているような気がした。
わたしはしあわせになるのだ!!! と決めた。
ハッピーエンドを愛せるようになった。美しくなくても。
「美しさ」より「しあわせ」よ!!!
去年の十二月、「柳美里の『自殺』」(河出書房新社)という本を読んだ。
この本は「図書館で不用になった本をリサイクルします。どうぞ持っていって下さい」とあった中からもらってきた。
柳美里の本は読んだことがなく、そのうち何か読んでみようと思ってはいた。
でも、「自殺」だしなぁと躊躇しつつも、持ち帰った。
この本の中に、中学校二年のときにクラスメートの女の子に恋をして、それからいくつか恋愛をしたけれど、彼女のことをいままででいちばん好きだったのではないか。
その子に「私はあなたのことが好きです」といったら、「あなたの全部が嫌い」といわれたと。
相手が男だろうが女だろうが、すきな人に全否定されてしまうのは相当応えるだろう……。私でも。
実際、彼女は深くは切れなかったけど、かみそりで手首を切ったと。
私が戯曲を書いているのは彼女が演劇部だったせいかもしれない、ともあった。
私の中では、なんとなく彼女と人魚姫が重なるような気がしている。
この間読んだ細川ふみえの「万華鏡」には、人魚姫は二本の足を手に入れたけれど、歩くたびに足は痛む。生きるとはそういうことなのかもしれない……と、あった。
※この間書店で、どこの出版社だったかまでは覚えていませんが、「柳美里の『自殺』」を大幅に加筆したという「自殺」という文庫本を見ました。