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自民党や政府幹部の「共謀罪必要」発言に、メディアの反応が鈍いのはなぜか

2015-11-20 06:35:05 | 言いたいことは何だ
昨日、「テロ対策」を口実に、自民党・政府の幹部が相次いで「共謀罪」新設の必要性について発言したことを取り上げた。
そのことを「言論の自由」を脅かすような動きに本来敏感であるはずの、新聞やテレビで取り上げられるかと思いきや、残念ながら反応は鈍い気がする。
 
逆に、あるテレビの報道番組などでは、「フランスは、『自由や人権』を重視する国だったが、それが月のシャルリーエブド襲撃事件のようなテロ事件を招いた。それ以来、テロ対策を強化し監視と情報収集が重視され、通信監視法も成立した」と図解入りで説明し、日本も「監視を強化する法整備をしなければ」と、暗に共謀罪などが必要だといわんばかりの報道をしていた。
 
過去の共謀罪法案や秘密保護法案が検討されたときに比べても、妙にメディアが静かだったり、"もの解かり"がよかったりするように感じるのは私だけだろうか。
 
先日、BPO(放送倫理・番組向上機構)放送倫理検証委員会が、自民党による放送内容への圧力・介入の問題を指摘したが、今度の「共謀罪」でも、まさかそんなことはないだろうと、そして、「自主規制」なんてこともないだろうと信じたい。
さらに、新聞は消費税増税にかかわって新聞の「軽減税率」にからんで、政府を批判しにくくなってるなんて、まさかさんなことはないだろうと、これまた信じたい。
 
 
 
そんなメディアの中ではめずらしく、今朝の「東京新聞」と昨夕の「日刊ゲンダイ」が「共謀罪」についてズバリ書いた。
引用したい。
 
 
まず、今朝の「東京新聞」(19日付)の「特報」欄の「パリ・テロ受け自民党幹部言及 不安に便乗?また共謀罪 『情報収集先に』『悲劇利用するな』」と題した記事。
 

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過去に三度、国会に提出したものの、国民の強い反対で廃案になった「共謀罪」を設けようという動きが、自民党からまた出てきた。パリで起きたテロ事件を受け、国内のテロ対策強化のために必要というが、法曹界を中心に、「口実に過ぎない」「悲劇を利用するな」といった批判が出ている。(中山洋子)
 
自民党の谷垣禎一幹事長は17日の記者会見で、「来年、日本はサミットがある。テロ対策には相当、意を用いなければならない状況になった」と述べ、共謀罪新設を含む組織的犯罪処罰法改正の必要性に言及した。
 この説明には違和感を覚える。政府はもともとテロ対策と関係なく、共謀罪新設を目指してきた。そもそもの目的は、2000年に国連が採択した「国際組織犯罪防止条約」批准とされる。
 日弁連共謀罪法案対策本部長代行の角山正弁護士は「条約はマフィアのマネーロンダリング(資金洗浄)対策が中心で、取り締まり対象にテロを含んでいない。現行法で対応でき、共謀罪がなくても批准できる」と指摘する。
 批准のために法整備をした国はほとんどないという。旗振り役の米国ですら、共謀罪新設などを留保し批准している。
 だが、政府は共謀罪にこだわってきた。自公政権は03年から3度、関連法案を国会に提出し、そのたび世論の猛反発を受けた。自公が野党になり、動きはいったん止まったが、安倍政権は共謀罪新設の機会をうかがっている。
 海外でテロが起きると、政府め与党の幹部はしばしば、本来はテロ対策とは無関係の条約批准を持ち出し、共謀罪を含めた法整備に言及する。菅義偉官房長官も同日の記者会見で、「条約締結に伴い、(法整備を)進めていく必要がある」と述べた。
 こうした発言に対し、2020年東京五輪の開催地、東京都の舛添要一知事が17日の記者会見で、「基本的人権は憲法で定められている。今の段階では既存の法律で対応できるのではないか。(共謀罪の)議論をするよりも前に情報収集などの方が優先的な仕事ではないか」と、疑問を呈した。
 関東学院大の足立昌勝名誉教授(刑法)は「共謀罪がテロ対策になるかあいまい。『テロ』は、国民の不安に乗じて法整備を急ぐ口実にすぎない」と危ぶむ。
 「犯罪を実行しなくても、相談しただけで罪に問う共謀罪は、酒席で『うん、うん』と相づちわ打っただけで捕まえることができる。拡大解釈を生みやすく、憲法が認める内心の自由も侵害する」と共謀罪の根本的な問題点をあらためて説明し、「特定秘密保護法ができた今、言論弾圧に利用される心配もあり、これまで以上に危険な法律になる」と警鐘を鳴らす。
 ジャーナリストの斉藤貴男氏は「そもそも欧米がテロを利用し、日本もその論理に乗り、イラク戦争に加担した。その行動がテロを生んだことへの反省もない」と話し、テロの脅威をあおる現状を危ぶむ。共謀罪が再び浮上したことに、「特定秘密保護法もマイナンバー制度もでき、そうでなくとも国民を縛る動きが進んでいる。テロの悲劇すらも利用しようというのは倫理観がなさすぎる」と批判した。
                 (以上 引用)
 
そして、もうひとつは、「日刊ゲンダイ」1119日付の「テロに便乗して『共謀罪』言いだした 自民党の火事場ドロボー的悪辣」という記事だ。
 

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 この男は本当に法曹資格を持っているのか。パリの同時多発テロ事件を受け、自民党の谷垣禎一幹事長が17日、テロ撲滅のためには「共謀罪」の創設が必要との認識を示した。
 この日の党役員連絡会で、高村正彦副総裁がテロを防ぐための国際条約、国連国際組織犯罪防止条約に言及したのがきっかけだ。高村副総裁は「国際条約ができているのに日本は(共謀罪などの)国内法が整備されていないためにこの条約を批准できていない」と発言したことに対応したのだが、この論理の飛躍にはビックリだ。現行法でも、組織犯罪を取り締まる法律は十分、整備されているからだ。
「殺人予備罪に強盗予備罪などもある。テロ行為の取り締まりには凶器準備集合罪も適用できる。化学兵器や自動小銃などを準備しているとの情報があれば、銃砲刀剣類所持等取締法もあります。航空機テロだって『航空機の強取等の処罰に関する法律』というのがある。わざわざ共謀罪を作る必要はないのです」(司法ジャーナリスト)
 谷垣幹事長が言う「共謀罪」の創設は、過去3回にわたって国会に上程されたものの、日弁連などの反対で廃案に追い込まれている。大体、自民党が想定している共謀罪は、犯罪の実行着手や準備行為がなくても成立する――という乱暴な内容で、従来の共謀共同正犯とは全くレベルが異なる。極端な話、何も犯罪行為をしていないのに「思想」に疑念を抱かれればパクられてしまう可能性もある。「行為を処罰する」という刑事司法の原則を揺るがしかねない「現代の治安維持法」のような法律なのだ。それをこのタイミングで言いだすなんて、まさに火事場泥棒の類いだ。
 タダでさえ憲法を平気で踏みにじる安倍政権が「新たな武器」を持てば、トンデモない住民弾圧が始まることになる。

                  (以上 引用)
 
 
事の中で「この男は本当に法曹資格を持っているのか」と谷垣幹事長のことについて言及している。
しかし、谷垣氏だけでない。高村副総裁も弁護士資格をお持ちだ。
 
その高村氏だが、安保法制に関して、なんと最高裁での「砂川判決」を、集団的自衛権の行使が憲法に違反していない「合憲」の根拠として珍説を堂々と主張したことは誰でも覚えているだろう。
さらに、集団的自衛権行使が「合憲」だという憲法学者が3人しか見つからないと「たいていの憲法学者より私の方が考えてきたという自信はある」と強弁し、その傲慢ぶりに驚かされた。
谷垣氏も、そんな高村副総裁に同調してきた。
 
こんな人たちが、また「新しい法律をつくるべだ」というときは、国民はよっぽど注意しなければならないだろう。