詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

『実録・現代短歌史 現代短歌を評論する会』(外塚喬)

2019-03-15 08:58:36 | 短歌情報


昨日届いた本を紹介したい。『実録・現代短歌史 現代短歌を評論する会』(外塚喬)である。
月刊「現代短歌」の創刊号から連載されていて、興味深く読んでいたが購読をやめて以降は
読むことはなかった。それにしてもよくもこれだけの資料を残しているものだと感心しながら
読んでいたが、この度一冊にまとめられたのだ。
いまから40年ほど前、片山貞美の呼びかけを原点として始まった十年に亘る「現代短歌を
評論する会」の活動が忠実に再現されている。
私が現代短歌史を考えるときには「俵万智以前か以後か」を分水嶺とするがこの活動は俵万智
以前から以後に亘っている。本書を手にして、最後に書かれている解散に至る経緯から読み、
次に初めから読み始めたのだが、夜更かしは今日の仕事に影響するので、本を閉じた。
つまり未だすべてを読んではいないのだが、本書を読むことは現在の歌壇状況を俯瞰すること
に他ならないと率直に思った。歌壇は結社の集合体であって、結社と総合誌は互助の関係である。
そこを問題とした「現代短歌を評論する会」は実に先鋭的であり、衝撃を受けている。
総合誌紙には歌集歌書の紹介記事があって、ときおり「本書は歌人必読の書である」などと
締めくくられている一文を目にすることがあるが、「タダで貰っておきながらよく言うよ」と、
私なんぞは思っているものであるから、「この『実録・現代短歌史 現代短歌を評論する会』は
問題意識のある歌人必読の書だ」なんて言いはしないが、一体なにが問題なのか?
を歌人それぞれが考えるきっかけになるとだけは言っておきたく思う。
かつて田島邦彦に言われた「批評するんじゃない、批判するんだ」との言葉を思い出している。



(あとがきより)