久しぶりに二人で出かけた。
父と話すことは、家にいても出かけても同じ。
山の色づき具合だとか、今年の白菜の出来だとか。
中部横断道路の話しになった。
我が家のすぐ近くを通るらしい。
やだな、風景が変わってしまう、夜の明かりが増えて暗闇がなくなってしまう。今だって子どもの頃に比べて、外灯が増えたから月明かりを楽しむには邪魔。
夜は窓を開けたら真っ暗な山が目の前、けっこう自慢なのに。
・・・時間とともに、変わっていくものが進化なのか退化なのか。
「そうなったら、ちゃんと暗闇とお日様のあるところに引っ越そうかな~」と言ってみた。
「その頃には俺はもういねぇ・・・」さらっとそんな事をつぶやいた。
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用事が早く終わったので、少しだけ寄り道してみた。
山道をクネクネして、誰もいない日向山の仏舎利塔にあがってみた。
青空でなかったから残念だけれど、父は初めて見るここの大きなお釈迦様に驚いたり、きれいな紅葉に見入っていた。
ふたりで黙って空を見上げた。
まわりの山を一通り見渡し、ぶっきらぼうに「帰るぞ」。
あたしは教室。
休む事なく父もまた畑に出て行った。
自然の中で土と向かい合う事がいちばん落ち着くらしい。