不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Castiglioncello

2007-04-21 23:31:00 | 日記・エッセイ・コラム

「夏のヴァカンス用の家を海辺に探す」。
イタリア人にとっては時に重要な問題だったりします。

盆地のフィレンツェは
夏はうだるような蒸し暑さで、
イタリア人の中には「フィレンツェ脱出」をもくろむ人がいっぱい。
私はこの夏の息苦しいフィレンツェも好きなので
脱出なんて考えたこともないけど。

とにかく、パレルモ出身でフィレンツェ暮らしの友人が
「8月を過ごす夏の家を探すのだ」と
年の初めから意気込んでいたので
その家探しにくっついて海辺まで行くことに。

お天気のよい週末。
フィレンツェから車で約1時間40分。
トスカーナ州でも屈指の美しさを誇る海まで。
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彼女の希望は「とにかく窓から海が見えること」。
パレルモで育った彼女にとって
海のない夏なんて考えられないということらしい。
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しかし、ただでさえ高い「夏のバカンス用賃貸物件」。
窓からの海の眺めという条件を加えると
ハイシーズンの8月はどんな物件でも2000ユーロをくだらない。
結構な出費だ。
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でも確かにこんなにきれいな海があるなら
窓から毎朝目覚めの瞬間にも眺めていたいかも。

結局は4軒見て考えることにした友人。
8割がた決めたところがあったのだけどね。
物件はステキだったけれど、
不動産屋のイケスカナイオヤジの一言のせいで
普段はあっけらかんとしている彼女が怒り
契約書にサインするところまで行ったのに保留。
怒るのももっともという不動産屋の態度だったので
私もサインするのを止めてよかったんじゃないかと思う。

人間同士のやり取りなので
一言一言気をつけないといけないよね。
不動産屋のオヤジも勉強しろよ。

彼女の怒りを鎮めるためにも
おいしいものを食べに行こう!
彼女の希望で「魚介類」。
私は魚介は苦手ですが彼女のためなら付き合おう。
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私はGnudi di Spinaci con Branzino。
ほどほどの魚にしておきました。
おいしかったよ。

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彼女は山盛りの魚介類前菜の後
Spaghetti con Bottarga e Vongole。
すごく味の濃いカラスミで
なかなかパンチのある一品でした。

結局、彼女の目的は達成できなかったものの
きれいな海を見ておいしいものを食べて
非常に満足な楽しい一日になったのでした。

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空と海がきれいで
おいしいものがある場所。
身近な天国。

私の中の天国ってそういうところだったね。
ふと故郷の伊豆の夏を
もう12年間も味わっていないことを思い出して
ちょっと涙がでた土曜日の終わり。