
18世紀の初期に英国で発行されたものの本には
「鳥の渡り」について次のように解説されている。
鳥は寒い地球上の冬を避けて月世界へ飛んで行き
暖かくなると地球に帰って来る。
月への旅行には60日を要する。
鳥は地球から月のかかっている空へ向かって
飛び立って行く。大空では地球の表面から
立ち上る水蒸気の流れを利用して一直線に
月へ向かう。
神秘的というより浪漫チックな考えだ。
月面をかすめて飛んで行く一群の鳥を見て
考えついたのだろう。
この本に書かれているのは日本で呼ぶところの
夏鳥である。
白鳥や鶴、雁などと入れ替わりに
やって来る鳥たちだ。
まもなく冬鳥は日本を離れる。
月まで飛んで行くわけではないのは明らかだが
海の上を思い思いに飛んでゆくとは知識では
わかっていてもとても信じられない。
わかってはいるけれども
信じられないことは多々ある。