不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Pala del Noviziato

2010-04-20 19:04:19 | アート・文化

1445年に製作された
Filippo Lippi(フィリッポ・リッピ)による祭壇画で、
修復が完了した作品。

メディチ家の守護聖人で
老コジモの時代には好んで描かれた聖人
Cosimo(コジモ)とDamiano(ダミアーノ)が描かれていること、
また作品は当初サンタ・クローチェ教会内に
メディチ家が所有していた
礼拝堂(Cappella del Noviziato)に飾られていたことからも
依頼主はメディチ家の老コジモだといわれています。

この祭壇画の下部エレメントであるpredella(プレデッラ)は
Pesellino(ペゼッリーノ)の作品ですが
1813年のナポレオンの略奪により
祭壇画とともにフランスに持ち去られ、
プレデッラの一部(5枚のうち2枚)は
現在もパリのルーブル美術館所蔵となっています。
祭壇画と残り3名のプレデッラはウフィツィ美術館所蔵。

作品は「聖会話」をテーマにしたもので
中央の玉座に聖母子、両脇に4人の聖人が描かれています。
右からSant'Antonio da Padova(聖アントニオ・ダ・パドヴァ)、
Damiano(ダミアーノ)、Cosimo(コジモ)、
San Francesco(聖フランチェスコ)。
通常はコジモ&ダミアーノは
寄り添って1対で描かれることが多いのですが
この作品では聖母子を挟んで両脇に対照的に描かれています。
ぱっと見たときの色の対照が美しい作品です。

全体的にはヴェールに包まれたような
淡くやわらかい印象ですが
詳細はかなり写実的でフィリッポ・リッピらしさがみられます。
遠近法の画法の試みも確認できますし、
聖人が聖母と同じ大きさで描かれ、
それぞれ伝統的な立ち姿ではなく
軽く腰掛けているところにもルネッサンスの特徴が見られます。

ニスなどに覆われてくすんでいた祭壇画の修復が完了し、
鮮やかな色彩がよみがえっています。
修復官僚に合わせてルーブル所蔵のプレデッラ2枚も
貸し出され、初めてオリジナルの形での展示が実現。

Noviziato

Omaggio a Filippo Lippi
Pala del Noviziato
会場:Galleria degli Uffizi (ウフィツィ美術館)
    Sala dei Lippi(リッピの間)
会期:2010年4月27日から2010年5月31日まで
休館日:月曜日、5月1日
開館時間:8:15-18:50
入場料:6,50ユーロ