
とある九月土曜十五時吉野家に俺には俺の食い方がある
このうたは、十年以上前に出した
第一歌集『解体心書』から抽きました。
お恥ず歌集ございますが、この記事には
相応しいかなと思いまして。
吉野家が28年ぶりに牛丼の大きさを変えた新メニューを加え
従来より大きめの「超特盛」と小さめの「小盛」が加わり
これまでの「並盛」「アタマの大盛」「大盛」「特盛」の
4種から6種に増える。
と、ネットニュースにありました。
ぼくは牛丼チェーンでは吉野家派です。
とは言ってもひと月に一度食べたくなる程度。
持ち帰りの場合は一個というわけにはいかないので
なるべく店で食べます。一個を持ち帰りになんか
してごらんよ。店員はきっと「あら、この大きなおじさん
寒くて暗い部屋に帰って電気ストーブの前で
顔だけ火照らせながら一人ぼっちで牛丼食べるのね」
って、思うに違いありません。
よって持って帰りたい場合は
二個以上買わなければならないのです。
すると二食連続で吉野家となりそれはそれできつい。
というわけで、やむを得ず店内のカウンター席に
腰かけて「特盛と玉子」と遠慮がちに小声で言います。
こちとら小声で言ってんのに店内には威勢のいい声が
「特盛一丁!玉子一個ぉ!」と響きわたるのです。
で、「オレの喰い方」は特段変わっていませんが
七味の蓋をくるくるっと外して大量にかける。
吉野家の七味は辛くありません。
で、玉子を醤油で解いてから、牛丼の真ん中に窪みを作って
それを流し込む。しばらくは玉子かけご飯を楽しんで
全体を食べてゆく・・というものです。
その間、どんぶりから目を離さず食べます。
人目が怖いからです。
それにしても従来の牛丼メニューにしろ、
今回の「超特盛」とか「小盛」とかって言いにくいよー。
そもそも「並盛」って差別用語じゃないか?
ほんとは「アタマの大盛」を食べたいんだけど
みなさんはそんな固有名詞を言えますか?
店員はきっと「この肉好きジャンボガイが!」
と思うに違いありません。
勘弁してほしいわ。命名にセンスがない!
そもそもこんなジャイアントガイが
「超特盛」なんて言えますか。
口に出したくないからといって、
メニューを指さしたところで
店内には「超特一丁!」と響き渡るに決まってます。
しかも店員に「いくらなんでも食べ過ぎですよ」って
思われるに決まってるわけです。
逆に、こんなビッグガイが「小盛」って呟いてもみなよ。
「ダイエット中でありながらどうしても牛丼が食べたいのね」
って絶対、店員に思われるわけですね。
哀しいラージガイの物語なのです。
ぼくの甥っ子は会話が嫌だからと
食券式の牛丼屋に行くそうです。
確かに食券を出せば「超特盛と玉子」って言わなくて済みます。
しかし、食券を受け取った店員が厨房に向かって
「超特一丁!!玉子いっこー!」なんて叫ぶに決まってるので
意味ねーし!
メニューを英語で言ったらどうか?
「並」は「レギュラー」・・うん、いいんじゃない?
「大盛」は「ラージ」・・これもまあどうにかギリ!
「特盛」は「スペシャルラージ」・・あかん。
「アタマの大盛」は「ヘッドオンリーラージ」・・全然ダメ。
「超特盛」は「スーパースペシャルラージ」・・なげーし!
名前が長くて辱めを受ける時間が長くなる一方だ!
「小盛」は「リトル」・・・やっぱりだめだ。
ぼくの吉野家牛丼論を終わります。