ヴァニラ・アイスはプラチナの夢をみるか?

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『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』スカパー課題アニメ映画2018年4月号その③

2018-03-27 00:10:55 | ロボットアニメ系
お待たせしました。ついに完結編です。

『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』

まずタイトルの”宇宙”は”そら”と読みます。

本作は1982年3月13日に公開された劇場版ガンダム三部作の三作目。テレビ版第31話後半から第43話を再編集した本作では、テレビ版の終盤で降板した安彦良和が復帰して前2作以上に多くの新作カットを担当したこともあり、作画のクオリティはテレビ版以上となっています。上映時間は141分で、三部作中で最長となっています。


あらすじ

ホワイトベースは、再び宇宙へと飛び立った。ニュータイプとして覚醒したアムロは、ガンダムで迫りくるジオン軍を次々と撃破、すさまじい戦果をあげていく。運命の少女ララァの乗るエルメスと交戦したとき、アムロの精神は、激しく共鳴をはじめた。だが、その戦いは、恐ろしい悲劇につながっていく。ひとの革新とは本当にあるのか?果てしなき喪失感を越えて、アムロの還える場所は…。(amazonの当該商品ページより引用)


感想

さすがに141分ともなると長く感じましたが、それでも話のテンポがいいので面白く鑑賞できました。

ただ、本作は前作にも増して情報量が多いのですよ。劇中でキャラ同士が議論するシーンが多くて、しかもなんだか難しい。

ワタクシはこういうのすごく好きなんですが、人によっては「理屈っぽいから苦手」ってなりそうですね。

まぁラストではアムロとシャアが議論しながら生身で戦うというシーンまで出てくるのですが、これがガンダム伝統の”説教合戦スタイル”の誕生だったりするので感慨深いのですが・・・。

それはさておき、難しい理屈は抜きにしても、ずっと戦争のために使われてきたニュータイプ能力がラスト、人を救うことに使われる展開は誰の心をも揺さぶるはずです。

それから劇中、「守るべきものがないのに戦うお前は不自然」とまで言われた主人公アムロが戦いの果てに”守るべきもの”(劇中では違う表現ですが)を見つけるという展開は何度観てもウルっときてしまいます。

機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編 (1982) - 劇場予告編


作画はかなりの部分がクオリティの高い新作カットのため、前2作に比較すると別時代に作られたかのように感じますね。

それから作画というより映像の演出のことですが、アムロと敵パイロットの少女ララァ・スンとの交感の表現がすごく観念的というかなんというか、とにかくワタクシは未だによくわかってないです・・・。

まぁ「考えるな!感じるんだ!!」ってことなんでしょう。

戦闘シーンも地上戦のような重みを感じる表現はないものの迫力のある作画でとても魅力的です。不謹慎かもしれませんが、ガンダムの活躍よりもMSなどが破壊されていく表現の迫力はすごくリアルというか説得力があります。ゆえに怖いとも感じるのですが・・・。

特にソーラ・レイ、コロニー・レーザーでの攻撃の描写は作画の線は粗いものの、ものすごい迫力で鳥肌が立ちます。

物語についてですが、いろいろと情報量が多くてストーリーが伝わりにくいかもしれないのですが、要は立場の違う者同士の”正義”がぶつかることで生まれる戦争という悲劇を人類の進化で乗り越えられるのか?ということを描いているのだと思います。

難しいテーマですよね~。勧善懲悪型の物語ならもっと作るのには簡単だったでハズです。それに鑑賞する側のレベルも中高生以上でないとこのテーマを理解できないでしょう。

それから、本作は決戦のためにジオン軍の主要拠点ソロモンやア・バオア・クーに攻撃をしかけることがメインの展開となっています。

そのためホワイトベース隊VSそれを攻撃する敵部隊という構図ではなく、艦隊同士の戦いでのホワイトベース隊をクローズアップした構図へと変化しているのでアムロ以外のキャラクターの活躍も多く描かれていますね。

ガンキャノンのカイ、ハヤト。コアブースターのセイラ。ホワイトベースのブライトとミライ。彼らのシーンも見逃せないですね。

特に皮肉屋ではあるものの結構鋭い洞察力のあるカイがところどころに吐くセリフとかツッコミがまたイイのですよ。

「逆立ちしたって人間は神様にはなれないからな」っていうのは彼らしい名言でワタクシが一番好きなセリフかもしれないですね。どこで出てくるかは映画を観て確認してください。

それから敵キャラであるザビ家の面々も悪役とはいえ魅力的ですね。

ザビ家の長兄ギレン、その妹のキシリアと弟のドズルはそれぞれ全くタイプの違う性格で、決して一枚岩ではないというところも面白い。しかも一番怖い顔のドズルが一番イイヤツとか、こういうところホント好きですわ。

余談ですが、ガンダムの続編シリーズである『ガンダムUC』にてドズルの娘ミネバがヒロインとして登場します。


右の顔がコワイおっさんがドズルです。ちなみ左がドズルの妻ゼナ。ゼナに抱かれているのが幼いミネバです。


成長したミネバです。娘は父親に似るという言いますが、全然似てなくてよかったです。

それはさておき、彼らザビ家がどういう結末を辿るのか?というところも見所ですね。ちなみにアムロがラスボス級のギレンやキシリアと直接対峙することはありません。当たり前ですよね。アムロはガンダムに乗るエースパイロットとはいえ一兵士ですからね。

ガンダムはリアルだリアルだと言われますが、実はこういうところが一番リアルなんじゃないでしょうか?

そのアムロですが、冒頭から鬼神のような活躍を見せる戦闘シーンが印象的ですね。1作目とは大違いですよ。でもだからこそ逆にラストのシャアとの生身の戦いに緊張感が漲ってるんですよね~。

そうそう、登場当初からライバルだったシャアの凋落ぶりも見所の一つです。アムロに敗北する度に立場も気持ちも弱くなっていくシャア。ついには最愛のララァを失ってもアムロに立ち向かっていくく姿は、どんどん人間離れしていくアムロより親近感を感じてしまいます。

この辺りがシャア人気の源泉なんでしょうね~。

あぁ、キャラクターだけでいくつも記事が書けそうですね。でも今日はやめておきます。ワタクシが語るより作品そのものに触れてほしいからです。

機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編 [DVD]
古谷徹,鈴置洋孝,古川登志夫
バンダイビジュアル


人の革新が平和な世界を生むだろうという感動的なメッセージで幕を閉じる本作ですが、三部作通じて悲惨な戦争の描写あったればこそ、そのメッセージにも重みがあり、心を打つものになったと思います。

ロボットアニメという土台で社会的なメッセージを内包した作品を世に送り出す”ガンダム”という富野監督の試みは成功したと言っていいでしょう。

これは他のアニメ作家にも影響し、アニメの可能性を広げていったワケですが、それはまた別の話です。


GUNDAM SINGLES HISTORY
キングレコード
キングレコード


本作の主題歌も名曲ぞろいですね。三部作でハズレの曲がないというのもすごいことですね。

放送局:アニマックス

  4月29日 (日) 20:00


ようやく、劇場版ガンダム三部作の感想を全て書き終わりました。極力ネタバレを避けつつ、記事の文字数もグッと抑えて書こうとするとかなり苦労もしました。

ガンダムはストーリーもいいし、テーマも深いし、キャラクターも魅力的だから語ることが多すぎるのですよ。それに後のアニメ界に与えた影響なんかも加えるとこんなブログで料理できるものではないほどにスケールの大きいアニメだったりします。

それはさておき、もし劇場版ガンダム三部作を観て面白いと感じたのなら、テレビ版を鑑賞することをオススメします。劇場版ではカットしたエピソードも多くて、よりガンダムの世界が好きになると思うからです。

ところで最後に、なぜワタクシがスカパー課題アニメ映画の企画で劇場版ガンダム三部作を選んだのかを書いておきますと、純粋に作品として『機動戦士ガンダム』が面白いからです。

ガンダムは多くのシリーズが作られてますが、正直”ファーストガンダム”だけ観てればいいとさえワタクシは思っています。それぐらいこの作品は面白いのです。

『機動戦士ガンダム』は後の影響が強すぎて、ある意味”神格化”され、”面白い”という文脈より”偉大”とか”すごい”という文脈で語られることが多いと思います。

ゆえに気軽に観られるアニメと認識されてないんじゃないか?とワタクシは思っているのです。だからこそ、今回取り上げたのです。

とにかく食わず嫌いにならず、特に若い人にも気軽に観てほしいですね。難しいテーマを抱えているとはいえ、娯楽映画であるところは外していないので。

さて、力尽きそうなので、今回はこのくらいで終わりにしておきます。次回は雑談記事かな?乞うご期待。


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