Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

彼女の確信

2016-05-22 01:00:00 | 雪3年4部(虚勢の裏側~魔法の言葉)
その日の夜、雪はベッドに寝転びながら携帯電話を眺めていた。



身体は疲れているが、考えることがありすぎてなかなか眠気がやって来ない。

とりわけ気になるのは、手を怪我してしまった先輩のことだった。



ポチポチとメッセージを打ち始める。

「先輩、手はどうですか?痛みは‥」



けれどその途中で、とあることに気が付いた。

「あ、ケガしてるんだった。返事ダメだ



それなら‥と、

次は通話ボタンに指を伸ばしてみるが、



「いやもう寝てるよね‥むしろ寝てなきゃ



そう思い直して、携帯を枕元に置く。







雪の脳裏に、昼間の光景が蘇って来た。

バランスを崩した雪を庇って、共に倒れた先輩の姿が‥。

「‥‥‥‥」



先輩が私の為にあんな行動に出るなんて‥



去年からは考えられなかったな、本当‥



たった一年で、彼と自身との関係は180度変わった。

けれど雪は気が付いていたのだ。

それは自然に変わって行ったのではなく、彼が意識的に変えたということに。

「俺しか居ない」



彼しか居ない領域の中に、雪を招き入れたということに。

「だろう?」






夏のボランティアの時、自身が問うた質問が蘇る。

「どうして私に告白したんですか?」



平井和美との一件があって、彼に疑心が募っていた最中のことだった。

どうしてあれほどまでに雪のことを嫌っていたのに、彼は告白して来たのか。

「あ‥それは‥」



「好きだから‥」



あの時彼は、雪からの質問に即答出来なかった。

本当に単純に好きだったから近づいたんだとしたら、あれほど戸惑いはしなかっただろう。


「あまり関わるなと言ったじゃないか」



あれは河村亮に家まで送ってもらった時、先輩と鉢合わせしてしまった時のことだった。

きつく抱き締められた背中越しに伝わって来た、彼の静かな怒り。

自身の手元に置いたはずの雪が、思い通りにならないことへの憤り‥。


「俺ら互いに気づいて、互いを見抜いたよね?

けど、最近は俺のこと見てくれないよね?もう冷めちゃった?」




秋の夜、今までに無いくらい酔っ払った時の彼が思い浮かんだ。

あの時口にしたその言葉は、本心だったのだろう。

互いに気付いて、互いを見抜いた、それが二人の始まりだった。


「もしかしたら俺は、君のことが怖かったのかもしれない。

最終的には俺のことを、侵害するんじゃないかと思って‥。

俺はそれが‥すごく嫌で。本当にすごく‥嫌なんだ‥」




”取って食われる”と、去年の雪が彼に感じていたのと同じ思いを、実は彼も感じていたのだ。

自身を奪い行くその存在へと向けられる、例えようのない恐怖心‥。








あの時、彼は最後にこう口にした。

「好きだと言ってくれて、ありがとう」と。







雪の心の中に、確信が浮かぶ。

もう確実に分かった。



地面にばら撒かれた書類。

かつて足蹴にしたそれを、あの時彼は差し出した。



あの人が、私に何を望んでいるのかが。



単純に好きだから、で告白して来たわけじゃない。

彼は自分を理解してくれる唯一無二の存在を、雪に求めて近付いて来た。

一度は蹴られたその書類が、再び拾い上げられて差し出されたように。






枕元に置いた携帯が震えた。

聡美からメッセージが届いている。

雪、大丈夫?先輩はどう?心配でさ



雪はすぐに返信を打った。

「うん、大丈夫だよ。

聡美も太一と早く仲直りするんだよ」




打ち終えた後メールフォルダをスライドすると、

佐藤と柳からメッセージが届いていることに気が付いた。

大したケガじゃなくて良かった。ゆっくり休んでくれ



赤山ちゃん、超驚いたっしょ。大丈夫かー?

柳瀬健太、マジ何なんだアイツ!




二人共、雪を心配し親身になってくれている。

「はい、ありがとうございます‥」と呟きながら、雪は二人にも返信する。






暗闇の中でほのかに光る携帯を眺めながら、雪は自身の確信を少し持て余していた。

彼との関係性、彼の真意、全てが明らかになった今、

雪は自身の進むべき道をぼんやりと思い描く‥。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<彼女の確信>でした。

やはり保健室での雪のあの表情は‥



彼の思惑に気付いてしまった表情だったのですね。

淳が自身の理解者を求めて近付いて来たことが分かった今、

以前雪が思っていた自身へのこの問いに↓



答えが出る日も近いんじゃないでしょうか。
(というかここのばら撒かれた書類のシーン、今回の回想シーンへと繋がりますね)


次回は<聞きたい言葉と聞きたくない言葉>です。

☆ご注意☆ 
コメント欄は、><←これを使った顔文字は化けてしまうor文章が途中で切れてしまうので、
極力使われないようお願いします!

人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!