僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

濫觴とは

2014-02-27 17:58:47 | ことば
濫觴は以前記事にも書いたが、「物事のはじまり」という意味を持つ言葉で「ランショウ」と読む。

字面だけ眺めると、なんだかよい意味ではなく、とても不吉なことばに思えるのは私だけだろうか。

「濫」が「氾濫」の「ラン」をイメージしたり「糜爛(ビラン)」ということばを連想するからかもしれない。

また、「觴」も「傷」という字に似ているので、頭の中で爛れた傷、「爛傷」という新語を作ってしまうからなのだ。


けれど実際の意味は「觴(さかずき)」を「濫(うか)べる」ということ。
出典は「荀子」の子道で、「揚子江の大河も源は杯を浮かべるほどの細流にすぎない」という孔子の言葉から誕生した。

「嚆矢(コウシ)濫觴」という四字熟語もあるが、「嚆矢」は「鏑矢(かぶらや)」のことで、昔戦(いくさ)の折り、敵陣に
かぶら矢を射かけたのを合図として戦が始まったことから、「物事の始まり」という意味になった。

「濫觴」の類義語は、「淵源」、「開闢(かいびゃく)」、「水端」、「黎明」、「湧泉」、「揺籃」などがある。

つや姫

2014-02-18 17:57:00 | 驚いたこと


ジャンプの高梨沙羅ちゃんの祖父は米沢出身、祖母は高畠出身だそうです。
それでいつも大会には炊飯ジャーと水と「つや姫」を携えていくそうですよ。
そう、沙羅ちゃんの勝負飯は「つや姫」。しかも10キロ1万円する特別な『つや姫』だそうです。

ソチオリンピックでは惜しくも4位でしたが、これからも美味しいお米を食べて
さらなる飛躍をと応援しています。

【訂正】
すみません。
沙羅ちゃんの母方の祖父と祖母の誤りでございました。

文芸雑誌『海』

2014-02-04 21:00:53 | 文学
今は廃刊になったが、嘗て中央公論社に『海』という文芸雑誌があった。
1969年7月創刊で、1984年5月まで続いた。

『海』とは随分陳腐な名前にしたと思っていたが、実は名の由来はかなり深い。
諸橋轍次郎の『大漢和辞典』の中の「海闊従魚躍、天空任鳥飛」という字句から取ったということだ。

「天空海闊」という四字熟語もある。清の歴史学者であり文学者であった趙翼(チョウヨク)と言う人の、学問的随筆である『陔余叢考(ガイヨソウコウ)』が元々の出典であろう。

  海闊従魚躍
     海、闊(ひろ)くして魚の躍(おど)るに従い
     海は広々として自由に魚をおどらせ
  天空任鳥飛
     天、空(クウ)にして鳥の飛ぶに任す
     大空は雲一つなく鳥が飛ぶのにまかせている

つまり、魚が縦横に躍ることのできるような広い器にしたいという文芸雑誌の目的を表したのだ。
この『海』には三島由紀夫の「癩王のテラス」という戯曲や唐十郎の戯曲、武田泰淳の「富士」などの作品が掲載された。