市原市議会議員 小沢美佳です

市政や議会の報告、日々の活動や想いを綴ります。
一番身近な地方政治の面白さが、皆さんに伝わりますように・・・

東北視察報告2 岩手県紫波町 オガールプロジェクト

2015-11-08 | お知らせ
紫波町(しわちょう)は、岩手県のほぼ中央に位置する自然豊かな人口約3万人の町です。
実は、東北のこの小さな町が、今回の視察のメイン。
お目当ては、いま全国から連日視察が殺到している紫波中央駅前都市整備事業オガールプロジェクト」です。
「オガール」とは、フランス語で駅を意味する「ガール」と、紫波の方言で成長を意味する「おがる」を掛け合わせた造語で、紫波町の持続的な発展の願いが込められています。

このオガールプロジェクトは、町が行う事業やサービスに、民間のお金や知恵・ノウハウを取り入れる「PPP(公民連携)」の先行事例として数多くの媒体に取り上げられています。
「公民連携」といっても、単純な連携とはちょっと違うんです。
これまで税金で行ってきた公共施設や公共サービスを、民間と共に「稼ぎ」「経営する」という新たな発想で開発を行い、今や年間80万人以上が訪れるというまちに発展しました。

かくいう私も、このまちの取り組みが紹介されていた『稼ぐまちが地方を変える(木下斉著)』という本を読んで、ぜひ実際にこの目で確かめてみたいと思っていました。
百聞は一見にしかず。
想像以上にすばらしいまちづくりと、まちづくりにかける行政マンはじめ住民の熱いマインドに触れることができて、大満足の視察となりました。

これが、H10年に開業した紫波中央駅です。

この素敵な駅舎が無人駅というからちょっとビックリ!

かつてこの駅前に広がっていたのは、約10.7ヘクタールの塩漬けの町有地。雑草が生い茂り、雪捨て場でしかありませんでした。
ここを事業用定期借地権として民間が借り受け、計画から開発、管理運営まで一貫して行っていて、現在は役所や図書館などの公共施設と、産直市場やフットボールセンター、宿泊施設、飲食店などの民間施設が複合して整備されています。

普通、こういった施設を作る際に行政がやりがちなのは、まず土地面積に合わせた容積率や補助金などの予算ありきでハコものの規模が計画され、建築されてからテナントが決まっていくのですが、これだとテナントが入らないというリスクが伴います。
しかし、このプロジェクトでは、まずテナントの誘致や調査にじっくり時間を費やし、テナントが決まってから建物のあり方が再検討されました。このように逆のアプローチで開発を行うことで、身の丈に合った施設が作られ、その分サービスを充実させることが可能になります。
これも民間の知恵なればこそ。採算が取れないハコものは決して建てないのです。

これは、中核施設の一つ、オガールベース

この中にビジネスホテルがあって、私たちもここに泊まりました。
地元の野菜をふんだんに使った朝食はとても美味しかったですよ。雑誌にも取り上げられたほどだそうです。

こちらは、もう一つの中核施設であるオガールプラザ内の地域交流センターで説明を受けているところです。



私たちの他に3つもの団体が同時に説明を受けていました。注目度の高さがわかりますね。

音楽スタジオ。高校生バンドからオヤジバンドまで、3年間で300団体の利用実績はスゴイ!


こちらの部屋では、ちょうどまちづくり講座が行われていました。


中庭ともつながっている、吹き抜けの市民交流スペース(2階から撮影)。
キッチンも完備されているので、利用範囲が広がりますね。


この施設の利用者は、町民だけではありません。もちろん利用料金の設定にも差はありません。
オガールプロジェクトのマーケットの対象は「半径30キロ圏内」なのだそうです。
町民だけならたった3万人。これでは商売になりません。半径30キロならば盛岡市も花巻市も入り、対象人数は60万人に膨らみます。これも民間の考え方ですね。
私も実際に訪れていた方に訊ねたところ、その方は盛岡市からハイキングの途中でここに立ち寄ったとおっしゃっていました。美味しいと評判のビジネスホテルのランチがお目当てなのだそうです。
オガールのことは、盛岡市の広報紙にも取り上げられていて、盛岡市民もよく知っているとのことでした。

オガールプラザには、子育て支援センターもあり、一時預かりや学童保育も行われています。


一番感心したのが、図書館です。

例えば、農業コーナーでは、地元の農家の皆さんと意見交換をしながら、必要な情報にアクセスできるような工夫がされていました。図書館運営に興味がある方なら、ここだけでもじっくり視察する価値があると思います。

こちらは紫波町庁舎。




ここまでの写真でお気づきと思いますが、木材がふんだんに使われているという印象を受けますよね?
町では、「循環型のまちづくり」も重要な理念として掲げていて、98%地元の木材が使用されています。
地元木材の利用は、森林資源の循環であると同時に、地域経済の循環でもあるんですね。
オガールにはエネルギーステーションもあって、木材チップを利用した熱供給システムによる町づくりも行っています。
エネルギー循環型都市に興味がある方は、この部分だけでも充分見ごたえアリですよ。

(もう見るのも聞くのも話すのも、ポイントがありすぎて困るくらい!!(+_+))

この施設も、本当に感心しました。


総合体育館?
・・・ではなく、なんと国際基準準拠のバレーボール専用体育館です。私たちも泊まったビジネスホテルに併設されています。
これは、ピンホールマーケティングという考え方だそうです。
全国どこにでもある多目的の体育館を作るのではなく、ここにだけしかない施設を作って営業を仕掛ける。
その結果、今ではバレーボールの選手や関係者が全国から訪れ、宿泊施設を利用していくそうです。

岩手県唯一のサッカー協会のフットボールセンターの誘致にも成功しました。

人工芝の地面の下は、雨水貯留浸透施設になっています。

これらの画期的なプロジェクトが進められたのは、何と言っても首長のリーダーシップがあればこそだったと思います。
紫波町では「公民連携室」という部署を設置し、公民連携基本計画の策定やプロジェクトの推進に際しては、なんと100回以上住民説明会市民会議を開いたのだそうです。
3万人の町で、ですよ。これも本当に驚きました。
また、ここでは詳しく述べませんが、もうひとり、やはり地域活性化に熱心なキーパーソンが、民間側にもいたということも重要なポイントです。
この方は、都市再生機構を経て家業の建設会社を継ぐために紫波町にUターンされたのですが、東洋大学の公民連携スクールで学んだ経験があり、それがご縁で東洋大学の根本祐二教授も、このプロジェクトに関わっています。
根本教授は、現在市原市でも計画策定のアドバイザーをお願いしている方ですから、この点は心強い限りです。


以上、なんとも中途半端でまとまりがない報告になってしまいましたが、興味がある方はぜひ紫波町に足を運んでみてください。
私も、事前に資料を読んである程度は想像していたのですが、やはり実際に見たりお話を伺わなければ分からないことが山ほどありました。
これが視察の醍醐味なのでしょうね。

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