☆☆ゆきのおと Yuki's Note ♪☆☆

☆名越(なごや)左源太時敏の玄孫が綴る日々のあれこれや家族の歴史. 
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父の想い出、祖父の思い

2020-12-06 16:01:39 | ある日の父の問わず語り

父がふとした時に語る話を「ある日の父の問わず語り」カテゴリーに記していますが、別ブログに書いてここに残していない話がありました。

 

3年前、テレビで西郷隆盛が連れていた犬のツンについて伝えている時の話です。

元記事はこちら

『犬にツンが切っ掛けで祖父との思い出話へ』 (2017年12月27日)

 

 NHK鹿児島放送局『ひるまえクルーズかごしま』

「我が家のツン」

http://www4.nhk.or.jp/P2896/

昨日テレビでこんなのやってまして、父が

「ツン、て、なんだったっけ?」というので

「西郷さんの愛犬でしょ」と言うと「あぁ、そうか」と父。

 

そして「おじいさんが犬が好きでねえ、いつも犬を連れて歩いてたんだよ」と語り出しました。

複数飼っていたわけではなく、それでも常に家には犬がいたそうで父の犬好きはこの頃の影響もあるのかもしれません。

 

散歩の途中、飼い主さんに連れられた大きな犬が向こうからやって来た時に、犬好きの祖父が撫でようと手を伸ばすと突然、その犬が大きな声で吠えたことがあったそうです。

祖父は平気だったようですが、傍にいた幼かった父の方が犬の大きな声にビックリしたことも思い出して語ってくれました。

 

 父が小さい頃の記憶で、もうひとつ。

父は上に4人の兄姉がいる末っ子です(実は弟が二人いたのですが、二人とも幼くして亡くなっています)。

 

「おじいさんがねぇ、お父さんが子供の頃、背中におんぶしてず〜っと話をして歩いたことがあったよ」と、懐かしそうに、私に話して聞かせてくれました。

 

「何の話をしたのかは覚えてないけど、二人だけでどこかへ行った帰り道だったのかも知れない。おんぶされるということは、まだ小学校に上がる前だったんだろうなぁ、」と振り返り、

「そんなことは初めてだったからねぇ‥‥。」と父は話し始めました。

 

それを聞きながら、写真でしか見たことのない祖父が、幼かった父を負ぶって歩くその情景を思い浮かべていた私は、あったかい空気を感じるのと同時に、少しだけ父のことをいじらしく感じて、何となく父の方に顔を向けることが出来ませんでした。

話している父の顔はどんなだろう…と一瞬思いましたが、残念ながら表情までは分かりませんでした。

 

懐かしくて、少し切ない顔だったのではないかと思います。

「なのにねぇ‥‥」と父が続けます。

 

「おじいさんに黙って海軍航空隊に志願して、合格の通知が来た時に初めて告げると、『そうか‥‥、上の学校の制服も準備してたんだけどなぁ‥‥。』とポツンとつぶやいて、見せるともなく新しい制服を広げる姿を見たときは、本当に申し訳ないことをしたと思ったなぁ。。」と。

 

「一人くらいは大学まで行かせたかったんだろうなぁ…」と、祖父のその時の心情に心を寄せる父。

 

この話はこれまでもことあるごとに聞いているのですが、余程心残りであったのだと思います。親不孝をしてしまったと、この話をするたびに、そう言っていました。

 

 昭和19年3月下旬に家族が住む台南から高雄港へ向かい、そこから船で日本本土は四国松山へ。

その途中で船から見たトビウオの群れの話、アメリカ艦(潜水艦だったかな?)からの攻撃を避け釜山近くの島影へ一晩避難したこと、瀬戸内海に抜ける途中クジラも見たこと、幾度となく聞いてきました。

 

しかし、おんぶの話は今回が初めてでした。

父の問わず語りの日でした。

コメント (3)
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