晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

紙の月

2014年08月31日 | 
紙の月  角田 光代 著

この表題は
It's Only A Paper Moon からのイメージかな・・と想像します
http://www.magictrain.biz/wp/?p=1318

さて・・
以前、NHKのドラマで原田知世さんが主演で放送されていたのを偶然みていました。
その時の彼女がとても好演だったのです。清楚な美しさ、気品があって育ちのよさそうな
、、それでいてつましい主婦。

この原作を手にしたのはそんなドラマに魅せられてずっと記憶に残っていたからです。

物語は、銀行で契約社員として働く、梨花が顧客から1億円を横領、若い男に貢いだあげく、海外に逃亡。。
と、言ってしまえば簡単などこにでもありそうな事件ストーリーです。

しかし、
お金に翻弄される女たち。。
買い物症候群で離婚され、妻にも母にもなれなかった女。節約節約・・一戸建てマイホームを夢に、けちけち
生活で、子供は万引き。。
金で人生を支配されるような人間の欲や弱さに恐ろしさをかんじます。

梨花は決して犯罪を犯すような主婦ではなかったはずです。
いったい何が彼女を、このような外れた道を歩むことになったのか・?

裕福な家庭にそだち、不幸や悪意とは全く無縁のような人生を歩んでいたであろう彼女が、世間知らずの
奥様で、、貞淑な妻でありながら、亭主関白な夫とのちぐはぐな感性を疑問にかんじながら
それでも、いつか、自分が自分の一部でしかない、というなんとも虚しい気持ちに苦しむ様子は
とても共感を覚えて、胸が苦しくなりそうでした。

とはいえ、
この物語は、今より少し前の年代の設定ではあるが、今でも十分わかる。

今度、宮沢りえさんの主演で映画化されるそうです。
見てみようか・・