海岸にて

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チベット問題に仏教界から

2008-04-08 | 中国

     

中国政府のチベットへの弾圧は今も続き、7日パリでは北京五輪リレーに激しい抗議がなされたようです。福田首相は未だ静観していますが、オリンピックという「平和の祭典」を控えた中国での、看過することのできない人権弾圧に対して世界が声が上げています。中国仏教と関係が深い日本の仏教界からは、この問題への表立った声はほとんど聞こえてきませんでしたが、「ぼやきくっくり」さんのブログで、姫路市にあります天台宗の別格本山書写山圓教寺より大樹玄承(おおき・げんじょう)さんと金子峻祐(かねこ・しゅんゆう。「祐」のヘンは正しくは「示」)さんがTV出演されたことと、そこでに読み上げられた声明が紹介されていますので、転載させていただきます。

You Tube版 (英語字幕つき)

Japanese Buddhist protests against the suppression in Tibet

   

(以下、大樹玄承さんが読み上げられた文書の内容

 今、私たち日本の仏教者の真価が問われています。
 チベットでの中国の武力行動によって、宗教の自由が失われることに心から悲しみと、止むに止まれぬ抗議を表明せずにはいられません。
 私たちはあくまでも宗教者、仏教者として、僧侶をはじめとするチベット人の苦しみを、もはや黙って見過ごすことができません。
 チベット仏教の宗教的伝統を、チベット人の自由な意思で守るということが、大切な基本です。
 皆さんは、日本の全国のお坊さんがどうしているのかとお思いでしょう。
 日本の各宗派、教団は日中国交回復のあと、中国各地でご縁のある寺院の復興に力を注いできました。
 私も中国の寺院の復興に携わりました。
 しかし、中国の寺院との交流は全て北京を通さずにはできません。
 ほとんど自由はなかった。
 これからもそうだと、全国のほとんどの僧侶は知っています。
 そして、日本の仏教教団がダライ・ラマ法王と交流することを、北京は不快に思うこともよく知られています。
 あくまでも、宗教の自由の問題こそ重大であると、私は考えています。
 しかし、チベットの事件以来、3週間以上が過ぎてなお、日本の仏教界に目立った行動は見られません。
 中国仏教界が大切な友人であるなら、どうして何も言わない、しないで良いのでしょうか。
 ダライ・ラマ法王を中心に仏教国としての歴史を重ねてきたチベットが、今、なくなろうとしています。
 私たちは宗教者、仏教者として、草の根から声を挙げていかなければなりません。
 しかし、私の所属する宗派が、中国の仏教界関係者から抗議を受けて、私はお叱りを受ける可能性が高いでしょう。
 このように申し上げるのは、私たちと行動を共にしましょうということではないのです。
 それぞれのご住職、檀信徒の皆さんが、これをきっかけに自ら考えていただきたいのです。
 オリンピックにあわせて、中国の交流のある寺院に参拝予定の僧侶もいらっしゃるでしょう。
 この情勢の中、中国でどんなお話をされるのでしょう。
 もしも宗教者として毅然とした態度で臨めないならば、私たちはこれから、信者さん、檀家さんにどのようなことを説いていけるのでしょうか。
 私たちにとってこれが宗教者、仏教者であるための最後の機会かもしれません。

書写山 圓教寺 執事長 大樹 玄承 
平成20年4月5日

(「ぼやきくっくり」「ぶったま!」チベット問題 天台宗僧侶の勇気ある発言より)

 

 〈追記 4/10〉 

以前、清水寺の話で、

清水寺の建物を建てるには600年物の欅材が必要。
また、現清水寺は既に400年を経過、欅材は1000年が寿命とか。
これを引き算すると今から欅を育てる必要がある。 ということで、清水寺では寺有林で欅を育てて600年後に備える予定、

という記事を読み、寺院の、表からは見えにくい壮大な心を感じ、日本の仏教界に誇りを感じたことがありました。しかし、今、チベット問題をほとんど静観し見過ごそうとしている日本の仏教界を見て、形は残せてもその精神はどうなのかと深い疑問を感じています。 本来の仏教精神を時代を超えて後世に伝え残すことこそ、より重要なのではないでしょうか。

   

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