Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪と淳>閉講パーティー(3)

2016-05-07 01:00:00 | 雪2年(曰く~閉講パーティー)
「私、休学する」



ようやく雪はその言葉を口にすることが出来た。

目の前に居る聡美と太一は、キョトンとした顔で雪を見つめている。



数秒後、太一が口を開いた。続いて聡美。

「ロッカーもらうっ」「あ!あたしが言おうと思ってたのにっ。それじゃあたし教科書もらうっ」

「あんたら‥



そして物語は冒頭へと戻る。

この先は、そこに描かれていなかった詳細を辿って行くことになる。





雪、聡美、太一の会話は続いた。

「最近学費のせいで休学する人多いッスけど、もしかして雪さんも?」

「まぁね‥奨学金、ちょっとは貰えたけど、あれじゃ焼け石に水だし‥」

「うんうん、確かに学費高すぎ!あんだけ金取るならエスカレーターくらい設置しろっての!」



「てかあんたマジで学費分の奨学金貰えなくて落ち込んでんの?」

「あんた達に私の気持ちが分かる?もぉマジ疲れた‥」



雪は再び青田淳の方をチラリと見て、苛立ち、

またしてもビールを飲み干した。



そして呂律の回らない舌で、二人に向かって精一杯叫んだのだ。

その大声に、思わず淳や柳もそちらの方を向く。

「あたしゃするよ!また休学してやる!」「うわー本気デスねこれ」



彼らは聞こえて来るその会話に耳を澄ました。

「あいつら何だって?」「休学するみたいですね」

「あ、そーなの?」「誰が?赤山ちゃん?」



そんな会話が繰り広げられているとは知らない雪は、

口元を押さえながらソファに凭れ掛かっていた。

「一緒に卒業したいのにー」「それじゃまたバイト地獄デスか」



しかし”赤山雪休学”のニュースは、柳達の気を引くほどのものではなかったようだ。

彼らはメニューを開いて飲み物を吟味している。

「そんじゃもう顔合わすこともねーのか。なぁ、もう一杯頼もうぜ」

「何頼みます?」



淳以外は。

「ねぇ雪、アンタ休み中またバイトすんでしょ?どこでやるの?」

「‥XX企業に願書送っ‥」



一瞬、目が合った。しかし雪はそれと同時に吐き気が込み上げる。

「マーケティン‥グ‥ぐうぅっ‥」

 

思わず吐きそうになり、急いで席を立つ雪。慌てる聡美と太一。

「ちょ、出る!出る!」



ドタバタと駆けて行くそんな雪達の様子を、淳は白けた顔で傍観していた。

「ついてこない‥で‥っ」「ここで吐いたら休学一年で済みませんヨー!」

「すんませーん」「赤山、ありゃ吐きに行くな」



近づいたと思うと逃げられ、向き合おうとすれば、それは適わない。

物事は想像もしなかった方向へと転がって行く。

そしていつだって、彼女にとって自身は敵だった。

「どうしていつも俺を見る度‥」



そう不満気にボソッと呟いた淳を見て、不思議そうな顔をする柳‥。






「うっ‥うぇぇっ‥うぇっ‥」



雪はトイレにて、胃に入ったものをひとしきり吐いた。

洗面で顔を洗いながら、鏡に映ったその疲れ果てた顔を見つめる。

「‥‥‥‥」



蛇口から流れ出る水の音が、やけに個室内に響いていた。

まだ酔いは残っているようで、周りの風景がぐにゃりと歪んでいる。

 

ふと、先ほどの太一の声が蘇った。

「それじゃなんでまた休学するんスか?」






水は吸い込まれるように、渦を巻いて排水口へと流れて行く。

「これからは気をつけろよ」



それを見ていると、あの日の青田淳が蘇る。

あの日そう言われる前も、こうしてトイレで一人怯えていた。



ぐにゃぐにゃと歪む床。

思い描いていたキャンパスライフは、今の視界のように滅茶苦茶になった。

あんなに頑張って大学通ったのに‥。

何がいけなかったんだろう‥なんでこんなことになっちゃったんだろう‥




思いつくのは、あの出来事しかなかった。

全ての発端は、あの時、自分が‥

嘲笑ったから?



「‥‥‥‥」



誤解だったとしても、悪意は無かったとしても、それが始まりになってしまった。

あの時以来の彼との因縁が、雪の現状を作っている。

結局全額奨学金も貰えずに、空白の期間だけが増える。

休学も無駄に二回することになって‥




ざぁぁと、水が流れる音だけが響いている。

聞こえないけれど、時間もこの水と同じようにずっと流れ続けているのだ。

理由はなんであれ、結局は‥



私は逃げてるだけだってこと‥



雪の心に、虚しさが広がる。

無駄に流れて行くとりとめのない時間を思うと、ただ言い様のない虚しさばかりが募るのだ‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪と淳>閉講パーティー(3)でした。

時系列、戻りましたね。

そしてその先は描かれていなかった隙間の描写を交え、進行していくみたいです。

じっくり読めて嬉しい半面、現在での物語の進行が気になる‥!あの保健室の続き‥!悶々‥


次回は<雪と淳>閉講パーティー(4)です。これで閉講パーティーは終わります。

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