中国の列車事故、
まずは被害に遭い、亡くなられた乗客の方のご冥福と
怪我をなされた方々の早い回復をお祈りいたします。
事故状況は付近への落雷で停車していた先行列車(CRH2型)に
後続の高速列車(CRH1型)が追突したという内容で、
原因は天候悪化と落雷による制御システムの故障が原因と
中国鉄道局は考えているようです。
本当でしょうか?
ちと疑問になった事が幾つかあります。
以下、素人考察なのでその辺を差し引いてお読みください。
そもそも…高速鉄道に必須と言えるATS、
自動列車停止装置が働かなかったという事態が異常です。
これは安全運行に必須と言える装置です。
かつてこれが無かったために起きた事故も数多く、
またこれを失効させたが故に起きた事故もあるほどで
多重の安全装置が加えられて世界に広まっている筈です。
つまり安全装置が先ずは利かなかったことになります。
ATSシステム自体に異常が無く、車両検知や
閉塞区間の管理が正しくなされていなかったとしたら
それ以前の問題となりますが…。
ただ、ダイヤ管理中に列車をシステムがロストするとしても
その場合は強制停止なり、全信号に赤信号を現示させるなりで
列車を止めて対処することは可能で、
それだけの間隙を保って列車を走らせるのも基本でしょう。
基本はシステムが稼動できなくなったら全列車停止ですし
それらの信号を受信できなくなった時点で強制停止させることは簡単です。
ATS信号なり電源が落ちた時点で強制的にブレーキを作動させる構造に
しておけばいい筈です。
それがまず無かったことになります。
そして基幹となるATSシステムや信号が天候などの外的要因で
ダウンする事は十分ありえることです。
システムゆえの誤動作や不具合もあることでしょう。
ただし、そのために通報手段なり非常ブレーキなりがあります。
高速列車ですから列車無線なり列車電話は装備しているでしょう。
またそのために運転手だけでなく車掌も乗務しているはずです。
どちらの列車も列車防護行動を取れたはずです。
そしてそれが為されなかった可能性があります。
状況が分からないと分かった時点で停止現示と列車防護がなされていれば
列車は停止していた筈です。
そして非常ブレーキは運転手も車掌も…日本式であれば乗客でも作動させられます。
そして致命的な欠陥さえなければ非常ブレーキは動くはずです。
単なるシステム不具合で片付けられようとしていますが
可能性としては
・当局の話のとおり運行管理システムに致命的不具合がある
(だとしたら人災で、再度同じ事故が起こる可能性が高く、運行再開は極めて危険)
・後続列車の運転手が何らかで冒進することができてしまった
(だとしたら車両側のシステム欠陥か運転者のミスで、事故車両の検証および再教育が必要)
・そもそも自動制御が全く無く、その上に列車防護が正しく行われなかった
(さすがにこれは無いと思いますが高速鉄道としては極めて危険で運行管理以前の問題)
・列車防護を後続列車が何らかの原因で情報を受け取っていなかった
(これまた自動制御システムが無いのが前提の話です)
・ブレーキの欠陥で停止できなかった
(車両の欠陥および不具合の可能性があり、事故車の検証が必要)
車両、軌道、システム、管理体制、運転担当者と要素をくくってみても
素人が簡単に考えたところでこれだけざっと出てきますし、
事故はいろいろな潜在的危険要素が絡まって起こり、単一の原因とするのは
真の原因を見過ごすことだ…と言うのは現代社会の安全の常識です。
いずれにしても事故車を廃棄したり、運行を再開するのは時期尚早でしょう。
中国高速鉄道の安全性、大きく揺らいだだけでなく、
その根幹の考え方までもが場当たり的で前時代的に思えます。
特許どうのの話には言及しませんが
箱物にこだわるより先にやるべき事があるのは明らかです。
中国鉄道当局は真実を見つめる勇気を持って、今回の事故原因究明に
あたって欲しいと思います。
(たぶん難しいのでしょうけど)
そうでなければ被害者の方がうかばれません。
日本の高速鉄道…高速鉄道に限らずですが
これを対岸の火事と思わず、今のシステムや安全対策を
根底から見直すくらいの気概を持って
より一層の安全性維持・向上を図っていって欲しく思います。
それこそ東電の「想定外」の事例もあります。
ただし安全に想定外はあってはならないし、
誰もそんな言い訳を認めてはくれません。
それは東電の事故と対応に対する世界の冷たい目線が
証明しております。
最高時速がいくら速くても安全でなければ意味はありません。
鉄道のより良い未来のために関係者のより一層の奮起を期待したく思います。
いつまでも日本の鉄道が日本の誇りであってほしいと切に願います。
■Yellow Comet Web → http://www.sea.sannet.ne.jp/yellow_comet_ap1/
■twitter → http://twitter.com/Yasuo_Watanabe