折々スケッチ

小さなスケッチブックやハガキに水彩と鉛筆ペン等で描いた絵を中心に、感じたこと等日記代わりに添えています。

恋に恋したころ

2019年04月10日 | 
   矢車草


むかしむかしのこと私にも恋に恋するころがありました。

ひとり詩集を読んでいると自分が竹久夢二の描く女性のようにほっそりと長い首に大きくうるんだ
瞳で遠くを見つめて恋人を待っているような気がしていました。
当時は痩せていたのでほっそりとだけは合ってましたが現実は日に焼けて真っ黒、目ばかり光って
あだ名は「くろねこ」およそ可愛げのない女の子でした。

「まだあげ初めし前髪の・・・」で始まる藤村の「初恋」を口ずさんだり
石川啄木の「砂山の砂に腹這い初恋の痛みを遠くおもひ出づる日」
     「函館の青柳町こそかなしけれ友の恋歌矢ぐるまの花」
こんな歌にため息をついたり・・・
矢車草を見るとそんな頃のことを思い出します。

その後は身を焦がすような恋をするほどの白馬の王子さまは現れず、親の勧める人と見合い結婚。
恋をするもしないもともかく金婚式が過ぎるほど共に過ごして、早や三回忌すら過ぎました。
今あの詩集を読み返したらどんな受け止め方になるのかしら、やっぱり恋する乙女には戻れない
でしょうね。
現実はそんなものじゃないわ、くよくよしたって仕方ないでしょう・・・なんて思うのかも。
夢がなくなったって事・・・。


昔とは違う逞しい矢車草 

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