不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

大切なものだから長く使いたい

2019-08-05 22:55:00 | 日記
7月の嵐で壊れてしまった愛用の長傘。

高校生の私が自分のために初めて買った傘は、
イタリアに渡るときにも持っていって
雨の少ないイタリアでは、
そんなに出番がなかったけれど
苦楽を共にし
日本に引き揚げるときに再び持って帰ってきた。
30年くらいの付き合いの傘。

ものの溢れる時代に
傘なんて使い捨てみたいに思っている人も多いだろうけれど、
私には私の価値観があって、
どうしても直して使い続けたかった。

上司が小さかった頃(つまり50-60年前)には
傘修繕の行商人が定期的に近所に来て
壊れた傘を直しては使い続けていたと
話してくれたけれど、
私の記憶にはそういう景色はなく、
もちろん今の時代には
そんなビジネスは成り立たなくなってしまった。
伊豆の田舎には傘をきちんと直してくれる職人さんは見つからず
Twitter で呟いたら、
吉川さん繋がりの方が情報をくれた。
ありがたい。

渋谷幡ヶ谷にある古い傘屋さん。

持ち込んだ傘をきちんとその場でチェックしてくれて
どこを修繕するか、どんな部品を使うか説明してくれて
とてもアナログチックな預け証を発行してくれた。



7月11日に修理依頼して約3週間。
7月31日以降引き取りできるということだったので
電話で修理完了を確認して
三国志展と絡めて土曜日に引き取りに。

引き取りに伺ったときは
依頼時のおじさんではなく
若い男の子が座っていた。
引き換え札を渡すと奥から傘を持ってきて
どこを直したかひとつひとつ確認しながら
丁寧に説明してくれた。

おじさんもお兄さんも口数は少なくて
決して愛想がいいわけじゃないけれど
任せようって思える質実さが感じられて
このお店紹介してくれた方に重ねて感謝。

猛暑の快晴の東京の街を
場違いな雨傘を持っていても
大切なものが手元に戻ってきたという喜びで
とってもいい気分だった。





30年ものとは思えないと
職人さんにもいってもらえた傘。
ただもう部品が見つからないかもしれないから、
壊さないように気をつけてと言われた。

ついでと言っては申し訳ないけれど
2年前のツアーグッズだった
Wild Lipsの折りたたみ傘も
会社で宅配便屋さんの台車にひかれて
歪んじゃったので、一緒に直してもらった。



修理代は長傘が3800円、
折りたたみ傘が1400円。
修理代としては高くないと思う。
もちろんその金額で新しい傘が買えるよという意見もあるだろうけれど、
そういう問題じゃぁないのよ。

世の中にはどんなにモノが溢れたって
それぞれに代わりのないモノもいっぱいある。