天体観測は真冬のよく晴れた夜にするものばかりと思っていた。
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秋の夜空には、
木星をはじめ土星も火星も輝いている。
贅沢な秋空だ。
今年の目標はアンドロメダ大星雲の
天体写真を撮ることに決めている。
ホコリのかぶった機材を車に積んで観測地に向かう。
重い。
赤道儀がずしりとくる。
4階の部屋から駐車場まで抱えていく。
腕がしびれる。
三脚よりも鏡筒よりも重い。
小物とカメラはリュックに入れて運ぶ。
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赤道儀のモータを動かすためのバッテリーは、
この冬に新調した。
とても小さく手のひらにのるやつ。
リチウムイオンバッテリーは確かに使いよくなっている。
長時間の駆動が可能になっている。
以前の大型バッテリーは何だったんだ。
重くて大きくて値も高く。
これは機能しなくなったけど。
観測場所には苦労する。
光害のできるだけ少ないところを捜さなければ。
結局はいつもの田んぼの中の農道になるのだけど。
もっと条件のいい高原や山は、いつの日にかは行きたい。
農道で機材をセット。
夕方の4時。
日も少しかげってきた。
ファインダーと主鏡の光軸合わせを急ぐ。
遠くの高圧鉄塔に狙いを定める。
何度か繰り返す。
ファインダーのズレはまずまず。
北極星は見えない。
コンパスで北の方向を確認して、
全体をそちらに向ける。
これがいい加減。
いつものいい加減。
アンドロメダ狙うなら、
極軸合わせが正確でなければならない。
が、
今回は試運転だ。
バッテリーと自動追尾もセットして、
暗くなるまでクルマのなかで待つことに。
ポットの熱いコーヒーがありがたい。