詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

橋の始めの物語

2019-03-17 12:19:06 | 千駄記


人類の橋の始めはきみのためにせせらぎの上を渡しし朽木

少年はちょうど一年前に心を奪われた光景を
少女に見せたいと願った。
少年は少女の手を引きもうすぐだ、
もう少しと励ましながら歩いてゆく。
日は少しずつ傾いてゆく。
小さな川に沿って上ってゆくのだが
これから先は小川を渡らなければ上れない。
少女は川に浸かるのを嫌がるし、
何より怖いと泣き出しそうなのである。
おんぶすると言っても恥ずかしがる。
少年は辺りを見回し転がっていた大きな朽木を
えいやぁと抱えてせせらぎの上に渡した。
少女はおそるおそるその上を渡る。
さらに半時間ほど歩いた先で少年は
ほらっと少女に光を指し示す。
夏の夕暮れ微かな緑の光が乱舞している。
羽化したばかりのホタルである。
少女は初めて見るホタルの光を黙って
飽きることなく見つめ続けた。
橋の始めの物語。



工場の3階から見下ろすと見事な春の陽射し。
こんな日に野山に繰り出すとバチが当たりそう
なので「晴詠」3号の発送準備をしていました。
9:00に始めて11:20に終了。宛名シールを貼って
冊子を詰め、封をする作業を繰り返しながら
ウチに届く書物はより一層丁寧に拝読しよう!
と、つくづく思ったことです。
発送名簿から数名を削り数名を増やして
300名弱でした。
どこかにいらっしゃるだろう7名の読者のために。
さて配送をどこにお願いしましょうか。