不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Gioconda e Ponte a Briano

2006-09-12 07:17:23 | アート・文化

世界で一番有名な絵画なのかもしれない「Gioconda(ジョコンダ)」。
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「モナリザ」は
1503年から1506年の間に制作された作品ですが
レオナルド自身がこよなく愛したこともあり
最期まで身近に置き続けて筆を入れ続けた作品でもあります。
ルーブル美術館の至宝でもあるこの作品は
77×53センチの比較的小さな作品。
今でも詳細が謎に包まれる魅惑的な作品でもあります。

目元や口元にレオナルド独特の
「Sfumatura(ぼかし技法)」が駆使されていて
非常にミステリアスな微笑を形作っているのは有名。

モデルについてもさまざまな憶測と仮説が立てられて
長年議論が重ねられています。
ヴァザーリの「列伝」でも触れられていて
フィレンツェの美術史研究家Giuseppe Pallanti
(ジュゼッペ・パッランティ)が発表した説が
昨今は有力となっていて、
それによるとモデルはMonna Lisa Gherardini
(モンナ・リザ・ゲラルディーニ)。

彼女はトスカーナの田舎の貴族出身で
Francesco del Giocondo
(フランチェスコ・デル・ジョコンド)に嫁いだため
「Gioconda(ジョコンダ)」と呼ばれています。

もっともレオナルドは一人の特定の人物を描いたのではなく
背景と同じように想像の賜物で、
実在する人物ではないという説もありますし
まったく別人を描いているという説も、
またレオナルドの女性版自画像であるという説も
根強くあるわけですが。

この作品の背景部分は
やはりレオナルド独特の「Sfumatura」によって
描かれていますが
人物を挟んで左右が微妙にずれて描かれているように見え
それは左側の部分を
後世に付け足したからではないかとも言われています。

またこの作品以前には
実在の景色を描き込むことが普通であった肖像画に
レオナルドは想像の景色を描いていることも特徴。

想像の景色とはいっても
モデルになった場所はあるわけで
モナリザの右脇にぼんやりと描かれている橋は
トスカーナの外れにあるPonte a Brianoの
古い橋だといわれています。
この橋は第二次世界大戦も奇跡的に生き抜いて
アレッツォから程近い小さな街に
今でもその優美な姿をとどめています。
アルノ川沿いに約7キロに渡って広がる
トスカーナ州立自然公園の一部で
取り巻く緩やかな丘陵と豊かなアルノ川の流れは
レオナルドが描いた景色の
モデルであるといわれれば納得もできます。

Francesco del Giocondo(フランチェスコ・デル・ジョコンド)は
トスカーナのVignamaggio(ヴィーニャマッジョ)にも
土地をもちそこに屋敷を構えていて、
レオナルドはその屋敷に招かれて滞在し
絵画の制作を行ったともいわれています。
そこからPonte a Buriano(ポンテ・ア・ブリアーノ)までは
かなり離れていて
当時の輸送機関では相当の時間を要したかもしれないけれど
レオナルドがかの地を訪れている可能性は
非常に高いらしいのです。

こういうロマンティックな挿話もこの作品の魅力なのですね。

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