不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La Cacciatrice Diana

2007-07-03 07:14:18 | アート・文化

Diana_caserta
狩の女神・ディアナ。
時に雄々しく自尊心に溢れ、
背の高い痩せ型の女性として描かれ
まとめあげた髪には三日月の飾り。
弓と矢をもち数匹の犬か一匹の鹿、
そして数人の取り巻きのニンフを引き連れて
森の中を行く姿や狩をする姿が描かれることも。
貞節を誓い孤独を愛し、派手な宴会を苦手とする
泉や渓流の守り神。

クラシックな神話の重要な女神の一人で、
伝説によればデロの島(Isola di Delo)で
アポロ(Apollo)の双子の兄妹として生まれ
アポロに先立って生まれ、生まれると同時に
母を助けてアポロを世に送り出したともいわれています。
父はジョーヴェ(Giove:ゼウス)、母はラトナ(Latona)。
ギリシャ神話のアルテミデ(Artemide)と同人物。
古代ローマでも信仰が厚く、
アヴェンティーノの丘(Aventino)には
彼女を祭る神殿があったといわれています。
またローマ郊外のネミ湖(lago di Nemi)は
ディアナ崇拝の拠点であったといわれます。

Domenichinodiana
ローマのボルゲーゼ美術館に所蔵される
ドメニキーノ(Domenichino)の
「ディアナの狩(La caccia di Diana)」では
女神の取り巻きであるニンフたちが
木に括りつけられたハトを狙って
狩を楽しむシーンが描かれています。
古代ローマ詩人ヴェルギリウス(Virgilio)の
叙情詩「アエネイス(Eneide)」の一部を
題材に取ってドメニキーノが創作したもの。
ヴェルギリウスのアエネイスの中で語られるように
一発目の矢は木にあたり
二発目がハトを縛っている紐を打ち抜き、
三発目でハトを射落とすというエピソード。
ディアナはシーンの中心で弓矢を掲げてもち、
ニンフたちの姿を見守っています。
このハトが落ちていく茂みの中に二人の人物が描かれていますが、
これはディアナが狩を終えた後で
泉で沐浴しているシーンを盗みにして鹿に姿を変えられ、
ディアナの犬に襲撃される運命の
「アッテオーネ(Atteone)」の暗喩になっています。

カゼルタの王宮庭園にある壮大な水路と噴水の上層には
ディアナとアッテオーネの噴水があります。
鹿の姿に変えられたアッテオーネが
なかなかイカシタ顔をしているのです。
Atteone_caserta
入浴シーンをと盗み見した間抜けなおじさんって感じ。
古代神話の時代から盗み見はかっこいい行為ではないのです。

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