![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/8b/3d1c3dc3bba2f6b2f869854cbe11435c.jpg)
雪は酔いが回った頭で、一体なぜ休学を決意せざるを得なくなったか、
ということについて考えていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/a3/6a49e891e5f57e9480fad6746c0bcf99.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/93/facc9722b355d48834b570ebc18219ca.jpg)
先学期自身を悩ませた横山翔や平井和美、彼らと顔を合わせたくないというのも勿論ある。
けれどやはり、元凶はあの男だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/ed/97b24b703c32828ac938ba9a8b4a0a36.jpg)
胸の中にムカムカと憤りが沸く。
青田淳さえいなかったら‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/29/bf396c7f762635298aadbe7b0dc86409.jpg)
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青田淳は涼しげに微笑みながらその場に佇んでいた。
自分が今どんなに青田淳のことを恨んでも、この場で彼のことをじっと睨んでも、現状は何も変わらない。
雪は彼から目を逸らし、空に近いジョッキに目を留めて考え続ける。
何なの?虚しいの?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/7b/42973281db40202fcbe9b6cf8bb22066.jpg)
胸の中をざわつかせるこの感情。
雪はじっとその正体について考えを巡らせた。
違う。ムカつくんだ
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”虚しい”という受動だけの感情で、休学を決意するのは嫌だった。
雪は胸中にうねる感情にまかせて、テーブルに両肘を強く打ち付ける。
悔しいんだよ!
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結局このまま尻尾巻いて逃げて終わりってか?!
何だっつーの?!私の今期の大学生活、こんな形で終わるの?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/8a/88d70fe833fdb63a4760615dc83ca913.jpg)
こんな形で‥??
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/b6/65b54079d2f3592b06d7c36cd38fa320.jpg)
身体を壊し、成績もいまいちで、経済的にも苦しい。
なぜ自分だけがこんな目に合わなきゃいけないんだろう。
顔を上げた先には、楽しげに皆と談笑するあの男の姿がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/be/c47ed59b251aa34c4e6bb95637294dba.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/04/7b30393c558764a44d5719403efe22e0.jpg)
何の悩みもなさそうな顔で笑う彼の顔。
それを見ていると、雪の胸の中は黒く濁った。
ゴキゲンってか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/1b/d85d8c0886ce2ae090577baa086787b4.jpg)
ああそうでしょうよ、アンタはゴキゲンでしょうよ。
私がいなくなったらもっとゴキゲンでしょうよ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/cb/83e75105900f2c25fb453aace7fe3c14.jpg)
あの狐野郎‥せいぜい良く食べ良く寝て幸せに暮らすがいいさ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/56/dfc10182542665764f1b56fd4f2df9fe.jpg)
雪は苛立ちを持て余しながら、ジョッキを手に立ち上がる。
私も今日は思う存分飲み食いしてここからサヨナラだ!バイバイ狐野郎!!
「え?アンタも乾杯すんの?」「止めといた方が良いデスよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/bf/e468b39b167665a4d12487b7a9b2e5ef.jpg)
聡美と太一の制止を振り切って、雪は勢い良くビールを飲み干す。
ぐわっ!!
「ちょっと!マジで止めときなって!」
「ちょ!俺のビール飲まないで下サイ!」
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雪達の騒がしい声が、喧騒の中に溶けて行く。
そしていつしか、結構な時間が過ぎて行った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/e8/0daf682b15a8bba910bdaa19998e5181.jpg)
「バイバイ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/94/38aff451b29f81058e67464abcad2616.jpg)
テーブルの上の料理はあらかた食べ尽くされていた。もうお開きの時間が近い。
雪はソファに凭れ掛かりながら、うわ言のように何やらずっと呟いている。
「バイバイ‥永遠にぃ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/a3/bca16923758a12cac086638cd781147c.jpg)
遠くで「そろそろ帰りたい人は帰ってねー」という声や、席を立つ人達の物音が聞こえる。
目の前には楽しそうにおしゃべりをする聡美と太一。店を出て行く同学科の学生達。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/90/2bb2424fb7274097cd165abb8520ca07.jpg)
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もう自分は休学するのだ。
彼らとも、聡美と太一とも、そして青田淳とも、バイバイするのだ‥。
「バイバイ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/76/786744f7ac8df671b01a9eaca760ec5c.jpg)
雪の鼻から、鼻水が一筋流れている。
けれど酔いが回った雪にとっては、そんなことはどうでも良いことだった。
「アンタ相当酔ってるでしょ。つーか鼻水食ってるっつの」
「もう休みに入るんだし、見逃してやりまショ」
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まずはこの二人に、伝えなければ。
雪はソファから身を起こすと、二人に向き合って口を開く。
「?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/61/389c041382cdc2872aae358ffe02f353.jpg)
そして雪はようやく、その言葉を口に出すことが出来たのだった。
「私、休学する」
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喧騒の狭間から踏み出す一歩。
まずはこの二人が、その目撃者だ。
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その頃青田淳は、雪から離れた席にて顔馴染みの仲間と談笑していた。
いつものように、彼の周りに笑い声が響く。
そして彼自身も、どこか愉快な気持ちでその空間に溶け込んでいた。
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これから始まる自身と赤山雪との大学生活。
どうやって彼女を捕まえようか。
淳の心は弾んでいた。
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しかし次の瞬間、彼はとんでもないニュースを聞くことになる。
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<雪と淳>閉講パーティー(2)でした。
最後、セピアからカラーに戻るコマ!物語が元の時系列に戻る瞬間ですねー!ゾクゾク!
そして物語は冒頭に戻りますが、この先の細かい描写がもう少し続くみたいです。
ですので次回も<雪と淳>閉講パーティー(3)です。
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