僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

栄耀栄華

2018-03-18 10:02:02 | たわごと
邯鄲の夢という故事成語は、「枕中記」という書物に出てくる。

「一炊の夢」とか「盧生の夢」、「黄粱の夢」とも言い換えられる。

盧生が呂翁という道士に会って、自分の境遇を嘆き改善したいと訴える。
そうしたところ、枕を貸してくれ、寝てみると、みるみるうちに盧生は財力と権力を授かる。

時には冤罪で投獄されたり、紆余曲折を経たが、見事出世し、多くの人に惜しまれながら死んでいった。

けれど目を覚ました盧生の目には、まだ炊き上がっていない粟がゆが見えるだけで
まだ数分しかたっていなかったのだ。

また、芥川龍之介作の童話に「杜子春」がある。零落した主人公を仙人が助け一時的な大金持ちになる。
けれど、放蕩癖のある杜子春は金を使い果たしまた貧乏に逆戻り。
そこで、仙人に依頼し戦術を身に着けるため峨眉山に向かう。

様々な仙人が妖術によって見せる艱難辛苦に耐え続けた杜子春だったが、結局失敗してしまう。



世間の多くの人たちは、お金や出世欲に魅せられる。
なかには栄耀栄華を極め、権力を恣にするものも出てくる。

反して「たそがれ清兵衛」を書いた藤沢周平というひとは、決して驕らなかった。

娘の展子に「絶対に自慢するな、おごりたかぶるな! 謙虚でいろ」
と言い聞かせてきて
本人も清貧を貫いた。

ま、どちらがどちらだという事ではなく
人生は「邯鄲の夢」がごとくうつろいやすく、生々流転とするということだ。
古典落語の「芝浜」のように堅実にいきるのも佳きことかな かもしれない。

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