不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Periodo della Pioggia

2005-11-06 23:48:00 | アート・文化
この時期のフィレンツェは雨が多い。

イタリアにきてから
この国の当たらない天気予報を気にすることなく
自分の勘だけで天気を判断するようになった。
しかし、この自分の勘も当たらない(笑)。
朝の様子で一日の天気の判断ができないのが
フィレンツェの秋の天気なのだ。

日曜日も雨が続く。
お昼過ぎに日が差し込んだので、
さて出かけようかと準備しているうちに雨が降り出したり。
ということで、一日中家にいることに。

新聞をソファで読んでいるうちに
連日の疲れが出たのかビリーとチッチーノに囲まれて
狭苦しいソファーで爆睡。
目が覚めたら23時だった。驚き。
ビリーの「おさんぽぉ」攻撃で目が覚めた。

寝付く前に読んでいた新聞記事。
11月4日はフィレンツェのアルノ川洪水39周年。

1966年の洪水では多くの死傷者を出すと共に
数多くの美術品が水浸しの被害になった。
39年たった今でも、修復を待つ芸術品は山ほどある。

「保管室」に置かれた修復を待つ作品たちだけでも
ざっと280点といわれているけれど、
これが完全に修復されるのには
まだまだ長い道のりが必要。
ここ数年で修復が完了した作品はわずか30点。
資金難が主な原因ではあるけれど、
何よりも、こうした洪水被害の小作品への関心と
修復の熱意が欠如しているのが問題であると
フィレンツェの美術監督局長は常々呈してきた。

ほとんどの被害作品は
Santa Croce教会、SS.Annunziata教会、
SS.Apostoli教会、Sant'Ambrogio教会などの
教会所有のもの。
このうち入場料を取ることで、
資金を確保し続けることのできるSanta Croce教会以外は
少ない予算の中から修復費用を捻出している状況。
どうしても大作から修復されていくことになるので
小さな教会の小さな作品まで
修復の順番が回ってくるのはずいぶん先の話。

来年は洪水から40周年。
これに向けて、色々な展覧会の準備が進められているよう。
確かに過去を忘れないためにも40周年を機に
新たに洪水の恐ろしさと、
その被害を振り返る必要性はあるけれど
無駄な費用をつぎ込むつもりなら
少しでも修復に回してほしいなと
ちょっとだけ思ったりもする。

フィレンツェ県としては
洪水から40年を迎えるにあたり
2006年から2008年の3年計画で
23,000,000ユーロの予算を立てて
アルノ川の安全を守るための
補修・水道工事に取り掛かるとか。

雨の日曜日に
目と鼻の先のアルノ川の心配を
ちょっとだけしたのでした。

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