ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2020.5.15 はて、これからの治療、どうするか

2020-05-15 20:27:18 | 日記

 このところ仕事に忙殺され、さらには夜中に家で失神して前歯を折るなどというアクシデントがあり、日々をやり過ごすだけで精一杯という情けない状況であった。
 そんなわけで、なかなか今後の治療についての自習も出来なかったのだけれど、久しぶりにオンコロのサイトを見て、ダブルで嬉しい記事を見つけた。

 一昨日、通院の際、次に使いたいと考えている新薬エンハーツの情報が新型コロナウィルス感染拡大の影響で滞りがちである、という主治医からの弁は書いた通りである。
 そんな折、奇しくも同日に新薬の薬価収載があり、頼みのエンハーツもそこに入っていることが分かった。

※   ※   ※(転載開始)

新薬18成分を薬価収載へ 乳がん用薬エンハーツ・核酸医薬ビルテプソなど(公開日時 2020/05/13 10:30)
 厚生労働省の中医協総会は5月13日、新薬18成分28品目を薬価収載することを了承した。同省は5月20日に収載する予定。第一三共が承認を取得した乳がんのサードライン以降の治療に用いる抗体薬物複合体(ADC)エンハーツ点滴静注用(一般名:トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)や、・・(中略)・・などがある。

収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)
▽エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え) 、第一三共)薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)
薬価:100mg1瓶 165,074円(1日薬価:21,224円)*
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数1.3千人、販売金額129億円
加算: 有用性加算(Ⅱ)A=5%、新薬創出等加算、費用対効果評価(H1)
有用性加算(Ⅱ)A=5% :理由「トラスツズマブエムタンシン(遺伝子組換え)による治療歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌患者に対して奏効が認められたことから、治療方法の改善が示されていると考えられる。ただし、奏効率の結果を基に、本薬の延命効果に関する評価を行うことは困難であることから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)とすることが妥当と判断した」
新薬創出等加算:主な理由「加算適用」
費用対効果評価(H1)

抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)。がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞に直接届けることで、薬物の全身暴露を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高める。

HER2陽性の再発・転移性乳がんではトラスツズマブなどの抗HER2療法が標準治療で、病勢進行した患者に対しては別のADCのトラスツズマブ エムタンシン(国内製品名:カドサイラ、以下「T-DM1」)が使われる。エンハーツは、T-DM1投与でも治療困難なサードライン以降の治療に用いる。なお、エンハーツは、T-DM1投与でも進行した患者を対象とした日米欧アジアでのグローバルフェーズ2試験「DESTINY-Breast01」で、主要評価項目の客観的奏効率は60.9%を示した。

条件付き早期承認制度適用医薬品であることから、承認条件として、化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん患者を対象に実施中のフェーズ3試験におけるエンハーツの有効性及び安全性について医療現場に適切に情報提供することや、一定数の症例に係るデータが集積されるまで全症例を対象に使用成績調査を実施して、安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、適正使用に必要な措置を講じること――などがついている。

(転載終了)※   ※   ※

 ということで、通院する病院で使わせて頂けるようになるまで、今の薬で粘りたいという思いを新たにした。気になるのは実際にかかる治療費だ。
 *通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回5.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
 とあるから、1回の治療で1バイアル100mgで足りるわけがなく50kg換算で270mg必要・・・と考えると、相当な高額であるに違いない。だからこその1日薬価21,000円超えなのである。しゅん。

 さらに、もう一つの記事を見つけた。
 こちらはHER2陽性であるが故、私には適応外とされたベージニオ(アベマシクリブ:ホルモン受容体陽性、HER2陰性の手術不能又は再発乳癌が適応)である。それが、今後は使えるようになるかもしれない!という朗報である。
 私は既にHER2抗体治療薬としてハーセプチン(トラスツズマブ)、カドサイラ(トラスツズマブ エムタンシン:T-DM1)、パージェタ(ペルツズマブ)、タイケルブ(ラパチニブ)を使い尽くしてきているので、今般薬価収載された上記のエンハーツが使えるようになるまでの繋ぎの有効な手段がほぼ残されていなかった。ところが、である。

※   ※   ※(転載開始)

少なくとも2種類の抗HER2抗体治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陽性の進行性乳がん患者に対するベージニオ+ハーセプチン+フルベストラント、無増悪生存期間を有意に改善(The Lancet Oncologyより)[公開日]2020.05.13

この記事の3つのポイント
・治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陽性の進行性乳がん患者が対象の第2相試験
・ベージニオ+ハーセプチン±フルベストラント併用療法の有効性・安全性を比較検証
・ハーセプチン+標準化学療法群と比較して、+フルベストラント併用群で病勢進行または死亡のリスクが33%減少
2020年4月27日、医学誌『The Lancet Oncology』にて治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陽性の進行性乳がん患者に対するCDK4/CDK6阻害薬であるアベマシクリブ(商品名ベージニオ;以下ベージニオ)+抗HER2モノクローナル抗体であるトラスツズマブ(商品名ハーセプチン;以下ハーセプチン)±フルベストラント併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02675231)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのSara M Tolaney氏らにより公表された。
本試験は、少なくとも2種類の抗HER2抗体治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陽性の進行性乳がん患者に対してベージニオ+ハーセプチン+フルベストラント併用療法を投与する群(N=79人)、ベージニオ+ハーセプチン併用療法を投与する群(N=79人)、ハーセプチン+標準化学療法を投与する群(N=79人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として安全性などを比較検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、少なくとも2種類の抗HER2抗体治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陽性の進行性乳がんの治療成績は不良であり、治療選択肢は非常に限られている。以上の背景より、近年承認されたCDK4/CDK6阻害薬ベージニオを組み合わせた治療法の開発をする目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値19.0ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はベージニオ+ハーセプチン+フルベストラント群で8.3ヶ月(95%信頼区間:5.9‐12.6ヶ月)に対してハーセプチン+標準化学療法群で5.7ヶ月(95%信頼区間:5.4‐7.0ヶ月)、ベージニオ+ハーセプチン+フルベストラント群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを33%(HR:0.67,95%信頼区間:0.45‐1.00,P=0.051)減少し、主要評価項目を達成した。
なお、ベージニオ+ハーセプチン群の無増悪生存期間(PFS)は5.7ヶ月(95%信頼区間:4.2‐7.2ヶ月)、ハーセプチン+標準化学療法に比べて病勢進行または死亡(PFS)のリスクを6%(HR:0.94,95%信頼区間:0.64‐1.38,P=0.77)減少する臨床的意義のある差は確認されなかった。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症でベージニオ+ハーセプチン+フルベストラント群27%、ベージニオ+ハーセプチン群22%、ハーセプチン+標準化学療法群26%を示した。また、ベージニオ+ハーセプチン+フルベストラント群で確認された重篤な有害事象(SAE)は発熱、下痢、尿路感染症、急性腎障害であった。
以上の第2相試験の結果よりSara M Tolaney氏らは以下のように結論を述べている。”少なくとも2種類の抗HER2抗体治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陽性の進行性乳がん患者に対するベージニオ+ハーセプチン+フルベストラント併用療法は、ハーセプチン+標準化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しました。また、忍容性も良好であり、本治療は標準治療の代替になり得る可能性が示唆されました。”
Neoadjuvant Nivolumab for Patients With Resectable Merkel Cell Carcinoma in the CheckMate 358 Trial(Lancet Oncol. 2020 Apr 27. pii: S1470-2045(20)30112-1. doi: 10.1016/S1470-2045(20)30112-1.)

(転載終了)※   ※   ※

 ということだ。ベージニオは副作用としての下痢がかなり高い確率で現れると聞いているので、既にいつもお腹ゆるゆる状態の私にはちょっとハードルが高いかもしれない。けれど、これまでの経験で一つの薬が効いてくれれば概ね1年は命を繋げるから、2つの薬が使えて、これらがともに奏功してくれればもしかすると還暦を超えて生き永らえることが出来るかもしれない(欲張り!)。

 少なくともまだ積極的治療を諦めてしまうことはなさそうだ。
 とはいえ、新しい治療に変更するは何より体力・気力・精神力(そして資金力)が不可欠。きちんと食事をし、たっぷり睡眠をとり、適度に運動をして筋肉を落とさないようにしつつ、続けられる限り仕事も続け、来るべき治療にトライ出来る体調を整えておかなくては、と思いを新たにする週末の夜である。
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