不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Cenacolo di Andrea del Sarto

2006-06-06 06:58:03 | アート・文化

アンドレア・デル・サルトは
1486年7月16日にフィレンツェに生まれた
フィレンツェのルネッサンス・マニエリスム期を代表する画家。
父Agnolo(アーニョロ)が仕立て屋(sarto)であったために
「仕立て屋の」と呼ばれています。
仕立て屋にはならず、金細工士として仕事を始め
後に絵描きに転向。
1531年にフィレンツェに没。死因はペストとも言われています。

そんな彼の傑作のひとつが
San Salvi(サン・サルヴィ)の「最後の晩餐」。

サン・サルヴィは7世紀初めに実在したアミエンスの司祭。
彼に捧げる祈祷所を1048年に
フィエーゾレの司祭が建設したものが
基礎となりその後に修道院となり
その修道院の食堂の壁に描かれたものが
アンドレア・デル・サルトの「最後の晩餐」。

San_salvi_02
  
1500年代風の室内での晩餐の様子。
部屋はイエス・キリストの友人宅という設定になっています。
まず目を引くのが晩餐の場面よりも上部に描かれた
開廊部分で興味深げに晩餐を覗き込む二人の姿。
これはアンドレア自身と妻を描いていると伝えられています。
そしてメインとなる晩餐の部分。
イエスキリストを中心として12人の使徒。
認識できる使徒は半分程度。
右となりにGiovanni(ジョヴァンニ)、
その脇にGiacomo(ジャコモ)、
Andrea(アンドレア)、Bartolomeo(バルトローメオ)。
左サイドにはGiuda(ユダ)、Pietro(ピエトロ)、
そしてTommaso(トンマーゾ)。

San_salvi_01

裏切り者とされるユダの姿はたいてい
画面の一番端か
テーブルを挟んで一人だけ反対側に
描かれることが多いけれど
この作品ではキリストのすぐ横。
一番かわいがられていたジョヴァンニと
対称的に描かれているのが印象的。
そのジョヴァンニを安心させるように
手をそっと握るキリストの姿が温かく描かれています。

世界を騒がせるレオナルド・ダ・ヴィンチの
「最後の晩餐」では描かれていないと
話題になったワイングラス。
実はアンドレアの「最後の晩餐」にも描かれていません。
ワインを入れた壷は画面の左下に描かれていますが
それを注いで飲むグラスはテーブル上はもちろん
画面のどこにも描かれていません。

San_salvi_03
これは謎解きの題材にはならないのだねぇ。
あんまりミステリアスではないからなのか・・・。

San Salviはフィレンツェの街の北東部の外れの
住宅街の一角。
中央駅から市バス(6番か20番)で25分程度。

Cenacolo di San Salvi
Via di San Salvi 16
開館時間 8:15から13:50
休館日 毎週月曜日、1月1日、5月1日、12月25日
入場料 無料

併設されている小さな美術館も
Pontormo(ポントルモ)、Andrea del Sarto、
彼の師匠Franciabigio(フランチャビジオ)、
Raffaellino del Garbo(ラッファエロ・デル・ガルボ)、
Giuliano Bugiardini(ジュリアーノ・ブジャルディーニ)などの
作品を置いていて見応えあり。

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