
司馬遼太郎さんが亡くなって早、10年が過ぎました。
命日の2月12日の「菜の花忌」、今年もさまざまな行事が行われることでしょう。
さて、こちらの「二十一世紀に生きる君たちへ」は1989年に小学校五、六年生の国語の教科書のために書かれたものです。「洪庵のたいまつ」も、収録されています。後にも先にも司馬遼太郎氏が子供たちのために書かれた作品はこの二編のみです。
今また、この本が、子供たちのみならず、多くの人の心を打つメッセージとして、脚光をあびています。
子供たち向けに書かれた文章ゆえ、無駄がなく簡潔でわかりやすいです。
だからでしょうか・・とてもシンプルに心に響き、感動を覚えます。
・・もし「未来」という町角で私が君たちをよびとめることができたら・・「田中君、ちょっとうかがいますが、あなたが今歩いている二十一世紀とはどんな世の中でしょう?」
そのような質問をして、君たちに教えてもらいたいのだが、残念にもその未来の町角には、私はもういない。・・二十一世紀のことなどとても予測できない。ただ、私にいえることがある。それは歴史から学んだ人間の生き方の基本的なことどもである。
最初のくだりです。そして、私たち人間は「自然への畏敬の念」を忘れてはならないこと、自然への素直な態度こそ二十一世紀への君たちへの期待でもあること。
君たちはいつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない・・「自己に厳しく、相手にはやさしく」 という自己を。
「人」という文字をみるように(ななめの画がたがいに支え合っている)
人間は助け合って生きるのである。けっして孤立で生きられない。
それは、「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」この三つの言葉は一つの根っこからでているが本能ではない。だから私たちは「訓練」をして身につけなければならないのである。
・・・(略)
以上のことはいつの時代になっても、人間として生きていくうえで、欠かすことができない心構えというものである。
君たち。君たちはつねに晴れあがった空のように、たかだかとした心を持たねばならない。
















私の本棚を飾る大切な一冊となりました。子供たちへのプレゼントにお勧めしたいです。
もちろん、大切な人にも・・
