ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.8.16 さようならノルウェー、そして懐かしき街ストックホルムへ

2015-08-17 04:40:53 | 
 旅行4日目。
 昨夜は9時にベッドに入り、1時過ぎに目覚めたけれど、何とか4時間は眠れた模様。モーニングコールがかかってきて、時計を見るとまさに3時。2時40分にセットした筈の目覚ましはOFFになっていた、という何とも間抜けなことだった。緊張しているのかすぐに起き出し、足湯をして頭を覚醒させて窓の外を見ると漆黒の闇。こちらに来て真っ暗な空は初めて見たように思う。雨が強く降っている。晴れていないせいか冷え込みはそれほどでなく15度とのこと。
 3時50分にチェックアウトし、鍵と引き換えに朝食のお弁当を頂く。そして4時5分前に出発。一路フィヨルド観光の玄関口・ノルウェー第二の都市、ベルゲンの空港へ向かう。所要時間は3時間近くということだったが順調に2時間ほどで到着。
 早朝だからなのか、チェックインも荷物の行先タグつけも全てセルフサービスである。添乗員さんからタグを頂き各自で付ける。普段何気なく見ていたけれど、コツがあって結構難しい。スーツケースを預けるのもセルフサービス。バーコードリーダーを通して、無事に荷物をコンベアに乗せる。ここまで人件費削減とは清々しい。
 お弁当の朝食を摂り、手荷物検査を終えてカフェでお茶をして時間調整。お手洗いの表示マークがとてもキュートだったので、その恰好を真似て息子が写真を撮っていると、どこかの国のオジサマからお褒めの言葉を頂く。
 再び首都・オスロへ向かう。所要時間は1時間弱のショートフライトだ。オスロは快晴。窓からの風景は素晴らしい。2時間弱の待ち合わせ後、続くフライトはオスロからスウェーデン・ストックホルム。国境越えである。ここでランチを調達して各自機内で摂るようにとのお達しがある。
 それにしても、ノルウェーの物価の高いことにひっくり返りそうになる。日本ではせいぜい300円前後の2切れのサンドイッチが1000円近く。デニッシュペストリーやマフィンが1個600円である。空港値段であることを差し引いても半端な額ではない。500mlのミネラルウオーターが450円もする。結局、水とジュースを足して3人分で5,000円を超え、げんなり。日本のコンビニなら2,000円弱というところ。
 はて、と国民所得をチェックすると、カタールを抜いて断然世界一の国がノルウェーなのだった。我が日本は14位、2倍半以上の所得があるというが、それでもここまで物価が高ければ本当に生活が大変だろうと思う。
 ぶつぶつ言いながら食事をして、1時間弱でストックホルム・アーランダ空港に到着する。ストックホルムは快晴、気温20度だという。
 
 嗚呼、ストックホルム!! アーランダ空港に降り立つのは実に21年ぶりである。当時、研修最初の街として訪れてこれから一人で半年間を過ごすのだ、と思った時のあの何とも言えない心細さ、それでも頑張らなければという気負いを今でもはっきり思い出せる。
 あの時は9月初めだったけれど、35度近くあった成田からいきなり15度の20度差で、持ってきた冬服をすぐに着込むほどだった。わずか半月の違いでこの暖かさ、この空の明るさはどうだろう。
 黄色と紫の大型バスとガイドさんのお迎えで、まずは北欧のヴェルサイユと言われるドロットニングホルム宮殿へ向かう。当時は空港から市内まで延々と森が続いたと記憶しているが、そのあたりも大型のショッピングセンターや工場等真新しい建物が沢山建っており目を見張った。
 雲一つない青い空の下、マロニエの街路樹を過ぎ、湖ではこの国らしく舟遊びをする人たちの姿を見、嫌でも胸が高鳴る。ドロットニングホルム宮殿は日曜日ということもあり、観光客だけでなく地元の人たちもお散歩に来ている様子。沢山の人たちで賑わっている。
 バロック様式の王室の居城は23年前に世界遺産に登録されており、城内はじめ広大な庭園や中国宮殿などの一部が公開されている。エレオノーラ王妃の謁見用寝室、ウルリーカ王妃の図書室等見どころは一杯である。
 21年前も同じ日曜日、当時ホームステイをしていたSさんのお宅から、一人でバスに乗り継いでやってきたなあ、ちょうど遠足の高校生が一緒だった、と思い出す。一人で何の予備知識もなくやってきた為、情けなくも細かいことはあまりわからなかったけれど、フランス庭園が美しく、写真を撮ってお散歩するだけでとても心が満たされたのを覚えている。
 今日は何よりお天気が素晴らしく、ちょっと汗ばむような感じだが、吹いてくる風が実に涼やかで心地良い。噴水や美しく刈り込まれた木々など、どこをとっても絵になる風景。

 そしてバスは市内中央のホテルを目指す。車窓からは、公園で短い夏を全身で楽しみ、甲羅干しをする人たちの姿が見える。懐かしい王宮や市庁舎、国会議事堂等がパノラマのように次々と姿を現す。
 時間がまだあるということで、急遽明日訪れる予定のガムラスタンまで足を延ばすことに。ノーベル博物館では、ここでしか買えないノーベルチョコレートや授賞式で供される紅茶を購入。ある受賞者は一つ300円近いチョコレートを1万7,000個購入したのだそうだ。博物館前の広場も路地も、前回訪れた時はこんなに人がいなかったね、と夫と言い合う。今、この街は夏なのだと実感する。

 ホテルにチェックイン。今日は無事隣同士の部屋になった。荷物整理を済ませ果物で一服してから、ホテルのメインダイニングで夕食。ホテル前の広場は、奇しくも21年前、ホームステイさせて頂いたSさんと初めて待ち合わせした場所でもあった。しばし感慨に浸る。お腹ごなしに、息子が行きたいという中央駅へ向かう。駅ではいろいろな電車と息子の記念撮影はとどまることがない。
 21年前に、長距離電車のタラップが高くてスーツケースを持ち上げられずに泣きそうだったところを、逞しい若い女性が助けてくれたんだった、などといろいろ思い出す。

 明日は久しぶりに7時半モーニングコールの9時半出発。今日も長い1日だった。少し寝不足を補って英気を養えそうである。
コメント
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