銀月譜(菊池秀行)

お月さまネタが続いたので、こんな本を。


(注:作品内容に触れています)

(1998年 双葉社)

菊池秀行にしては珍しく、バイオレンスもグロもエロも無い。
不死の一族、奈月家に嫁いできた、普通の人間の蒼(あおい)。

意固地とも思える態度で『不死は高貴な血脈』を貫こうとする祖母。
不死を受け入れつつも『普通の人間』が気になるその他の家族。
日の当たる世界とは縁遠い生き方をしてきた一家だが、蒼の真っ直ぐなポジティブさによって、少しずつ変化が・・・

不死の者代表の祖母の冷たさが、蒼のあたたかさを際だたせている。
『老い』と『死』のエピソードの締めも、そのあたたかさで救われる。

「他人のことを心配する」
人が人らしく生きるためにすべき事だと義母は言う。

「小さな事でもやり遂げる」
命ある限り続けていこうと蒼は誓う。

『生きた』生き方には不可欠だ。ナカナカと難しいが。
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