うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

茨木のり子さんの詩1

2012年07月12日 15時57分10秒 | 俳句・短歌、またはエッセイ

ここではすでにお亡くなりになられた、茨木(イバラギ)のり子さんの詩をとりあげる。たしか大阪出身で、わたしには童女という印象が強いのだがどうだろうか。彼女は、どうやら生涯、独身だったのか。今回は二編で、茨木さんが大東亜戦争の若い頃に作られたものか、ここでは時代背景を超越して少女というか、“乙女の青春”というものを見事に表現したとおもう。

 乱暴な話だが、この書き込みは、一切、文献や経歴を資料にて参照したり博引傍証せずに、今まで味わってきた詩想そのものと、今現在のわたし自身の記憶のみで記していく。正確は期していないので、どうか、そのつもりでお読みいただいたり、鑑賞をお願いしたい。

「一人は賑やか」   (詩華集「おんなのことば」より)

一人でいるのは 賑やかだ
賑やかな賑やかな森だよ
夢がぱちぱち はぜてくる
よからぬ思いも 湧いてくる
エーデルワイスも 毒の茸も

一人でいるのは 賑やかだ
賑やかな賑やかな海だよ
水平線もかたむいて
荒れに荒れっちまう夜もある
なぎの日生まれる馬鹿貝もある

一人でいるのは賑やかだ
誓って負けおしみなんかじゃない

一人でいるとき寂しいやつが
二人寄ったら なお淋しい

おおぜい寄ったなら
だ だ だ だ だっと 堕落だな

恋人よ
まだどこにいるのかもわからない 君
一人でいるとき 一番賑やかなヤツで
あってくれ     


「問い」   

ゆっくり考えてみなければ
  いったい何をしているのだろう わたくしは
ゆっくり考えてみなければ
  働かざるもの食うべからず いぶかしいわ鳥みれば
ゆっくり考えてみなければ
  いつのまにかすりかえられる責任と命の燦
ゆっくり考えてみなければ
  みんなもひとしなみ何かに化かされているようで
いちどゆっくり考えてみなければ
  思い思いし半世紀は過ぎ去り行き
青春の問いは昔日のまま
  更に研ぎだされて 青く光る
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