
1886年、法律を学ぶ目的で渡仏したにもかかわらず、絵の道にすすむことを決意した黒田が、4年後の1980年にロアン川沿いのグレー村に移住して最初に取り組んだ作品が「読書」です。
椅子に腰掛けて本を読む女性の後ろには窓があり、その鎧戸を通して差し込む光と影を表す技法が、後に、「外光派」と呼ばれる画風を生み出すきっかけとなった作品です。
モデルの女性は、豚肉屋を営んでいた家の娘でマリア・ビョーという名でした。書籍のページや、マリアが身に着けている赤いシャツ、紺色のスカートは布地や壁の形態や状態が綿密に描かれており、大気の微妙な変化と差し込む光の変化と陰影を上手に描き分けています。何度も修正を繰り返し苦労を重ねた部分らしいです。
サロンにはこの「読書」が入選し、誰もが日本人の描いた西洋画とは気がつきませんでした。
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