「まじめにやれ!」。国から地方への権限移譲について検討を進めている地方分権改革推進委員会の丹羽宇一郎委員長(伊藤忠商事会長)が怒りをあらわにしている。
分権委は、今月末にも福田康夫首相に第1次勧告を提出する予定だが、肝心の各府省からは依然「ゼロ回答」しか聞こえてこないからだ。
地方でできることは地方で。権限と予算を持たせることで責任と知恵と工夫が生まれ、活性化につながる。それが地方分権化のねらいだ。
これに対して各府省は、検討はするが中央でしかできないことばかりだ、と反論している。なに、本音は地方分権を認めれば組織や予算が削られ、結局は自らの首を絞めるだけとする自己保身だ。
本来なら官僚のサボタージュを厳しく戒めるべき閣僚たちからも、前向きの発言はほとんど聞かれない。事態を重く見た担当大臣の増田寛也総務相が、関係閣僚との直談判に乗り出したはいいが、こちらも政治家大臣でない悲しさで、迫力不足は否めない。
官僚、政治家、国民(有権者)はグーチョキパーの関係とされてきた。官僚は「国民には高飛車だが政治家には弱い」というわけだ。が、それも過去の話。政治家(閣僚)は今や、すっかり官僚の下僕に成り下がった。
言うことを聞かない官僚や閣僚は、職務怠慢で首をすげ替えるほかない。公務員制度改革も然(しか)り。本気で改革を語るのなら、それぐらいはやってほしい。「まじめにやれ」と言いたい相手は官僚だけではないのである。 (MSN産経ニュース)
【櫻井よしこコラム 福田首相に申す】 国家国民のために働け (3/3ページ)
そのことは公務員制度改革への福田政権の圧力にも明確だ。同改革の柱の一つが天下り根絶を目指して制度設計されつつある「人材センター」である。7月以来議論を重ねてきた有識者懇談会に対して、10月26日、官房副長官の二橋正弘氏が指示書を出した。明記されたのは3点。(1)「人材センターの組織はできるだけ早期に民間出身者が過半数となる」「副センター長をはじめとする幹部は民間から登用する」などの表現を削除せよ(2)本懇談会の今後の取り扱いについては言及するな(3)「その他」については削除せよ-である。
(1)の指示は、センターへの民間人登用を排除し、官僚たちの思い通りに運営したいということだ。(2)は、報告書をまとめたあとは懇談会は直ちに解散し、その後の運営に口をはさませないということだ。(3)の「その他」は天下りを繰り返すいわゆる「渡りの即時禁止」などなのだが、それを削除させて官僚が「渡り」を続けられるようにしようということだ。 ・・ (MSN産経ニュース)
この国を動かしているのは国民に選ばれた政治家ではなく、官僚(公務員)。そしてそれを、閣僚も許している。
例えば、政治家の落ち度はそのような政治家を選んだ国民の落ち度ともいえるわけですが、官僚はそうではない。単に公務員である。彼らが国民に選ばれた政治家(閣僚)の言うことを聞かないということは、暗に、彼ら(公務員)が、自ら政治を動かすと主張しているとも言えるわけで、これは国民軽視であり民主主義を踏みにじっているともいえる由々しきことだと思います。
「公務員制度改革」に福田首相が消極的であることについて、昨年、桜井氏が強く注文をつけておられました。 これではもしよい政治家がいていくら政治を改善しようとしても無理というもので、政治家も国民も蚊帳の外、政治の行く末は官僚の思惑次第ということになります。そのような横暴は許してはなりません。(職務怠慢で首をどんどんすげかえてください。それしかありません。)「公務員制度改革」は何としても進めていただきたいと思います。