「カチカチ山」という誰しもが知っている御伽噺がある。
おじいさんが畑にまいた作物をタヌキが食い荒らし、それに怒ったおじいさんが
タヌキを捕まえ、おばあさんに料理するように命じたが逆に騙されて
おばあさんはタヌキに殺されてしまう。それに嘆いたおじいさんが兎に仇討ちを依頼する。
薪拾いにいって、薪を背負ったタヌキに兎は火打石で火をつける。
「カチカチと音がするが何の音?」
とタヌキがいぶかしがるが、兎は
「ここはカチカチ山なので、カチカチ鳥が鳴いているのさ」
と嘘をつく。
そして背中に大やけどを負ったタヌキに兎は薬だと言って
唐辛子入りの味噌を塗りたくる。 タヌキ悶絶・・・
火傷が治ったタヌキに兎は今度は魚捕りに行こうと誘う。
木の舟と泥でできた一回り大きな舟も用意する。
案の定、欲張りのタヌキは魚をたくさんのせられる大きな泥舟をチョイスする。
結果泥舟によってタヌキは溺死することになる。これにて仇討ちの完了、めでたしめでたしなのだが、子供向けの絵本などにはタヌキは死なず、兎やおじいさんと仲直りするバージョンもある。
もちろんおばあさんも生きているし。
この御伽噺は、盟神探湯(くがたち)という呪術的な方法で
無実ならば火傷もしないし、溺れもしないという裁判法を暗に提示している。
けれど実際熱湯に手を入れたら、手がただれるだろうし、火傷もするに違いない。
水戸黄門のような勧善懲悪を民衆は喜んだので話が流布していったというのが現実だろう。
前置きが長くなったが、(今までが前置きなのかと苦言を呈されるだろうが・・・)
昔、Mさんが子供の頃、川の近くにタヌキの巣があって、その穴に
燃やした杉の生葉を入れて燻(いぶ)して
こりゃ煙くてたまらんと出てきた狸を、網のようなもので捕獲したんだそうな。
捕まえたタヌキをタヌキ汁などで食べたが余りおいしくなかったらしい。
いぶされたたぬきの話に触発されて「かちかち山」をあえて披露することになった
わたくしめをお許しいただければと思う。
最後にMさんが育てた大根を頂戴したので掲載して擱筆したいと思う。