不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Caravaggio e Caravaggereschi

2010-05-18 18:34:25 | アート・文化

ローマとカラヴァッジョの関係ほど
濃く強い繋がりはフィレンツェにはありません。
フィレンツェとカラヴァッジョの接点はほとんどなく、
彼の作品も数えるほどですが、
カラバッジョ派の作品は
ローマに次いで2番目に多いと言われます。

カラヴァッジョがフィレンツェに来たかどうかは
ずっと研究が続けられていますが
いまだ確定できる文献もなく推測の域を出ません。
カラヴァッジョがメデゥーサを描いたときに、
メディチ家のコレクションにある
Jacopo Ligozzi(ヤコポ・リゴッツィ)の植物図鑑水彩画を
参照しているだろうといわれていますが、
この作品群にしても
当時フィレンツェ大使としてローマ赴任していた
Cardinale Del Monte(デル・モンテ枢機卿)の
ローマ別宅で閲覧した可能性が高いのです。
当時のトスカーナ大公(Ferdinando I:フェルディナンド1世)は
カラヴァッジョの才能を認めており
その病弱な息子(Cosimo II:コジモ2世)は
フランドル派の作品や風景画とともに
新しい自然主義の画風を好み
カラヴァッジョやその周辺の画家の絵画作品も
好んで蒐集しました。
1600年代初旬にはメディチ家のコレクションに
既に「バッカス」、「メデゥーサ」、「歯を抜く人」は
含まれていたといわれます。
1618年から1620年にかけて
Bartolomeo Manfredi(バルトロメオ・マンフレディ)の
作品を購入したことで
カラヴァッジョ派といわれる画家たちの多くがフィレンツェに集い
メディチの宮廷を賑わせましたが
1621年にコジモ2世が亡くなり資金も底をつくと
短いカラヴァッジョ派のフィレンツェでの栄華の時代は
幕を閉じました。

ピッティ宮殿でのカラヴァッジョ展から40年を経て
没後400年を記念したイベントの一環として
企画されたカラヴァッジョとその周辺展。
ウフィツィ美術館、パラティーナ美術館の
2箇所で展開されることになるこの展覧会には
フィレンツェ所蔵のカラヴァッジョの作品6点
(バッカス:Bacco、イサクの犠牲:Sacrificio di Isacco、
メデゥーサ:Medusa、眠るキューピッド:Amorino dormiente、
歯を抜く人:Cavadenti、
マルタ騎士の肖像:Ritratto di Cavaliere di Malta)のほか
Fondazione Roberto Longhi(ロベルト・ロンギ財団)所有の
カラバッジョ派の作品24点を含め約100点集めています。

ローマのスクデリエの展覧会にはかなり劣るとは思いますが、
カラヴァッジョの及ぼした影響までを知るためには
この展覧会は非常に重要なものになると思われます。

Caravaggio e Caravaggioreschi
会場:ウフィツィ美術館、パラティーナ美術館
会期:2010年5月22日から2010年10月17日まで
詳細:http://www.unannoadarte.it/mostra2_presentazione.html

Cavarozzigerolamoangeli
Bartolomeo Cavarozzi
San Gerolamo con due angeli