孤高とひとくちで言っては叱られるだろうか。
高齢の画伯は椅子に座り、
遠く雲のかかった筑波山を眺めていた。
からだがご不自由なのだ。
アトリエの壁には海外の賞状がところ狭しと並んでいる。
だけど、
日本ではあまり認知されていない画家だそうだ。
大小さまざまなキャンパスに描かれている油絵が
迫ってくる。
リアルと一言で言い表せない、現実を超えた現実。
画廊でも美術館でもなく、
画伯のアトリエで手に触れて見ている自分に興奮している。
遠雷が聞こえる。
空が急に晴れてきた。
画伯はすでに恍惚の人なのだ。
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