![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/be/40df2fb01d9e1b682f2166c3e722f85d.jpg)
雪は河村亮とのことを考えながら、一人教室へ向かって歩いていた。
するとその道中で、大きな声が雪に掛かる。
「雪っ!」「!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/7c/76b97f98df6009d9e69acaeff98f5d18.jpg)
声の主は伊吹聡美だった。
聡美は大声を上げ慟哭しながら、雪の肩に縋り始める。
「ゆきぃぃぃぃ!!」
「??!えっ?!どしたの?!アンタここで授業じゃないでしょ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/58/b2a25bf8b71035e71104f91a548f2fd8.jpg)
「ゆきぃぃぃぃ!!」「どうしたの?!何かあった?!」
「太一が‥」「太一が何?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/a9/fe416f9d066c796a98e1183e76d10cc1.jpg)
そして聡美の口から語られた真実は、何も知らない雪を驚愕させた。
「う、うちら‥付き合うことになったのに‥」「へっ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/85/e9dbaf7166f823307302fa256247064b.jpg)
「軍隊に行くってぇぇぇ!」「はぁぁ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/26/9521bddb5c40ee0f9ad8f6cd40965c75.jpg)
聡美は涙をポロポロ零しながら、がっくりと肩を落とす。
「あたしとはもう終わったんだと思って、
ヤケクソで軍隊に申し込んだんだって‥」
「ちょ‥待って何が何だか‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/dd/06a02fca0bd50287d27d384bd2c00189.jpg)
「もう取り消しも出来ないってぇぇ‥!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/b5/f3d629dd14bedb8847b177cc95a50b98.jpg)
聡美の目からブワッと涙が溢れ出した。
「取り消しの期間も終わっちゃってて‥」と力なく呟く聡美に、雪は何も言葉を掛けてあげられない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/28/468e124b8dbc694dfa1b3b3fe71515db.jpg)
混乱の最中で、こう叫ぶのがせいぜいだった。
「な‥何がどうなっちゃってんの?!?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/72/62460338fbf5179244a4c157b4181444.jpg)
季節の移ろいと共に変化して行くそれぞれの関係。
冷たい秋風はただ静かに、彼らのその間を吹き抜けて行く‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/a4/e5d6ab65f487118cc1732bdc9da44ec0.jpg)
次の授業が始まっても、雪は先程の衝撃から依然として立ち直れていなかった。
手元のノートには、「聡美」と「太一」の名が延々と書かれている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/7e/5f8dc24973a7010d4804f6665e3d961f.jpg)
先ほどの衝撃の告白の後、泣き続ける聡美を宥めるのは一苦労だった。
「雪ぃ‥あたしもうどうしたら‥」
「とりあえずアンタ授業あるんでしょ?落ち着いて、ね?
泣くの止めて、後でちゃんと話しよ。分かった?」「ん‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/85/6fa571c77859f87eb7e37cf20d61a29a.jpg)
涙ながらに唇を噛み締め、頷く聡美。
彼女が握った携帯電話が、何度も震えていた。きっと太一からなのだろう。
この二人は、一体どうなってしまうんだろう‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/80/b8139d4206941bf54b322847d3e2cfe9.jpg)
雪は後ろ髪を引かれる思いで、とりあえず授業を受けに教室へと向かった。
出席に厳しいと評判の教授の講義だ。休むことは出来なかった。
「おはようございます」「皆さんおはよう」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/df/a4c94ec4801781c7cb9889d401a25b1e.jpg)
「授業を始めます」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/a3/d3d172df180ab2bce9867ff2a72501a1.jpg)
痛む頭を庇いながら、教室へと入って来た教授をぼんやりと見ていた雪。
その視線の先に、先程までは確認できなかった人物の背中を見つけて目を見開く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/01/5b8d26875cee4db95001a85bf9589074.jpg)
柳瀬健太‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/3e/a1229914211a31f6151cdd5638fbc936.jpg)
雪の胸中がムカムカと憤る。
滑り込みで入って来たってわけね
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/4b/2d2903a0ecef5554bbf4360328d081a8.jpg)
雪から一番遠いと思われる席に、おそらくコソコソと就いたであろう健太。
苛立ちは隠せないが、とりあえず授業に集中せねばならない。
雪は目を閉じ、一度大きく深呼吸をする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/f2/0808f0b3559431541dd8bcb21a5e62eb.jpg)
健太への対応をどうするか、未だ結論は出ていない。
無鉄砲に向かって行ったら、また思わぬ所に余波が押し寄せてしまうかもしれないから。
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雪は授業に集中しようとノートを取り始めた。
頭の中には無数の考えが、次から次へと浮かんでは消えて行くけれど。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/6e/17649e2c133fd3dd9294cb57bdcf90f6.jpg)
静かに授業を聴き、黙々とノートを取る。
今の場面だけ切り取れば、何てことのない日常の一片だろう。
けれど周りの環境や人間関係は常に変化し続け、それは少なからず雪に影響を与えて行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/da/0d168e1a7615bb6d061db23a90d0333e.jpg)
教授の声が広い教室に反響し、やがて消えて行った。
雪はぼやけていくその記録を、忘れないようにノートに書き留めて行く‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/e2/a50afa4f6075fd627781433d54b957ef.jpg)
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<友の慟哭>でした。
あちゃー‥太一‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/c2/c4bae2f135bc2a0ec9de91e1925ef108.jpg)
クール◯コ再び‥
軍隊に申し込んだのはやけっぱちだったんですね‥。
あのピアスをお別れにしようと思っていたのかな。。うう‥(T T)
二人‥どうなるんだろう‥。
次回は<彼、突然の来校>です。
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