ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.8.27 旅行から帰ってきて思うこと

2015-08-27 21:15:00 | 日記
 旅行から帰宅してちょうど1週間。家族3人の海外旅行は5年ぶり、そして6泊8日(前泊を含めれば7泊9日)の長期間だった今回の北欧3カ国ツアーも、既にはるか遠いことのように思い始めている。
 5年前の台湾も3年前のヴェトナムも、どちらも連泊が殆どなしの強行軍だったけれど、やはりアジアとヨーロッパでは緊張の仕方が違うのか、帰って来ての疲労感が随分違うなと思う。瞳の色も髪の色も、身体の大きさも違うということが大きいのか。言葉が分からないということに関しては同じなのだけれど。

 さて、不思議なことに毎回、ツアー参加者の中に個性豊かな方が一人はおられる。勝手にニックネームをつけて、旅の最中も旅の後にも話題になるほどの、である。(先方も私たちのことをそう思っているかどうかは知る由もないが・・・)

 今回はかなり強烈だった。8名の参加者プラス添乗員さんの9名、それにドライバーさんが加わって最大でも10人。10人になればテーブルが2つになることもあったが、そういう時は添乗員さんがドライバーさん(英語しか話せない)の相手をするから、参加者8人は1つの大きなテーブルをあてがわれて、昼も夜も一緒に食事を摂ることになる。朝食だけは時間内にご自由にどうぞということだったが、そもそも出発時間も決まっているし、夜と同じテーブルに案内されたり、と結構逃げ場がなく、結局、朝もグループが顔を合わせて食事することになり、これがかなりのストレスだった。
 60代前後のご夫婦2組、60代の女性1人と私たち家族3人なので、どう組み合わせを変えてみても、向かいか隣かにどちらかのご夫婦がくることになる。

 2日目(1日目は移動だけだから実質的にはツアー初日)の昼、最初に皆でレストランで食事をしたときに、ん?と思うことがあった。6人はお酒を頂かなかったが、1組のご夫婦だけ揃って昼からビールである。楽しく飲んでおられるうちは問題ないのだけれど、そのご主人は、誰も聞いていないご自分の旅行先での自慢話に終始するのである。とにかく、ツアーで世界各国、秘境を含めてあちこち行き尽くしておられるご様子。
 お子さんがいないのでさもありなんということなのだが、どこに行ってもまず2人で真っ先にバスを降り、ダッシュして一番にベストポジションをキープ。しっかり決めポーズを取って記念写真スタンバイである。ご自分たちで撮り合ったり添乗員さんに撮らせて、その間、他の6人はそれぞれが手持ち無沙汰に順番待ちをするしかない。 毎回1番でなく、少しはお先にどうぞ、と譲っても罰は当たらないだろうにな、と思うのだが、そんなことは知ったこっちゃない感じ。決まってご主人はしっかと奥様の肩を抱いて、奥様はご主人に上半身を預け、新婚さんよろしく“2人の世界”である。

 早朝、ベルゲンの空港では自分でスーツケースをバーコードリーダーに通さなければならなかったと書いたが、その時もまるで子供のように、真っ先にバーコードリーダーを掴み、嬉しそうに一番乗りしてトライ。自分たち2人分だけでは飽き足らず、恥ずかしくもなく奥様が「彼が~、とても楽しくてもっとやりたいと言っているんです~。やらせてあげてください」と言い出す。小学生じゃあるまいし、大の大人が2人揃って、もうひっくり返りそうである。
 普段はお喋りな息子も、そのご夫妻の隣席になると言葉を発しなくなり、食事も進まなくなった。尋ねてもいない話を延々とされて、ひたすら我慢の子。ビュッフェの時には黙々と食べて早々に「お先に失礼します」と席を立つのが精一杯の抵抗である。

 楽しい筈の食事が一転、ストレスの素になってしまっていた。おひとり様参加の女性も旅好きのご様子で、最初は彼らの話に相槌を打ちながら話を聞いておられたけれど、気づけば、いつも離れた席をキープするようになっていた。
 もう一組のご夫婦は最初からわりとマイペースだったが、成人されたお子様が2人おられるということで、息子にもちょくちょく声をかけてくださったり、後半は近くで食事をすることも多かった。
 シリアラインで船中泊した折には、件のご主人は相当飲んだようで、翌朝は二日酔いで具合が悪くちょっと静かになっていた。
 既にその時には、他の3組は誰もあえて彼らに近づかなくなっていた。そのことに気づいたのかどうか。
 相手にしてくれるのは添乗員さんだけ。添乗員さんもお客様だから嫌とも言えず・・・だったのだろうけれど、本当にお気の毒に、と思う。あれこれケアしてもらっている私たちがこれだけ疲労困憊するのだ。誰よりも早く集合場所に行き、観光中はあれやこれやと世話を焼き、カメラマンとしてこき使われ、部屋に戻ってからももろもろの準備をし・・・、挙句仲間に溶け込めない客の面倒を見るわけだから、彼女の大変さは想像を超えているだろう。

 極めつけだったのが、「自分のフルネームをググってみろ」と添乗員さんに言い放っていたこと。どれだけお偉い方なのかは残念ながら分からないし、フルネームも存じ上げないし、知りたいとも思わないからググってみる気もないけれど、その傲慢ぶりにのけぞった。そして、添乗員さんが帰宅してからググるのが待ちきれなかったのか、到着した成田空港で添乗員さんに名刺を渡し、ひとしきり自分が何者であるかを吹聴する様子。幸せといえばご本人は幸せなのかもしれないけれど、1週間一緒の旅をした他のメンバーには一切会釈すらせずに、颯爽と帰っていった。

 そんなわけで、今回のこのご主人のニックネームは「ググル」である。ずっと一緒にいると気づかないのかもしれないけれど、奥様も「実家のパパが~」とのたまう有様に(実家の“父”ではない。彼女は私より当然年上である。)、夫婦というものはいつの間にか似てくるのかもしれない、と頷いた次第である。
 人の振り見て我が振り直せ・・・ではないが、反面教師ということか。夫も最初の頃に、食事の席で失礼な質問等をされて、ムッとして言い返していたし、息子も相当露骨にムカツキ感を顔に出していた。
 瞬間湯沸かし器の別名を持つ我が家のメンバーがいつ爆発するか、と下を向きながらハラハラドキドキしていた私であった。

添乗員のSさん、大変お世話になりました。“個性豊かな(!?)”8名をまとめ、本当にお疲れ様でした。ツアーの後は、休みをとらないと発狂するとおっしゃっていた。実に大変なお仕事である。
 そろそろ復活して次のツアーに添乗している頃だろうか。


コメント (3)
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