僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

三浦哲郎氏 逝く

2010-08-30 21:56:28 | 読書




「私」は東北出身の大学生で、東京の西北にある私立大学に通っている。

 ある日「忍ぶ川」で志乃に出逢った。彼女は幼くして母を亡くし、父は病に臥し、兄弟と一緒に貧しく暮していた。

 二人は互いに惹かれ、いつしか愛し合うようになる。

 「私」の四人の兄弟は次々と自殺や失踪し、「私」も血の宿命を痛感させられていた。

志乃には自分の暗い家庭のことを赤裸々に告白したのだ。

手紙で「私」は
「自分の誕生日を祝って貰ったことがなく、その日は兄弟の衰運の日のような気がする。」と書いた。

志乃は「来年の誕生日には、私にお祝いさせてください」と書いてよこした。


 志乃には婚約者がいたが、「私」のお願いにより破談に応じてくれた。
秋の終わりに志乃の父の容体が急変し、志乃のことを「私」に託して死ぬ。

 その年の大晦日、志乃をつれて故郷に向かい結婚式を挙げた。








芥川賞を受賞した、三浦哲郎氏の「忍ぶ川」のあらすじでした。
彼は、実生活でも、姉がふたり自殺を遂げ、兄二人が失踪してそれぞれが自滅の道を歩みました。
こうした暗く重い問題を、文学の問題として生きることを決意するのです。

井伏鱒二氏に師事し、「十五歳の周囲」で注目され、「拳銃と十五の短篇」「木馬の騎手」などすぐれた短編小説を残しました。

その三浦哲郎氏が、8月29日午前4時33分、うっ血性心不全のため鬼籍の人になりました。
やっと早世した兄弟たちに会えると微笑んで天国に召されたのでしょうか。
ご冥福を心よりお祈りいたします。

割烹 高峰

2010-08-29 22:36:52 | 食べ物
家族で 「割烹 高峰」で食事しました。

なにしろ、明日娘が埼玉に戻るものですから。

前菜は、鰆の唐揚げ、鰹、枝豆、バイガイ、それとソバ豆腐の柚子風味



刺身は天然の真鯛とマグロ

酢橘と天然ワサビが付いています。鯛がコリッコリして美味しい!


山形牛をワサビで



天麩羅は揚げたてを天然塩で

エビがシシトウが茄子がサクッとして熱熱で美味しい! 塩も程好く甘く素材のこだわりを感じます。


阿寒湖近くの畑でとれた「キタワセ」と西蔵王産「キタ早生」を石臼で挽いてブレンドした手打ちソバです。


こだわりの一味唐辛子を麺につけて、麺つゆにちょっぴり浸して食べます。


のどごしが爽快な細麺にピリッと辛い一味の味がソバをひきたてます。

このお店では、ざる蕎麦をコクのある麺つゆプラスワサビで出して、盛り蕎麦をあっさりした麺つゆと一味唐辛子で提供するというこだわりがあります。

デザートは 蕎麦アイス



ソムリエの田崎真也さんが4度も訪れた名店です。
奥さんは饒舌ですが、説明が丁寧で心配りが繊細な素敵な方でした。
調理していただいた旦那様は物腰の柔らかい穏やかな優しい方でした。



また蟹のシーズンにでも行きたいと思います。

ホヤと豚足

2010-08-28 20:51:49 | 食べ物
昨日、スーパーで売れ残りになって値引きされた3個70円のホヤを購入しました。


その形状から「海のパイナップル」と呼ばれます。
原索動物のホヤを最初に食べてみた人はかなり勇気のあった人なのでしょう。
見た目がグロテスクですので、そう思いました。

身がとても硬いので、中央部に包丁を入れても切る事が出来ません。

頭部の入水管と出水管のふたつを切り落とし、そこからはさみや包丁を入れて、外側の殻を切り落とします。
すると中からオレンジ色の身が出てきます。
その身を適当な大きさに切りポン酢で食べました。黒い内臓も取り除かず一緒に食べます。
そして大事なことは、ホヤ内部の液も漏らさず加えることです。

独特な磯の風味と清涼感があって、自分は大好きです。

たぶん、見ただけでNo,Thank youという人が多いでしょう。
そしてさらに食べてみて苦手だという人も多いのかもしれません。



次に妻がデパートの横浜中華街展で買ってきた「豚足(トンソク)」525円です。



コラーゲンたっぷりぷりぷりで、お肌がさらにピチピチになりましたとさ。


デザートにこのケーキ


部屋はミニバラの良い芳香がいたします。

久しぶりに学校での練習

2010-08-25 13:47:57 | 卓球
昨日、約一ヶ月ぶりでY高のアリーナで卓球の練習をした。
ボール出しをしたら、次から次へ汗が滴り落ちてくる。夏を制するものが新人戦を制すると肝に銘じ、心を引き締めた。

彼女達は、8月21日、栗峰杯の団体戦で、新体制になってから初めて3位に入賞した。

個人でもMがベスト8、Aがベスト16に入った。

Mはドライブが安定しフォアへの動きも前より良くなってきた。苦手だった横回転サーブも八割方レシーブできている。表情も明るく前向きさが伝わってくる。

Aは横回転サーブの2種類が切れ味を増してきた。後は、いかにバックに突っつかれたボールを早い段階でドライブできるかが勝利への鍵になるだろう。

アイスの好みを聞いたとき、今時の高校生は、練乳の入っているような「白くま」とか
「森永れん乳氷」などは嫌いと言っていた。


さっぱり系の「ガリガリ君」などが好みだとは盲点であった。


もはや練乳は年配に好まれる味になってしまったか。

髪の毛

2010-08-25 00:15:11 | Weblog
自分は昔から髪の毛の伸びが速い。一日約0.5ミリは伸びる。

中学の時、全員ボウズの、五分刈りだったせいだろうか。

決してHだから速い訳ではなく、新陳代謝が良いせいだろう。

散髪代をケチっても夏場は、どう辛抱しても2ヶ月しかもたない。

それとも床屋さんは、次の来店をスムーズに進捗させるため長めにカットするのかな~

疑惑は残るのだが、床屋さんとて商売、なんでも正直に・・・とはいかない。


髪の毛が伸びると言えば、北海道の萬念寺に供養されているお菊人形。

1938年に持ち込まれてから人形の髪は伸び続けているそうである。

菊子ちゃんという女の子が片時も離さず遊んでいた人形。


三歳で亡くなった菊子ちゃんの魂がその人形にはのりうつっているのだろうか。



ナツズイセン

2010-08-23 23:27:09 | Weblog
Hさんの庭に咲く ナツズイセンです。

確か曼珠沙華と同じ仲間だよねー

花を楽しんで 花が終わってから葉っぱが伸びてくるんですよね。

Hさんは 自分の住まいを
在郷(ざいご)で不便だと愚痴をいいます。
でも 自然豊かで緑があって 川が流れていて
掛け替えのない生命の息吹が感じられるのです。

けれど70を過ぎた彼女にとっては スーパーやデパートが近いことが 最も有り難いとおっしゃっていました。
自家用車がないと確かに不便かもしれません。

映画 おとうと

2010-08-23 00:30:52 | 映画
山田洋次監督の「おとうと」を観ました。

しっかり者の姉と問題児の弟が繰り広げる再会と別離を笑いと涙で感動的に綴ります。

主演は「母べえ」の吉永小百合。吟子役。


問題児の弟、鉄郎役に笑福亭鶴瓶



吟子の娘役に小春の蒼井優


朴訥な大工で小春の再婚相手亨は「それでも僕はやっていない」の加瀬亮



出来の悪い弟が、姪の結婚式を台無しにし、借金の尻拭いを姉に押し付けるどうしようもない人間として描かれています。


けれどめいっぱい明るく、商売もその日暮らしのところは「寅さん」に共通する人柄です。

そんなどうしようもない人間で誰にも誉められる事のない鉄郎が吟子の亡くなった旦那の計らいで唯一誇れる行動をなすことが出来たのでした。


山田洋次監督は、登場する人物をとっても魅力的に描き、日常のありふれた場面をとても感動的に伝えてくれます。

人間の孤独と死、そして家族の絆を深く考えさせられる作品でした。

森鴎外の『舞姫』と献呈文

2010-08-21 23:39:14 | 読書
森鴎外の『舞姫』をコミック版で読んでみました。
漫画では主人公の太田豊太郎と踊り子エリスとの出会いの場面が
「こんなに綺麗な少女が あんな所で何故泣いているのだろう・・・」の一言なのに
原文では雅文体でとっても詳しく少女の描写がなされています。


今この処を過ぎんとするとき、鎖(とざ)したる寺門の扉に倚りて、声を呑みつゝ泣くひとりの少女(をとめ)あるを見たり。年は十六七なるべし。被(かむ)りし巾(きれ)を洩れたる髪の色は、薄きこがね色にて、着たる衣は垢つき汚れたりとも見えず。我足音に驚かされてかへりみたる面(おもて)、余に詩人の筆なければこれを写すべくもあらず。この青く清らにて物問ひたげに愁(うれひ)を含める目(まみ)の、半ば露を宿せる長き睫毛(まつげ)に掩(おほ)はれたるは、何故に一顧したるのみにて、用心深き我心の底までは徹したるか。





天方伯爵を取るか、エリスを取るかの決断に苦悩した上、精神障害をきたしたエリスを残し
太田は帰国してしまうのです。




21日、ゲーテ博物館で森鴎外が翻訳出版した『謎』の原作者、フーゴー・フォン・ホーフマンスタール宛に綴った献呈文が見つかりました。


ドイツ語で、「この悲劇を創作された作家、ホールマンスタール様に謹呈しますこと、光栄です。御作品の翻訳者より、東京にて」とペン書きしてあります。

几帳面な筆跡で、ホーフマンスタールに親近感を持ち、深く共鳴していたことが窺える献呈文です。