僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

新潮文庫マーク

2015-07-07 17:18:08 | 薀蓄


新潮文庫の表紙を外すと上のブドウのマークが目につく。

はて?
蔓の部分がアルファベットになっているような。

けれどTLってなんの略だろう?


果たしてこれはSLで、新潮ライブラリーの略なんだそうだ。

1950年からこの山名文夫(あやお)によるデザインが採用されたらしい。

葡萄は豊饒な実りを意味するので、本としての内容の豊かさを表現するらしい。

またペルシャのコーカサス原産のブドウはシルクロードを通って東の国々でも栽培されるようになった。

そこから文化の交流・発展も意味するのだそうだ。

なかなか粋なマークをつけるものだ。

スバル

2012-10-26 22:16:14 | 薀蓄
 明治時代に発刊された雑誌に「スバル」という文芸誌がある。森鴎外、与謝野鉄幹、与謝野晶子らが中心になって、石川啄木、吉井勇、木下杢太郎、北原白秋らが盛んに投稿した。この「スバル」は仮名書きなので英語かと思いがちだが、実際は純粋な日本語である。
 枕草子の236段に
「星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。尾だになからましかば、まいて。」とある。

意味は「星はすばる、ひこぼし(アルタイル)、宵の明星(金星)が良い。流れ星も少し趣がある。尾を引かなければもっとよいのだけれど。」となる。

この「すばる」は「昴」でプレアデス星団のことであり、六連星(むつらぼし)ともいわれる。




 すばる(統ばる)やすまる(統まる)は、元来他動詞「すべる(統べる)」に対する自動詞形であり、「統一されている」、「一つに集まっている」という意味を持つ。
富士重工業の自動車ブランド名「スバル」は、やはりプレアデス星団のことで、もともと富士重工業が中島飛行機系の「富士工業」・「富士自動車工業」・「大宮富士工業」・「宇都宮車輌」・「東京富士工業」を吸収合併して六連星になったのである。


 核融合の速度が速いため寿命が比較的短いとされる昴。谷村新司は次のように歌っている。

「さんざめく名もない星たちよ~♪」

「砕け散る運命の星たちよ~♪」


魚偏の漢字

2011-06-18 16:36:17 | 薀蓄
皆様お久しぶりでございます。僕の感性はしばし眠っておりました。今まさに起き上がろうとしております。今回は一寸難しい魚偏の漢字を紹介します。




•鮸(いしもち)ニベとも言う。唐揚げや煮魚用。ニベの浮き袋は粘り気が強く接着剤の原料に使われた。そこから「にべ」は他人との親密関係を意味するようになり、酷く無愛想な態度を「にべもない」と使われるようになった。

•鯎(うぐい)川魚。昔手づかみで捕まえた。

•鱓(うつぼ)西日本で食用にする地方がある。

•鱛(えそ)すし種よりは、蒲鉾に使う。

•鱏(えい)淡水と海水に棲む。マンタは実に優雅。尻鰭に毒棘を持つ。

•鰕(えび)通常は虫偏の蝦と書く。

•鮋(かさご)唐揚げや煮魚が美味。

•魳(かます)水気が多いので、干物向き。

•鰍(かじか)幼少の砌、銛で突いた。干したものを焼いて食べると美味。唐揚げもグッド。

•鰈(かれい)淡白な白身。エンガワはお好き?

•鯷(かたくちいわし)小さいので目刺しに。

•鱲(からすみ)鯔(ぼら)の卵巣。


•鯒(こち)天婦羅が美味しい。


•鮫(さめ)刺身にはせず、付け焼きかフライで。

•鯯(さっぱ)いわゆるママカリ。隣の家でママ(ご飯)借りてくるほど美味しい魚。  酒盗と同じような語源。酢締めで使う。

•鱵(さより)透明感が爽やかな、春の味覚。

•鱪(しいら)字が表すとおり夏の大型魚。身は淡白。

•鱸(すずき)洗いが美味だが、寿司種にしてもいい。


•鯳(すけとうたら)刺身には向かず、鍋や蒲鉾用。

•魛(たちうお)魚形から名も字も出来た。マニキュアのラメの原料にも使われる。



•鯽(たなご)鰱とも、鱮とも書く。沼でよく捕まえた。

•鱘(ちょうざめ)卵のキャビアが有名。箒草の実に似る。まだ食べたことがない。

•鰩(とびうお)すり身や塩焼きに。アゴという別名がある。300mの飛距離を持つ。

•鰊(にしん)鯡とも書く。私が最も好きな魚。

•鯫(にごい)鯉に似るが不味い。

•鮠(はや)ハエとも言い、私の故郷ではクキとも呼んだ。鰷とも書く。

•鰣(はす)魚偏に時。 鯉科の魚。オイカワに似る。滋賀県の名物になっている。

•鰰(はたはた)鱩とも書く。飯寿司にする。

•鰉(ひがい)琵琶湖名物、煮付けや塩焼きに。



•鱶(ふか)身より、乾したヒレが珍重される。


•鯔(ぼら)冬が旬だが、あまり寿司種にはしない。コリコリとした歯応えの「ぼらのへそ」が有名。けれど、これは筋肉が発達した胃壁のこと。

•鯧(まなかつお)鮮度第一。付け焼きが美味しい。魴とも書く。スズキ目マナガツオ科。


•鰘(むろあじ)寿司種にするよりは干物用。

•鯥(むつ)淡白な白身。腹子や白子が格別美味。
•鰙(わかさぎ)フライ・天婦羅や佃煮向き。徳川家斉の時代、公儀御用魚だったので
「公魚」とも書く。湖面での冬季の穴釣りが有名。

•魴鮄(ほうぼう)淡白な白身。鍋物や煮魚にすることのほうが多い。胸鰭の一番下のな軟条3対が太く発達しており脚の様に使い歩くことが出来る。

・魷(いか) 普通は烏賊と書く。

・鯣 (するめ)目出度いので寿留女と表記する。

数字の8

2011-03-08 09:47:40 | 薀蓄
中国では数字のが好まれます。8と広東語の發の発音が似ているからで、
發には発展する、拡大する、大きくなる、金持ちになる、富む・・・などの意味があるからなのです。
だから8が入っている車のナンバープレートは人気があり、××××-8888のような電話番号も数十万元で取引されます。
日本のマンションでも中国人は808号室を高く購入するみたいです。

中国では、店の新規オープンやイベント開催などを8のつく日に行い、時間も8時8分や9時28分(8時88分)にするこだわりようです。
北京五輪は2008年8月8日の午後8時開催でした。

日本でも8の数字は末広がりと喜ばれますが、古代の古事記の時代には「八」はよく使われました。
例えば日本は「大八洲(おおやしま)」、神々は「八百万(やおよろず)の神」、スサノオが退治したのは「八俣の大蛇(おろち)」と「八」が多く登場します。

また三種の神器は八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)、八咫鏡(やたのかがみ)と「八」の数字を冠しています。もうひとつの神器「草薙剣」も、もともとは「八重垣(やえがき)の剣」と呼ばれていました。

どうやら「古事記」が編纂された時代には「八」という数字が神聖な数と認識されていたようです。

また、漠然と数が大きいことにも「八」は使われます。例えば、七転八起という四字熟語には、たくさん転んでも必ず起き上がるという意味があります。

西洋では8という数字は縁起が悪いと言われ、8本足のタコは悪魔の使いと忌み嫌われます。
所変われば数字の概念が正反対になるところが面白いですね。

しゃぼん玉

2011-01-14 09:51:52 | 薀蓄



しゃぼん玉 作詞 野口雨情

しゃぼん玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた

しゃぼん玉消えた
飛ばずに消えた
生まれてすぐに
こわれて消えた

風、風、吹くな
しゃぼん玉飛ばそ



誰しも小さい頃しゃぼん玉を飛ばして遊んだことだろう。

虹色の透明感を持つ球体は儚さの象徴でもある。

思いがけず大きなしゃぼん玉が作れそうになっても
必ず飛沫とともに潔く消えてしまう。

童謡「しゃぼん玉」の作詞者「野口雨情」は長女を八日目にして亡くした。
そのことから、『しゃぼん玉』は娘への鎮魂歌であるという説がある。
いたたまれない嘆きをこの歌に託したのであろうか。

亡くなった自分の子どもの代わりに日本中の子ども達がこの歌を歌ってくれることで
雨情は少し慰められたのではなかろうか。

塩は万病のもと

2010-04-21 23:15:40 | 薀蓄
「週刊現代」から「塩は万病のもと」という記事の抜粋を掲載します。

健康な人の場合、夜の血圧は日中に比べて10%~20%下がるといいます。その間、循環器系の臓器は休息します。
しかし塩分を過剰に摂取すると、血圧は夜になっても下がらず、その結果さまざまな臓器に昼夜なく負担をかけてしまうそうです。
特に血管は長期にわたって無理を強いられることで硬くなったり、もろくなったりし、血管病をひきおこします。
それが高血圧で、これが引き金となって発症するもっとも怖い病気が心臓病や脳卒中などの心血管疾患です。なかでもメタボ体質の人はカロリー摂取が多い分、塩分の摂取量も多く、体内に塩をためやすい体質になっているそうです。

体内の塩分を減らすには、まず摂取量を減らすこと。自炊する回数増やし、加工食品をアレンジするのではなく、素材から料理を作ることだそうです。

次に野菜、果物の割合を増やし、低脂肪の乳製品を加えた食事に心がけることだそうです。
あんず、バナナ、パセリ、イチジク、干しブドウ、アボカドなど塩排出に役立つカリウムを多く含む食品を摂ることも必要です。

また塩排出のもうひとつの方法としてウォーキングなど有酸素運動をすることだそうです。
1日に30から45分ぐらいを週に3~4回取り入れるといいです。

私の兄は最近脳梗塞で倒れ、現在入院してリハビリに励んでいます。それまで病気らしい病気もせず、前触れもなかったのでとても驚きました。現在かなり回復に向っていますが、やはり本人も仕事を休まなければいけないのですが、家族の負担、特に伴侶の負担が大きくなってきます。

家族に出来るなら迷惑かけたくないですよね。
塩分を男子は一日9グラム未満に、女性は7,5グラム未満に抑えるよう気をつけましょう。

桃の香り

2010-04-07 22:50:24 | 薀蓄



武陵の漁夫が道に迷い、桃林の奥にある村里にたどり着きました。そこでは、秦の乱を避けた者たちの子孫が世間から離れて暮していました。
平和で裕福な毎日を送る仙境。
桃源郷の語源になった陶淵明の『桃花源記』に書かれている理想郷です。
このような平和で長閑で悩みのいらない国が理想ですよね。

まして昔、実家では桃を栽培していたのでわかるのですが、その花は所謂桃色で
美しく、とても芳(かぐわ)しい良い香りがします。
そして秋に熟すその実は、えも言われぬ高貴な味がします。
昔は、黄桃というと加工用だったのですが、最近は黄金桃や黄貴妃などの生食用黄桃が美味しいです!

話が逸れましたが、杏林大学医学部の古賀良彦教授らの研究によると、実際、桃の香りは心をリラックスさせ、集中力を高める働きを持つといいます。
桃の香りと同じ成分の液体を人工的に作り、この香りをかぎながら単純作業を行ないます。

蒸留水をかいだときと比較したら、想像力や注意力を担う前頭葉の血液量が増す一方、恐怖や怒りと関わりが深い扁桃核の血液量が減る傾向にあったそうです。

桃の香水やアロマキャンドルで桃の香りを部屋一杯に満たしていれば、心がくつろぎ、あたかも桃源郷に暮しているかのような気分に浸れることでしょう

アトリビュート

2008-05-05 22:22:03 | 薀蓄

有名な「ボッティチェリ」の「ヴィーナス誕生」です。
アトリビュートとは、「属性」、「持ち物」という意味で、その持ち物で、持っている人物が誰だか判別できるわけです。禅僧は払子を、聖徳太子は杓を持っていますよね。
 この絵のなかで、西風の神「ゼフロス」とその妻「フローラ」は風を吹き出して、バラをまきちらしています。このバラの花こそヴィーナスの象徴、アトリビュートなのです。


この絵もボッティチェリの作品で、「受胎告知」です。大天使ガブリエルが聖霊によって赤ん坊を授かったとマリアに告げている所です。ガブリエルが持っているユリの花が純潔を意味する、マリア様のアトリビュートなのです。


三枚目の絵が「女の三世代」という題で、幼女、若い女性、老女の三世代を描いています。無邪気な幼子、自分に酔いしれる女性、死におびえる老女を通し、人の一生を表しています。この中のアトリビュートは、死神の持っている「砂時計」で、「死」や「時間」を象徴します。

カルピス

2008-05-05 19:24:34 | 薀蓄




 カルピスのパッケージには、水玉模様が描かれています。あれは水滴ではなく天の川をイメージしたものなのです。カルピスの生みの親は実業家の三島海雲。中国大陸に渡って様々な事業を試みていました。1902年、内モンゴル自治区ケシクテンを訪れた際、すっかり体調を崩してしまいました。土地の貴族鮑氏が、甕の中に蓄えていた白くすっぱい液体と発酵クリームを毎日ふるまってくれました。
 口にした海雲は胃腸がどんどん回復し食欲がわき、不眠症の持病まで改善されました。まるで不老長寿の霊薬のようだと感激した海雲は、それが発酵した酸乳だとしり、日本で商品化すべく努力しました。
 そして1919年の7月7日の七夕の日に発売されたのです。天の川のさわやかさをイメージしました。
 商品のネーミングは、英語のカルシウムの「カル」にサンスクリット語(梵語)の「サルピス」を組み合わせて「カルピス」としました。サルピスとは、五味の次位とされる熟酥という意味です。命名は作曲家の山田耕筰氏に相談し、一番語呂がいい言葉が選ばれました。

青森、岩手に「戸」のつく地名が多いのはなぜ?

2008-04-05 20:47:28 | 薀蓄
 岩手県には、一戸町、二戸市、九戸村、青森県には三戸町、五戸町、六戸町、七戸町、八戸市があります。
 どうして一から九までの「戸」の地名が存在するのでしょうか。鎌倉時代にこの地域を支配していた南部氏の「九ヶ部四門の制」が起源とされています。
 この時代は、戦いで使う多くの良馬を必要としていました。源頼朝は馬を確保するため、牧場経営をつかさどっていた南部氏に、この地域を「糠部郡」として与えて馬の育成に当たらせました。「九ヶ部四門の制」は、南部氏が糠部郡を九つに分け、それぞれに村や牧場を置き、これを「戸」とした制度です。
 のちにこの「戸」が市町村に発展したとされます。四戸は江戸時代まで八戸と五戸に囲まれた地域にありましたが、地元の人にあまり使われなかったので、やがて消滅してしまいました。