立原道造は度々信濃の軽井沢の追分で過ごした。
そこで知り合った黄色い花を愛する関鮎子に恋心を寄せていた。
鮎子をゆうすげになぞらえて詩も作った。
ゆうすげびと
かなしみではなかった日のながれる雲の下に
僕はあなたの口にする言葉をおぼえた
それはひとつの花の名であった
それは黄いろの淡いあはい花だった
僕はなんにも知ってはゐなかった
なにかを知りたく うっとりしてゐた
そしてときどき思ふのだが 一体なにを
だれを待ってゐるのだらうかと
昨日の風に鳴っていた 林を透いた青空に
かうばしい さびしい光のまんなかに
あの叢に 咲いていた・・・・・さうしてけふもその花は
思いなしだか 悔いのやうに――
ゆうすげはレモン色で比較的高くない草原で夕刻から夜にかけて咲く花。
対してニッコウキスゲは高い山の草原に昼間に咲く花である。
ゆうすげ、ニッコウキスゲ、ヤブカンゾウ、ノカンゾウ、いずれも古名「ワスレグサ」となり
その花を手折って胸に抱くと憂いを忘れ去るという。
私の頭の中は、この道造の詩と、ジブリ、風立ちぬの中で、堀越二郎が菜穂子に出会った軽井沢で風にそよぐたくさんのユウスゲでいっぱいだった。
それに重なるように、尾瀬のそよ風に揺れて咲くたくさんのニッコウキスゲを求めて
バスツアーに参加した。 集合が山形駅朝4時55分。出発が5時、参加者40名。
国道49号線を走る。左手会津磐梯山の麓に慈母観音像が見える。
尾瀬御池に到着、シャトルバスに乗り換え、尾瀬沼山峠まで行き、そこから尾瀬沼の長蔵小屋まで往復140分ぐらいかかった。
桧枝岐村で割烹民宿「かどや」を営んでおられる平野氏のガイドのもと、貴重な高山植物を楽しみながら完歩した。
楽しみのニッコウキスゲはあと10日ぐらいしたら見ごろだとか、ほとんどが蕾であった。
咲いたニッコウキスゲを見つけた!
ゴゼンタチバナ
花がハナミズキに似る。石川県白山の御前峰に由来し、カール・フォン・リンネが命名。
アカモノ
花が終わると咢が成長し果実を包み込み赤色の偽果となる。これは甘いらしい。
子供の頃食べた記憶がある。山形ではトランプのハートを赤桃というが、赤桃からアカモノに転訛したらしい。
ハクサンチドリ
ラン科、白山に多い。花の付き方が千鳥の飛ぶ姿に似ている。
ワタスゲ
白い綿毛が可愛い。別名、スズメノケヤリ
タテヤマリンドウ
この高山植物が最も好き! 楚々として可憐。
イワカガミ
コバイケイソウ
若芽がオオバギボウシやノカンゾウに似るので、毎年のように誤飲による食中毒が発生している。
ツマトリソウ
ぼやけてよくわからないよね。
シナノキンバイ
ウラジロホウヤク
レンゲツツジ
尾瀬以外のレンゲツツジにも毒があるので蜜を吸わない事。
沼山峠から尾瀬沼を望む
雨には祟られなかったが、木道が滑る箇所があるので、必ずトレッキングシューズを履いて行くこと!
シューズのソウルが剥がれることがあるので、予備を持っていくこと。
寒くなるので防寒具も必要だし、水筒やペットボトルも携帯すること。
氷河時代に燧ヶ岳の噴火で盆地に土砂が堆積、平坦な湿原が形成されたということだ。
ラムサール登録湿地にも選ばれている。
今回、ガイドさんが、盗掘の心配から、普段説明しない希少植物を教えてくれた。
写真を撮らない、ブログに載せないという約束で教えていただいたので
秘密だよ~
小瀬沼山登山でひーこらゆって、大江湿原・尾瀬沼の景色を堪能して、またシャトルバスで尾瀬御池に戻った。
そこから桧枝岐温泉の「森の温泉アルザ尾瀬の郷」でひとっ風呂浴びて、休息の時間を頂き
またまたバスで山形へと向かう。山形駅に着いたのが午後10時10分。印象深い日帰り旅行であった。